和也side



冬休みはあっという間。

年末年始はいつもは仕事でいない両親もいるし、田舎のじいちゃんちに行ったりもして、なかなか忙しかった。


始業式を明日に控え、智の家にも行かずに自分の部屋でゲームをして過ごす。


コンコン。

「カズ、電話だよ。
松本くんて子。」

「え?じ、じゅん、くん!」

潤くんから電話をかけてくるなんて初めての事で、思わず声が裏返ってしまった。

なんで?明日には学校出会うのに、わざわざ電話?


わざわざってことは、きっと他の誰かに聞かれちゃマズイ話だろうな…。

リビングでとった電話を子機に転送して、自分の部屋に戻る。

「もしもし、潤くん?」

「あ、カズ。
突然ごめんね。今、話大丈夫?」

律儀にこちらの確認してくる。
俺なんかの都合までしっかり気にかけてくれる。

「ん、どうした?」

「あの、聞きたいことが、あって…」

「なに?何でも聞いてよ。」

「電話で聞くのもどうかと思ったんだけど…
あの…あのね、そのー…」

どうも言いにくいのか、なかなか進まない会話。

「潤くん、会って話そっか。」

「い、いいの!?」

「うん、いいよ。
電話じゃ、長くなりそ。
行ってもいい?」

「もちろん!気をつけてね。」


一月の自転車なんて誰が乗りたがるだろう。
でもこの寒空の中、潤くんを来させるのはかわいそうだ。
バスなんかじゃ、時間がかかる。
自転車は漕いでれば暖かくなるだろう。

なんだかんだ、甘やかしてしまうんだ。
翔さんのモノなのに。
きっと話だって翔さんの事に決まってる。

翔さんとのことは、他の誰かには相談できないはずだから。






けど、まさか、潤くんの話がここまでのことだったなんて…


「ねぇ、カズ。
男の人と女の人って付き合って、キスしたら、
その次は、何するの?」

俺だって知らないよ。
だって経験ないし。
まぁ、なんとなくは…。


でも潤くんは…知らなさすぎる。


「あのさ…なかなか口じゃ説明できないんだ。
明日学校終ったら、うち来てくれるかな。」

「教えてくれるの?
カズんち行けばいいんだね!わかった!
一緒に帰ろうね!」






オレは帰ってから速攻相葉さんに連絡を取る。
あの人なら持ってるはずだ。

「おいっ!なんで持ってるの前提なんだよ!」

「持ってるんですよね?
知ってますよ。バスケ部でそういうの貸して回してるの。」

「おまっ!なんで知ってんだよ!」

「たまたま部室の前で誰がさんちが盛り上がってるの聞いただけです。
で、持ってるんでしょ?
明日学校に持ってきてください。
見えないよう厳重にね。
放課後美術室で。それでは。」


よし、これでオッケ。


潤くん…見せても大丈夫かな…。
大丈夫だよね。
潤くんと、一応翔さんの為ということで。