翔side
「おーっす!おはよーさん!
さみーなー!」
毎年恒例の初蹴り。
正月だというのに俺達サッカー部はグランドに集合していた。
「はよー。
寒くてもテンション高いな、翼は。」
小学校から翼とはサッカークラブも一緒。
翼翔組って呼ばれるくらい仲が良くて、ひとたびサッカーでコンビを組めば翼くん岬くんで。
思えば潤と初めて会った時もコイツとサッカーをしてたな。
「お前、もうすぐ誕生日じゃん?」
「もうすぐって…まだ20日以上もあるけど。
いつかわかってんのか?」
「知ってるよ。25日だろ。
後でいいものやるよ。
誕生日プレゼントにさ。」
「へぇ、楽しみだな。」
それから寒空の下、ボールを追いかけて、終わる頃にはすっかり暑いくらいに汗もかいていた。
練習が終わると翼は早速小さな紙袋をガサガサさせて手招きをする。
「なんだよ。」
「はいよ。誕生日プレゼント。」
プレゼントが入ってるとは思えない茶色の紙袋。
開けてみると、ピンク色の小箱。
なんだコレ?
「お前、彼女できただろ。」
「え!?」
彼女…ではない、よな。
男だし。
「わかんないと思った?
わかるよー。何年の付き合いだよ。
だからさ、彼女と使いなよ。
ないとできないだろ。」
「だからなんだよ、こ…れ…」
思わず言葉に詰まる。
俺、本物初めて見るかも…。
翼んちは薬局だ。
だから、コレを手に入れるのは容易いことだろう。
「にーちゃんが店番の時に、ちゃんと金払って買ったんだぞ。
また必要になったら言ってよ。
いつでも調達するからさ。」
「おぉ、サンキュ。」
使わなくても心配はないだろう。
男だし。
でも潤に負担をかけたくない。
あれば後処理もしなくてすむ。
俺…誕生日に今度こそ潤と。