どんなに高飛車でも

どんなに自信過剰でも

どんなにかっこつけてても

アバズレが〚女〛になる瞬間がある



そんな瞬間をあたしに与えてくれる数少ない男

アバズレNoemiの心臓の鼓動を早く打たせる男



彼は当時あたしが付き合っていた男の友人だった

ダークスキンで無口なトラブルメーカー

喧嘩で人だかりができている中心にはいつも彼がいた

ダークスキンのビショップ



気に留めたことも無かった男が一生愛し続けるであろう男になった

はるか離れた場所で生きていても

別々の人生を歩んでいても

彼が他の女を抱いていても

あたしが他の男に抱かれていても


そんなちっぽけなことであたしたちの愛は壊れない



時々聞く電話越しの彼の声

おざなりではない〚I love you〛の言葉


会いたい でも会わない

近づきすぎてはいけない


会ってしまったら不幸になる


二人とも


そしてあたしたちを取り巻いているすべての人たちが




Don't cross the line.

あたしの肌はすごくライトで、ダークスキンが羨ましかった。


ブラックであることとアジアンであることの狭間で悩んだこともあった。


けれどいつしか悩むことを止めた。


「黒かろうが黄色かろうが、あたしはあたし


ダークスキンのKhiaよりもアジアンのKaoriより、ミックスのあたしのほうがいけてるじゃん」


そう、あたしは自信過剰のあばすれ。


でもKeke(娘)があたしのようになったら厄介だなぁ。


ブーケ1  ブーケ1  ブーケ1  ブーケ1  ブーケ1  ブーケ1  ブーケ1  ブーケ1  


あたしの周りにはクレイジーでいかした女の子たちがいっぱいいるけれど、

あたしはもう昔のように一緒に大騒ぎすることも無い。


いまは傍観者として彼女たちを見ている。


TamekaとLisaはとっても仲がいい

二人ともモデルで生計を立てる美人

けれど、LisaはTamekaの彼と寝ている

こんなことよくあること・・・


人の男を寝取らない


これって一般的には常識でしょ。

でもここでの常識ってちょっと違う・・

欲しい物は何が何でも手に入れる。

取ったものが悪いのじゃなくて

取られたほうが悪い


可哀想なTameka

そう思うでしょ。


でもTamekaの彼は既婚者。


一番の被害者はTamekaの彼の奥さん?


彼女は元妻から彼を奪って今の妻の地位を手に入れた・・


みんな同じ


欲しい物は何が何でも手に入れる・・


欲望のおもむくままに




信用できるのは自分だけ



あたしがまだ無垢の女の子だったころ
近くに住むStacyの家によく遊びに行った


Stacyは金髪がきれいなお人形さんのような女の子だった。
StacyにはKyleという優しいお兄ちゃんがいた。


あたしがいつものようにStacyに家に遊びに行ったとき、
Kyleがドアを開け

「StacyとMomはもうすぐ帰ってくるから家で待ってなよ」

と言ってくれたのであたしはそうすることにした。


Stacyと遊ぼうと新しいBarbieを取り出していたらKyleがあたしを呼んだ。

Kyleの部屋にはいるとKyleはドアを閉めあたしを座らせた。


「お医者さんごっこしよう。僕がお医者さんでNoemiは患者さんね。」



Kyle「今日はどうしましたか」

Noemi「おなかが痛いんです」

Kyle「それではおなかを見るので洋服を脱いでください」

Noemi「はい、先生」



Kyleはあたしのおなかをさすりパンツを脱がせてあの部分も触った

くすぐったかった。

あたしはなんだか居心地が悪くなってKyleに「もうやめたい」と言った。

Kyleは「そうだね」といって笑った。



その後、あたしとKyleはリビングでTVを見た。
しばらくするとStacyとママが帰ってきて、あたしはStacyと一緒に遊んだ。


その日以降、KyleはあたしがStacyと遊んでいるのを見るようになった。

Stacyがいなくなると、


「Noemiのここ、かわいい」


とあたしのパンツの中に手を入れたりした。



あたしはなんだか恥ずかしい気持ちがして、
そのことを誰にも言わずに自分の秘密にした。


Kyleから遠ざかるために、Stacyの家に行く回数が減った。



そしてそれから数ヵ月後、Stacyはパパの転勤でテキサスへ引っ越していった・・



Kyleとのあの時間は今でもあたしの秘密


「Noemiのここ、かわいい」


日本にいたあのころ
あたしの関心は基地の男達だった


横須賀
厚木
横田


中でも横須賀の男達は一番レベルが高かった
空母はいい男の宝庫だった


ミッドウェイ・インディペンデンス・キティホーク


エンペラー・ニュー横須賀・つるや(笑)
週末やクルーズ前は満室になる


A-Clubで飲んだ後は
カスタムにいくか
オフベースのホテルに行くか、
男の部屋に行くか・・
ネイビーロッジに行くか・・


お決まりの選択肢


長期クルーズのたびに切ない気持ちになった
リストリクション期間も面会に行った
リーヴした後も会いに行った

期限付きの恋愛を真剣に楽しんだ


兵隊に群がる馬鹿な女たちとせせら笑う
外人はディックがでかいからなと知ったかぶる日本の男


確かにおまえのよりはでかいだろうよ!
セックスだってお前よりはるかに上手だろうよ


外国人の男と付き合っているからと威張る馬鹿な女

優越感に浸ってるんじゃねーよ

お前みたいな女は決してonly oneにならねーんだよ!


女たちはみんな真剣だった
クラブで取っ組み合いの喧嘩もした

トイレで襲われたこともあった
たった一人の男のためだけにみんな真剣になってた


そこまでできる女、そこまでさせる男

あのころはそういう族でいっぱいだった・・

みんな感情むき出しだった


懐かしいね

昔はいかしたアバズレがたくさんいたっけ

Andreと出会ってからあたしは彼の監視下にいた
あたしが自由に行ける場所はなかった


彼がアーティストとshowの打ち合わせをするときも
彼が所有するクラブに行くときも
彼が行くすべての場所にあたしは連れて行かれた・・


彼を自分のものにしようと必死な女たち
あたしのことを嫉妬に狂った目で睨み付ける
別に好きでこうなったわけじゃないのに・・・


彼のクラブでアーティストがパーティをするからと連れ出された
人ごみがうっとおしくて彼が話しこんでいた隙にバーへ逃げた
そこにいただいぶ年上の男性と酒を飲みながらたわいもない話をしていた時、
その男性の顔が恐怖で引きつった
ふと自分の横に目をやると
怒りに狂った目でその男性を睨み付けるAndreが立っていた

あたしはその男性に「おしゃべりに付き合ってくれてありがとう」と伝え席を立った
Andreはあたしの手を引っ張り彼のオフィスに連れて行った・・


大きな背中、ごつごつした手・・
絶対にかなわない・・・
逃げられない・・


彼はとっても不機嫌だった・・
あたしがあの男性と何を話していたかなんて関係ない
あたしが彼の視界からいなくなったことが嫌なんだから・・
自分勝手な男


あたしは囚人みたいな気持ちになり、すごく腹が立ってAndreを叩き、罵った
彼は取り乱すこともなくあたしに彼のKeyを渡した
「もうすぐ帰るから持っていてくれ」と・・


あたしがどんなに取り乱して怒りくるったって
彼はいつも冷静にあたしをなだめ、ベッドへ連れて行く
子供のようにいじけるあたしをやさしく、そして激しく抱く
あたしはそうやって彼に縛られていることを受け入れてしまう


結局その夜も同じ

彼は仕事を早く切り上げ、あたしを連れて帰り、
ベッドで愛した


いつまで続くんだろう・・・
永遠のようにも思えた


あれから十数年
彼のことをとても恋しく思う

彼に会うのはまだまだ先になるけれど・・
空の上からあたしを監視してくれているんでしょ・・


I miss the time we shared..
and I miss you..

子供をもつなんて考えたことも無かった・・
母親になるなんて想像もできなかったし、
望んだことも無かった


堅気の世界でのんびり生活して
家族っていうものの中であたしが生活するなんて
周囲の人間よりもあたし自身驚いている


子育てっていまだに慣れない
子供がいうことをきかないと腹が立つ
自分のペースを崩されっぱなしで
外出することもできない
おしゃれしても子供のよだれで服が汚れる
髪の毛をきれいにセットしても子供に引っ張られて乱れる


あたしが見当たらなくと泣き叫んで家中を探し回る
それが楽しくてしばらく隠れてみるけれど
かわいそうになって子供に駆け寄る
必死にあたしにしがみつく子供の鼓動はものすごく早い
恐怖におびえた顔をあたしの胸に押し付けて泣く


子供を溺愛する
という言葉はあたしには当てはまらないけれど・・
我が子ってやっぱりいとおしい

寝顔を見るとなおさら可愛い


寝ているこの時間があたしの自由時間


起きたらまた腹立たしいガキになる

あたしはいつも強い男を選んだ
鍛えられた体
喧嘩しても負けない強さ
誰もが一目置く男
ライオンのように獰猛な男


あたしがそういう類の男が好きなように
そういう男があたしみたいな類の女が好きだから
あたしたちは勝手に引き寄せられる


濃厚で激しいSEXのせいじゃない
あたしたちは似たもの同士で
とっても深い絆で結ばれる


それなのに
別れの時は必ずやって来る


愛しているけれど
一緒にいてはいけない


一緒になりたいけれど
一緒になるための努力はしない


結ばれる運命ならいつかそうなるから


あたしたちは十数年前に出会い
十数年前に別れた


お互いに誰かがいて
それなりの人生を送っている


けれど今でも求めあい

愛し合う


I have everything... at my fingertips,
but I just cant grasp that one thing that makes me complete..


けれど

愛しているだけでは一緒になれない・・・