普段、音の鳴っていない状態っていうのは歯磨きと風呂の時間位、もう麻痺してしまってるのか全く違和感感じなくなっておりますが、こと映像(動画・映画)に関しては、仕事でコンピュータに向かうこともあり、そういつもいつもというわけではないのであります…
そんな私、ここ2週間は明けても暮れても映画三昧…というか、画面に出てくる映像と音声を隅から隅までくまなく拾い上げてやろうという無謀な「趣味」(?)に没頭していたのであります。

音楽であれば、気に入った曲ならですが…同じ曲を半日くらい切れ目無くリピートさせて聴き続けるくらいなんてこと無い変態性の持ち主である私なのですが、さすがに画面と音声両方に、しかも同じ映画・同じ場面を納得いくまでとことん繰り返し繰り返し寝ても覚めても2週間…となると、自分でも「よく嫌にならないものだ…」と半ば呆れ返っている次第であります。(まあ製作の現場ではこんな感じで進んでいってるんでしょうね…脱帽です)

観た映画は昨年8月に劇場公開(フィリピンで)、12月にDVDリリースされたBea Alonzo(ベア・アロンソ)主演の「The Love Affair」。
新作として入荷したときにざっと観ているので、家族の愛と男女の愛を巧く盛り込んだ映画だな…と思っていましたがこうやって顕微鏡越しに(笑)観てみるとフィリピン独特の「愛の形」がつぶさに描かれている秀作であることに否が応でも気づかされてしまうわけでありました。
英語字幕を横目に流して見て大体判った気になっていても、じ~っくり(笑)観てみると見逃していた部分など新たな発見も多いものです。

ネタバレ覚悟でちょっとストーリーを紹介すると…
恋人に裏切られた妙齢の女弁護士と妻の浮気を疑う外科医が出会う恋物語。
いろいろあった末に男は妻の元に…そして女は恋人と元の鞘に納まるのではなく疎遠になっていた家族の元へ…。ありがちなハッピーエンドではないですが、そこがまたフィリピンらしいというか…こういうハッピーエンドの形もあるのだと。
結局独りになる女弁護士には幼馴染で同じ弁護士の男の子が近しい存在として出てくるのですが、
日本だと
「実はひそかに思いを寄せていた幼馴染の青年弁護士の控え目な想いに女弁護士も気づいてやがて二人は…」
という展開になっても良さそうですが、そうはならないところがフィリピンらしいところ?でしょうか。友情と愛情がきっちり分かれてるんですね。

少し寂しげなエンディングになってますが、重い雰囲気にならず清清しい感じにまとまっているのも好印象でした。

また、この映画はフィリピン国内のレギュレーションでR13指定になっています。
恋の縺れを描いた作品、当然女同士・男同士がぶつかり合うシーンもあり、口汚く相手を罵るシーンでは「学校ではまず習わないお行儀」レベルの単語がポンポン飛び交っているのでその辺が13歳以下にはちょっと…となったと思われますが、さすがは英語が公用語となっているフィリピン。文字にすると「x」の入るようなボキャブラリーも豊富です(大汗)。

ともあれ、多様な「愛の模様(かたち)」が描かれているこの作品、日本でも多くの方に興味深く見ていただけるのでは…と思うのですが、いかんせん英語字幕しかない…。
…ということで、冒頭に書いた「オタク」丸出しの「趣味」に没頭するに至ったわけであります。
(数多の諸問題をクリアできれば是非『我々に最も解かりやすい形で』お楽しみいただきたいと思っております…)

因みに、この映画のテーマソングは無く子も黙る?フィリピンドリームを体現している男、The JourneyのフロントマンArnel Pinedaが担当しているのですが、少しも出しゃばることなく映画にうまく溶け込んでいます。こういう「粋(スイ)」な仕事をしたアーネルとそれをオファーした演出陣もスマートでカッコいいなと感じさせられました。


DVDはこちらで…

The Love Affair DVD