ヒメのブログ -19ページ目

ヒメのブログ

人生は面白いほどに展開する。

思ったより、暗い物語だったな。

 

 

 

以下、引用。

 

「聞こうというなら、静かにしていなくては。

 

「賢者は問うに及ばず、愚者は問うても無駄だとか。」

 

ある物を別のもうに変えたら、その魔法が働いている間は、そのものの名まえも付け変えなくてはならないことを長は説明し、ひつつのものの姿形を変えることが、それをとりまくものの性質や名まえにどんなに影響を及ぼすかを、彼はこんこんと話して聞かせた。

 

人の本名というものは、本人と名付け親しか知らないものだ。やがては兄弟とか妻とか親友とかに知らせることはあっても、そうした人びとも、他人の耳に入りそうなところでは決してその名は口にしない。

 

「そなた、子どもの頃は、魔法使いに不可能なことなどないと思っておったろうな。わしも昔はそうだった。わしらはみんなそう思っておった。だが、事実はちがう。力を持ち、知識が豊かにひろがっていけばいくほど、その人間のたどるべき道は狭くなり、やがては何ひとつ選べるものはなくなって、ただ、しなければならないことだけをするようになるものなのだ。」

 

 

ゲドは勝ちも負けもしなかった。自分の死の影に自分の名を付し、己を全きものとしたのである。すべてをひっくるめて、自分自身の本当の姿を知る者は自分以外のどんな力にも利用されたり、支配されたりすることはない。彼はそのような人間になったのである。もはやゲドは、生を全うするためにのみ己の生を生き、破滅や苦しみ、憎しみや暗黒なるものにその生をさし出すことはないだろう。