こんにちは。北口美愛です。
本日の映画は「トレインスポッティング」。
監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー,ケリー・マクドナルド,ユエン・ブレムナー,ロバート・カーライル
【あらすじ】
ヘロイン中毒のレントンは不況に喘ぐスコットランドでヤク中仲間と怠惰な生活を送っている。人のいいスパッド、モテモテのジャンキーシックボーイ、アル中で喧嘩中毒のベグビーらと悲惨な現実を前にしてもドラッグやナンパ、軽犯罪やクラビングを繰り返す毎日。そうこうするうちスパッドが受刑者となりレントンは何度目かのドラッグ断ちを決意。必死の麻薬治療を受けた彼は、ひと旗揚げようとロンドンで仕事を見つけ真っ当な生活を目指す。
【感想】
イギー・ポップやルー・リードをはじめとするブリット・ポップの軽快なリズムと共に送る青春映画。
主要な登場人物はアルコール中毒,ヘロイン中毒,喧嘩中毒といった病的な人間ばかりです。
レントンは阿片の座薬の為ならスコットランド一(いち)汚いトイレも掻き回す。アル中のベグビーはすぐ暴れる喧嘩ジャンキー。素面では現実を生きられない若者たち。
「こんな国くそったれだ
最低な国民、人間のカスだ
みすぼらしくて卑屈で惨めで
史上最低のクズだ
皆はイギリスを馬鹿にするが
そのイギリスの領土だ
何の価値もない国を占領する様な落ちぶれた国の子分だ
そんなドツボで新鮮な空気を吸って何になる」
これは主人公レントンの台詞です。
世界中の一人ひとりが食べて排泄して、誰かに恋をして妬み嫉んだりして居るという重層的な”現実”を、普段の生活の中でリアルに実感出来ている人は余り居ないでしょう。
ヘロインでラリって赤ちゃんが死んでも気付かず、アル中は何かに取り憑かれた様に手当たり次第喧嘩をふっかけ、友人はエイズで死ぬ。
私にはそういう非日常の中で生きている病的な登場人物それぞれが青春特有の「孤独」を囲い、自分が世界中の人間の内の一人であるという現実味を、重圧として感じている様に見えました。
もしかしたら、彼らが一番”現実”というものをリアルに実感して居るのかも知れません。