中身の仕組みが不透明な高金利金融商品等に飛びついてしまい、大損を被る情弱投資家が後を絶たない。

 

 

 

怪しげな金融商品の広告は「高金利・元本保証」が常套句だが、この広告が伝えたいことは要するに、「他とリスクが変わらないのにリターンが高いですよ」と言っているわけだ。

 

 

 

巷の投資本には、「低リスク高リターンはあり得ないから飛びつかないように」とだけ書かれているが、その理由を合理的に説明してくれている本はない。

 

 

 

 

著者にとってはその理由はあまりにも明白すぎるが故に書く必要はないと判断しているのだろうが、楽観的が過ぎる人は「いや、もしかしたら低リスク高リターンな金融商品もあるかもしれないじゃないか」と思ってしまうようだ。

 

 

 

 

 

低リスク高リターンの投資先が存在しないことをより感覚的に理解できるようになると、先の例に挙げた金融勧誘に引っ掻からずにすむだろう。そのためのわかりやすい例を挙げる。

 

 

 

 

 

 

金融とはつまり、お金を融資することである。そして大事なのは、金融にはお金の借り手が存在しているということ。

金融商品の利回りばかり眺めているとこれが疎かになり、低リスク高リターンの商品が存在するという錯覚に陥ってしまう。

 

 

 

 

例えばあなたが100万円を借りたいと思った時、自分と信用力(決められた金利をきちんと払い、かつ元本を返済する能力)が同じ人よりも高い金利を吹っかけられたらどう感じるだろうか?

 

 

 

 

それでも、その融資を受けるだろうか?
 

 

 

 

 

自分と信用力が同じ人間が100万円を年3%の金利で借りれているのに、自分は5%払ってもいいと感じる人間なんているだろうか?

 

 

 

 

 

 

これが、リスクが同じでリターンが高い金融商品が存在しない理由だ。

 

 

 

 

 

 

つまり同リスク(もしくは低リスク)高リターン(借り手からすれば高金利)なんてのは、借り手が承諾しない。

 

 

 

 

 

 

 

資金の借り手は、信用力が自分と同じ人に自分よりも低い金利でお金を貸している人がいれば、そちらの方に流れていく。

 

 

 

 

 

 

高金利を吹っかけていた金貸し屋もそれでは儲からなくなってしまうため追随して金利を下げ、結果として同じ信用力(貸し手からすればリスク)を持つ人はみんな等しい金利でお金を借りることができる。

 

 

 

 

 

 

逆に貸し手からすれば、信用力が低い人間にそれが高い人と同じ金利でお金を貸したいとは思わない。

 

 

 

だから金利(貸し手からすれば利回り)が高いとはつまり、それだけ他よりも信用リスクが高いという証拠だ。

 

 

 

 

 

 

 

これが金融の基本なのだが、最近はフィンテック=financeとtecnologyを掛け合わせたものやら複雑な金融商品がやたら多く、それらは投資家に「仕組みはわからないけど、何らかの理由で低リスク高リターンを達成できるんだろう!」と思わせてくる。

 

 

 

 

 

 

しかしながら、金融とはお金の貸し手と借り手がおり、信用力が高い(リスクが低い)なら低金利、信用力が低い(リスクが高い)なら高金利で金を貸す原則が破られることはない。

 

 

 

 

 

従って、リスクが同じなのにリターンが高いというのは借り手の頭がバグりでもしない限り起こり得ることはなく、従って、低リスク高リターンの金融商品というのも存在し得ない。