「こっちは金払ってんだよ!!」
店員に対してクレームをつけてくる客は、往々にして自分はお金を払ってるんだから文句を言う権利があると思っているのだろうが、先のセリフを小売業従事者=スーパーやホームセンターの店員に対して言う人間は、タイトルにある通りサービス業と小売業の違いが理解できていない。
こっちは金払ってんだ→何に対して払っているのか→商品の対価=店員から手厚いサービスを受けるためではない
代金に見合った商品のみならず手厚いサービスを受けたいのであれば、本来はプラスでサービス料金を払うべきであり、それが欧米ではチップという形でシステム化されている。
例えばディズニーランドに行くと、入場するだけでまあまあな金額を持っていかれるが、それはそれ相応のサービスを受ける権利を買っているからであり、そのサービスが金額に見合っていないと感じたら「こっちは金払ってんだよ」と言っても何ら問題はない。
ただ小売業に対してこのセリフを言っていいのは、商品が不良品だった場合や明かに金額に対して商品の質が見劣りする場合のみであり、例えば店員の態度が少々気に食わなかったりしても、そもそも客側がサービス料を払っていない以上、手厚いサービスを求めるのは万引きと同じ。
小売業はサービス業ではないため、それをよく理解している小売業者はそもそも店の業務を人間ではなくロボットや機械、AIに代用させている。
米国やドイツなんかに旅行に行くと、店員の態度のそっけなさに外国に慣れていない日本人はショックを受けるらしいが、これも小売業はサービス業ではないため過剰なサービスをするのも、それを客が求めるのも間違っていると店側、客側双方が理解できているということだ。
最近の若者は意外にもそれを理解できている人が多く、従ってそもそも余程のことがない限り店員に話しかける人もおらず、ただ自分が欲しい商品が店にあればそれでいいと考えている。
現代のジジババには未だにサービス業と小売の区別がついてない輩が一定数いるため、店員の態度がそっけなくても咎められない時代は日本はあと20年待たないと訪れないだろう。
もちろん、商品の場所を尋ねることすらしてはいけないと言っているわけではないが、「店員は物腰低い態度で教えるのが当たり前」「こっちは客なんだから横柄な態度で聞いても問題ない」などと勘違いしているようでは、下手すると店のブラックリストに載りかねない。
最近の小売はどこも客のブラックリストを作っており、店によっては防犯カメラの写真や身体的特徴などを描いたメモを従業員間で共有し、ワケありの客として登録する。
僕がアルバイトをしていたスーパーのレジ担当は、ブラックリストをレジの下の方に貼り付けており、もしそいつと遭遇した場合の措置をあらかじめ決めていた。
どことは言わないが、とある小売店はそのような客にはわざと愛想悪く接客し、もう店に来たくないとわざと思わせて追い払ったりもするようだ。
つまり、店員に辛辣に当たるコストを負担するのは、店員ではなくその客自身であり、本来とっくにそうなっているべきだったのだが、社会システムの変革が遅い日本でもやっとのこと変わってきているようだ。