日本は1980年から90年にかけて住宅と金融バブルが起き、それらが崩壊した傷を今も負っている。




アメリカでは2005年ごろから住宅バブル、また住宅ローンを担保にした証券バブルが起き、それがリーマンショックへと繋がる。




リーマンショックが世界の金融経済に与えた影響は凄まじく、時代がいくら過ぎても金融活動がリーマンショック以前のように戻ることはないと言われているくらいだ。



ただバブルとその崩壊は現代社会の賜物てはなく、1600年前半のオランダでは、チューリップに異常な値段が付けられたチューリップバブルなんてものも起きたことがある。



バブルとは端的に言うと、それが本来持っている価値以上の値段がつけられ、それでも需要が収まらずに価格がどんどん上昇していき、最後には一気に下落する現象のことだ。





バブルが崩壊した後には、「なんであんなものにみんな群がってたんだろうか」と、人間の行動の不可解さがよく議論される。




経済学的な観点から見ても、財にそれが持つ価値以上の値段が付くと需要が減るため、それ以上価格は上がらなくなるはずだ。




したがって、バブル期の人々の浮かれ様とその不可解な行動はあまりにも合理性が無いため、心理学と行動経済学の分野に研究が丸投げされることもあるのだが、ここで少し考えてみたい。




みなさんにも想像していただきたいのだが、現在10000円の値段がつけられている株が、明日には20000円になるであろうことがほぼ確実な場合、あなたはどうするだろうか?



よっぽどのマヌケでない限りは、その株を買うだろう。




明日に株価が上がることが分かりきっていることなんてあるのかと問われれば、バブルとはそういうものだからだ。




自分はバブルの波に乗らないという自信がある人もいるだろうが、周りの友達からバブルで数十万儲けたという話を聞かされ続けてもそのメンタルを保てるだろうか?




そしてバブルには連日のように高値が更新されていくため、今その株を買ったら儲かる確率の方が遥かに高い。




この場合、「買わない」選択をすることのほうが非合理的であるため、バブル期において人々が割高なものに群がるのは、そのバブルが過ぎ去った後なら尚更おかしな行動をしていたようにに感じるが、バブル真っ盛りの時はむしろ合理性のある行動なのだ。



逆に最高潮まで高値がついたものが一気に下落する理由は、一定数の人が利益確定のために売り始めると、それを見た周りもそこで利確するためであるが、これも至極合理的な行動だ。





10000円で買った株が30000円をつけた後、29000、28000と下がってきたら、急いで利確した方がいい。





バブルと言うと、そこに群がっていた人々をマヌケな集団として捉えがちだが、実態は単に各個人が合理的行動をとった結果の産物だ。




したがって、「なぜバブルは起きるのか」というこのブログの問いに答えるならば、「それを買うことがその瞬間は合理的であるから」だ。