みなさん、おばんです。
ミシェル・リィに案内されて初めてコリアタウンを訪れた北朝鮮工作員パク(偽名ルゥリィドゥ)は、今まで見たこともない華やかな町並みと賑わいに目を見張りながら、フツフツと激しい憎悪が湧き起こるのを感じていただ。
それは、いわゆる西側の敵対国家の繁栄に対する嫉妬からくるものだし、また、素直に魅力を感じて興奮する自分を戒め、東側へ引き戻す表れだと自覚しただ。パクは、north korean in LA の1人の男の内心に善悪の無い分断を視て、ひどく動揺しただ。オレが信じて頼るものは、どちら側にあるのだ?と。
パクとミシェルがキムチを買って戻ると、店は、すでに開店しており、数組の客が食事していただ。
パクは、麻婆豆腐という謎の料理のアレコレをミシェルにさりげなく聞いて、キムチに豆腐と唐辛子と胡麻油を混ぜ合わせたようなものを想像し、それを作ろうと意気込んでいただ。しかし、パクが目にしたソレは、想像していたものとは近くて遠いものだっただ。
パクはミシェルとともに、厨房に招かれ、パパに、客用に作った麻婆豆腐の味見を勧められただ。中華鍋には、グツグツ煮立った赤茶色の汁の中にサイコロ状の豆腐が浮かんでいただ。パクは、それがまるで地獄のカマ茹でのようだと思っただ。
パクは平静を装い、シェフ気取で、中華鍋からヒトサジすくい、口に入れタダ。ホット、スパイシー&オイリー過ぎる、初めて口する味にショックを受けて、なんとか、喉に流し込んだだ。
パパ「どうだい?ウチの麻婆豆腐は」
パク「・・・うーん、もうちょっと辛くてもいいかな」
パクは、涙目になりながら、そう答えタダ。