皆さん、おばんです。

 

わたし「なるほどですね。で?」

 

カーリー「で?って・・・そう、だから、さっきも言ったとおり、わたしはあるところに囚われている。生きて戻れないかもしれない。わたしに何かあった場合、あなたに頼みたいことがあるの」

 

わたし「ダメダメ。聞かない。ムリムリ」

 

カーリー「あなたのことは、大体知っている。ジョンのトモダチ。そして米国国家安全保障局NSAが主導したバク計画に基づいて、世界最高の頭脳が結集し開発した動物型盗夢器スーパーマリオンtype – G、通称、マリオンGの飼い主」

 

わたし「・・・ジョンのトモダチ、までは理解できる。が、マリオンジィ、て何?アルプスのオンジ?それとも、ヒゲ面のおっさんが山菜取りするゲーム?でなけりゃ、オロナミンC的なドリンク?」

 

カーリー「遠いわ。いずれもね・・・OK、今日はここまでよ。奴が来たわ。そのスプーンはわたしだと思って大事に持っていてね。ちなみに、あのフォークは一定以上の強さで握ると電流が流れる仕組みのオモチャよ。じゃあ・・・」

 

カーリーは会話を打ち切って、ふっと消えてしまいました。

 

わたしはカーリーが浮かんでいたその虚空に彼女の残像を見ようと努力しましたが、無駄でした。そうして、いつものわたしなら、面倒なことをやり過ごそうとするところですが、今回ばかりはソレを許しませんでした。

 

わたしは、彼女がわたしに伝えたかったことを猫未満の脳みそをフル回転して考えました。まず、彼女は、カレー爆弾の爆発を阻止するため、つまり、わたしの命、及び、テロリズムを未然に防ぎ、犠牲者を出さないようにするために手の込んだ装置を使いわたしの前に現れた。のであるが、気になったのは、マリオンGのクダリだ。彼女は、マリオンGとやらを、動物型ナンチャラ、と言った。そのナンチャラは、確か、トウムキ、と言ったのではなかったか。

そこで思い出したのは、わたしの記憶が正しければ、あのジョンも、そのトウムキなるモノの話をしていたはずだが・・・そうだ。奴は、わたしに、夢を盗まれたのじゃないですか?と聞いたのだ。何故、奴は、わたしにそう聞いたのか・・・思い出せない。多分、どうでもいいエピソードなのだろう。たわいない世間話から、そのトウムキなる話を持ち出したのだろう。

 

さて、カーリー・ルーは一体、何の仕事をしているのか。彼女は、何故、ルーシー殺害の件を知っていたのか。しかも、詳しく。殺害の実行者まで。MI6のジャック・プラントを。そう、鎌田さんによって、いや、正確には鎌田さんに飲み込まれたレラ・サンの電撃によって海の藻屑と消えた?彼と、何か密接な関係があるのかも。カーリーもMI6なのか?それともCIA?なら、ナイキは知っているはずだが、彼は、カレー爆弾を持ったまま、1ミリも動かず立っています。それはまるで、石原軍団から炊き出しのカレーをもらい、渡哲也に激励されて、感動で立ちすくむアメリカ人のようです。喩えがクソだな。

 

猫未満の脳みそで考えてもラチが明かないな、と諦めかけたそのとき、わたしのその薄い脳裏に、一つの疑念が湧き起こりました。彼女は本当に、ルーシーの双子の姉なのだろうか?と。そして、ルーシーはまだ生きていて、ある理由から、わたしを欺こうとしているのではないのか。そうすると、何故、わたしを欺く必要があるのか、といった疑念がまた一つ増えるのです。謎が謎を呼ぶとはこのことだな、と馬鹿みたいに感心しながら、わたしは、わたしの唯一のトモダチ、ジョン・ロトンを思いました。

 

ジョンは、いま、一体、どこで、何をしているのだろうか。彼は、ルーシーが、いや、ルーシーの姉、カーリー・ルーが言うように、破滅への道を突き進んでいるのだろうか。一体、何のために?彼が信仰する宗教が、そうさせるのか。彼の出自が、生まれ育った環境が、その生まれながらの不平等が、社会の無理解が、孤独が、無差別の殺戮を肯定する信仰の殉教者にさせるのか。わたしには、さっぱりわかりましぇーんかむばっく!

 

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