久々にザッキが書きたいな~と思って書いたお話です。
設定はSSL。逆ハー気味。ギャグ寄りの甘め。
お名前貸してくれたのは美奏ちゃん!ありがとう!!!
ヒロインちゃんの名前は大城美奏ちゃんとなってます。
主に会話形式。
キャラ崩壊あり。
それでも宜しければどうぞ。
その日の私は朝からふわっふわのクラックラだった。
よくぞ、学校に辿り着けたもんだ。
そしてよくぞ、昼休みまで耐えたもんだ。
「もう限界」と机に突っ伏してると千鶴の声がする。
「美奏?!大丈夫?顔が真っ青だけど!」
「…限界でーす…」
「やだ!美奏、死なないで!」
「死んでなーい…」
「どうしよう…っ!誰かに保健室へ…平助くんはチャイムなってすぐに購買行っちゃったし…。あ!原田先生」
「どうした、千鶴」
「原田先生!ちょうど良かった!美奏が…」
「どうした?!美奏」
「まぁ…色々と」
「とりあえず保健室行くぞ」
そういってお姫様抱っこしちゃう先生。
抵抗しようにも貧血で身体が上手く動かない。
「あ…妊娠しちゃう…」
「馬鹿言ってんじゃねーよ」
生徒からの視線はこの際無視しよう。
ガラっという音がした。どうやら保健室に着いたらしい。
「あー、ちょうど良いところにいた、山崎。美奏が貧血みたいなんだ。ちょっと休ませてやってくれ。悪いが、俺はちょっと土方さんに呼ばれててな」
「…わかりました」
先生は律儀にベッドまで私を運んでくれた。
「先生…、ありがと」
「無理すんな。帰りもきつかったら送ってやるから」
「はっ…双子が…」
「口だけは元気だな。美奏なら双子でも三つ子でもまとめて面倒みてやるよ」
先生は私の両サイドに手をついて、ふわりと笑う。
あー、歩く18●の由来が分かった気がする。
「先生がいれば日本の少子化問題は解決します」
「馬鹿なこと言ってないでゆっくり休め」
笑いながら大きな手で私の頭を撫でて離れる先生。
山崎センパイに『頼むな』と言って保健室を出て行く。
ベッドサイドには何故か冷たーい目をした山崎センパイ。
「…原田先生の子供でも妊娠したのか」
「山崎センパイもそう思う?」
私がそう応えれば、山崎センパイは盛大に息を吐いた。
「…そこまで青い顔をして何故冗談を」
「だって痛いし、フラフラするし…気分だけでも楽になりたいし…」
「その…生理、か?」
「流石、保健委員。ダイレクトですね」
「…何と言えばいい?」
「オトゥ~メイトゥ~」
「…薬はいらないようだな」
「ください。本気でください」
「今日は山南先生がいらっしゃらない。…この薬で良かったか?」
パッケージを見せながら、薬を差し出してくるセンパイ。
「あ、うん。ありがとうございます」
「あとはこれも。食べれるか?」
差し出されたチョコを見て思わず笑ってしまう。
私が大好きなチョコ。
「嬉しい。ありがと、山崎センパイ」
「早く良くなるといいな。じゃあ俺は教室に…」
私に背を向けるセンパイ。
揺れる…一筋の髪。
ぐい。
不意をつかれたのか、センパイが小さく「ぐっ」と仰け反りながら唸った。
「…大城くん」
「はい」
「…紐ではない」
「すいません、つい」
ぐい。
「…大城。俺は授業を受けたい。寂しいのかはわからないが、堪えてくれ」
ぐい。
「美奏」
「山崎センパイ、やっぱりこのエクステ似合ってる。今日こうやって何回引っ張られました?」
「主に!沖田さんに!数え切れないくらいだ!斎藤さんや土方先生にまで引っ張られてしまった!…俺は行く!!!」
「土方先生になら嬉しいんじゃ…」
ガラっと勢いよく開いたドア。
その姿を捉えた山崎センパイのオーラがたちまち鋭いものになる。
「あれ、山崎くん。いたんだ。美奏ちゃん来てる?」
「帰ってください」
山崎センパイの制止は聞かずに、カーテンを勢いよくあけるのは沖田先輩。
「美奏ちゃん体調どう?」
「沖田先輩…来てくれたんですね」
「うん、美奏ちゃんは寂しがりやだし、次の僕の授業は土方さんだし看病してあげるよ」
「やったー…」
「美奏ちゃん、棒読み」
「沖田さん!」
「そんな訳だから山崎くん、教室に行きなよ。美奏ちゃんなら僕がご奉仕してあげる。用があったらその髪ひっぱりに行くから」
「そこまでの看病いりません!貴方こそ授業に出てください!大城を利用した完全なサボリです!髪はひっぱるものではありません!大体沖田さん、貴方って人は…」
山崎センパイが説教モードに突入しようとした時、廊下から地響きのような声が…。
「そぉお~じぃ~っ!」
「あー…、嫌な声。空耳だよね?」
「山崎センパーイ、鬼の教頭の気配にゾクッゾクしますぅ…」
「気を確かに持て!」
「ん~、ここにも来ちゃうかな。体調の悪い美奏ちゃんの迷惑になるのはな~。じゃ、僕行くね。美奏ちゃん、お大事に」
にこっと笑って、スタスタと保健室を出ていく沖田先輩。
「総司ぃいいーっ!!!俺の授業をサボろうなんざ何十年もはぇえんだよっ!」
どうやら廊下で見つかったようです。
「ヤだなー、土方さん。何十年もいたらとっくに卒業してますって」
「あの人も懲りない人だ…」
この学校での日常茶飯事なやりとりに山崎センパイは息を大きく吐いた。
「…山崎、か?」
「斎藤さん」
「人の気配がしたので覗いてみた。もう授業が始まる。早く教室に戻れ」
「はい」
「…誰かいるのか?…大城?」
そっと保健室に入ってきた斎藤先輩はカーテン越しに私を見て少し目を見張る。
「斎藤先輩…。私、原田先生とのコを…」
私の言葉を聞いた途端に斎藤先輩の眉間に刻まれる皺。
「…っ。致し方ないな…。出産祝いは石田散薬でいいか」
「お願いします」
「斎藤さん、嘘ですからね」
「…こんな青い顔をして…。悪阻とは本当に辛いものなのだな」
「…」
自分の言葉をスルーされた山崎センパイは呆れた顔をしていた。
「斎藤先輩…。原田先生は授業だし…、今日は山南先生もいないし、とっても不安なので山崎センパイに付き添っていただいてもいいですか?」
「…風紀委員としては『良い』とは言えないが、子がいるのでは致し方あるまい。
山崎、大城を頼んだ。出来ればその後ろ髪は今日だけにしてくれ」
「ありがとうございます。斎藤先輩」
私がお礼を言えば、力強く頷く斎藤先輩。
山崎センパイの肩をポンと叩いたかと思えば、後ろ髪をグッと引っ張って保健室を去っていった。
あ…、山崎センパイの目が怖い。
少しすれば校内に響くチャイム。
山崎センパイが小さく息を吐いた。
「…美奏」
「はい」
「今日だけだぞ」
「うん」
「…美奏が学校で甘えるなんて珍しいな」
「だって今日は本気でいつもより痛いんだもん。烝に傍にいてほしくて。ごめんね?」
「構わない」
「ありがと、烝」
その応えのように烝の口元に笑みが浮かぶ。
パイプ椅子をベッドサイドまで持ってきて、そっと腰掛ける烝。
「…原田先生の子を産むのか?」
「…私が大好きなのは烝だけ、だよ」
「…知っている」
「手、繋いで?」
掛け布団から右手を出して、ひらひらと振れば「仕方ないな」というように笑って。
優しく手を重ねて、きゅっと握ってくれる。
優しい眼差しに胸が温かくなった。
ごそごそと布団の中で身体を烝に向けて、烝の右手を両手で包む。
「まだ痛むか?」
「ん…ツラい」
「じきに薬も効いてくる。少し休め」
「うん。ありがと」
そっと目を閉じれば、優しく頭を撫でてくれる。
「…烝。ごめん…。寝ちゃいそ…」
「気にするな」
「ん…」
烝から伝わる優しさに満ちた温もりが心地よくて、深い眠りに誘われた私。
どうやら烝もつられて眠ってしまったみたいで。
5限目が終わって様子を見に来た皆に必死に弁解する烝は可愛かった。
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青い春っていいよねぇ(遠い目)
皆の前ではさほどラブラブはしないのに、
むしろそんな様子は見せないのに、
二人きりになると甘えたモードになる女の子を書きたくてね!www
可愛いじゃないか!
ザッキも皆の前ではそれほどラブラブしなさそうな感じなのでね。
だらだら書いちゃった感満載ですがw
もっと短いお話だったはずなんだけどね(遠い目)
読んでくださってありがとうございました!
みふゆ