薄桜鬼・現パロ短編【Her jealousy, jealousy of him.】#1 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。


はい、皆さん前記事には目を通していただけたでしょうか?


見てない方はこちら → 


なちさんの素敵なイラストもリンクしてますよ~( ´艸`)


さて。


左之さん@美容師のお話、番外編と行きますね。


骨組みだけは出来ていたものの、

二時間ぐらいで仕上げたので

クオリティには不安ですが、

あげちゃいます。


だってバレンタインだもの!(`・ω・´)



続きも今日中にあげれると。。。いいな。。。なんて遠い目をしながら思ってます。




いつものように拙いお話です。



キャラ崩壊ありです。



それでも宜しい方だけどうぞ。
















金曜の昼間、左之からメルがあった。



『総司や平助が美奏と飲みたいってしつこいんだが、
今日仕事の後、大丈夫か?

美奏に早く会いたい。』



バレンタインデーから付き合って、もう3ヶ月が経とうとするのに。


最後の一文にニヤニヤと頬を緩めてしまう私。



金曜の夜は左之に会う日と決めているから、
いつも金曜の仕事は気合が入ってるんだけど。


今日はその言葉にいつも以上に気合を入れてみた。


我ながら現金だ。




私も早く左之に会いたいよ。






5月の風は少し汗ばむ昼間には心地よくて。


夜が始まれば、気持ちひんやりと頬を撫でるのがくすぐったい。





駅の改札を抜けて、店へと向かう。


私は用事があったり左之に髪を切ってもらう以外は、なるべく店には近づかないようにしていた。





『ちょっと早く着いちゃったかな…。中で待つのは…うーん』



そんなことを思いながら店の前に来た時。


声が飛び込んできた。



「ありがとね!左之!!」


「ああ、また来てくれよな」


多分、お客さんのお見送り。


振り返るお客さんに左之は手をひらひらと振る。



「左ー之ー!!!」


するとそのお客さんは左之を呼んだかと思えば駆け出し、左之の胸に飛び込んだ。



私は驚いて、立ち尽くすしか…なかった。




「ちょ、マコ!抱きついてんじゃねぇよ!!」


左之が両手を軽くあげて、その『マコ』さんに訴える。


「ね、ぎゅ!ってして?ぎゅーって!そしたら私また明日から頑張れるから!」


そのマコさんは左之の言葉なんて聞かずに抱きついたまま左之を見上げる。




「…わりぃけど出来ねぇって」


その言葉は嬉しくもあったけど、今の光景は…悲しい。


左之はそっと腕を下ろす。


どんな表情をしてるんだろう…。



「えー!!何でー?!前に来た時はしてくれたじゃん!!」

気に食わなかったみたいで、マコさんは反論する。


「お前が前来たのは3ヶ月以上も前のことだろ?!」


『前に来た時』にズキンと胸は痛んだけど、

左之の言葉で『ああ…、知り合う前か』なんて頭には過ぎるけど。


ねぇ、左之。


私、不安になるよ。




「えー!!ケチ!あ!女でも出来たんだ!いいもん!こうしてやる!!」

マコさんは声を上げて、左之の胸元に顔を埋めて、ぐりぐりと押し付ける。


「オイ、止めろって!とにかく離れろよ」

マコさんの肩を掴んで、ようやく引き離した身体。


「明日からまた頑張れ、な?」

マコさんの顔を覗き込んで、言葉をかける左之。


「何だかんだで優しいんだよね、左之は!ありがと!私頑張るよ!」

マコさんは嬉しそうに左之に笑顔を向けた。


手を振ってマコさんは私がいる反対方向に歩いていく。


その後姿を見送っている左之。


その後姿を見ている私。




私はこれを見たくなくて営業中の店には近づいていなかったのに。


まだ立ち尽くしたまま、動けない。



胸の中がぐるぐると渦巻く。



『左之…、私、不安だよ?ここにいるよ?』


無言のまま背中に訴えても、勿論左之は私の方は向かずに、

そのまま店への階段を上がっていこうとする。





ガチャと開けられた一階のドア。



そこから土方さんとなちさんが出てきた。



「お、土方さんお疲れー。なち、またな」


「店、頼むぞ」


「またね~、左之」


挨拶を交わした三人。


私のいる場所は少し影になっていて。


ばれないように祈りながら、少し顔を逸らしていた。


それでも視線は左之を追いかけていた。




「…あれ?美奏ちゃんじゃない」


なちさんの言葉に階段を昇りきろうとしていた左之が勢いよく振り返る。

目を見開いて。


「どうしたの?左之なら今…」



…やばい、泣きそう。



「美奏…っ!」


左之が急いで階段を駆け下りてくる。


私の1m先くらいで立ち止まる。


私は顔をそらせたまま、動けない。




「…何だ、てめえら喧嘩でもしてんのか?」

一つ息を吐いて、言葉を零した土方さん。


「…今からトシとご飯行くんだけど一緒に行く?」

なちさんは私の腕に触れて、声をかけてくれる。


なちさんの気遣いに感謝しながらも、言葉が見つからない。



「なち。放っておけ」


「え…でも…」


「ほら、行くぞ。…またな、美奏」


土方さんがなちさんを促して立ち去り、二人きり。




沈黙が…重い。





「…美奏」


「…帰る。今日は会わない」

口を開いた左之に反射的に応えた。



「……見てたのか」


踵を返して家に向かおうとすれば、ぐいっと引かれた腕。


「…痛いよ」

眉根を寄せて左之に訴えれば、和らいだ力。


「…わりぃ。…もう上がれるから一緒に」


「…そんな気分じゃないよ」

私が視線をそらせて左之の手をそっと振りほどこうとしたとき。




「左之さーん!ちょっといい?って美奏も来たのか!入れよー!」

2階の階段踊り場に現れた平助さんの声が飛び込んできた。



「…」


私たちが何も応えずに、動けずにいると。


階段からテンポ良く降りてくる足音が聞こえた。



「…あれ?喧嘩でもした?」

気持ち弾んだような総司さんの声が耳に届いた。


「美奏ちゃん、僕たちすぐにでもあがれるからさ。一緒に飲みに行こう?左之さん抜きで」

にこやかに笑って、私の顔を覗き込む総司さん。



左之を嫌いになったわけじゃない。


優しい左之が好き。

皆に優しいことも分かってる。


これが私のヤキモチだってことも十二分にわかってる。


でも何だか心が落ち着かない。


飲みたい気分…。



「…行く」


「な…」

私の言葉に左之は言葉を失った。


「決まりだね!平助ー。僕の鞄も取って来てー」

総司さんが嬉しそうに平助さんに呼びかける。


降りてきた平助さんは不思議そうに私たちの顔を眺めていたけど。



「じゃ、左之さん後は宜しく。大丈夫。取って食おうなんて思ってないから。
美奏ちゃんから誘われたら断らないけど」

ニヤリと口角を上げる総司さん。


「てめぇ…」

総司さんに眉間に皺を寄せて睨みつける左之。


でもすぐさま寂しそうな目をして、私を見た。


私は俯いてしまった。



「じゃ、お疲れさまー」


「じゃあな、左之さん」


私が躊躇っていると総司さんの手が肩に回されていた。


二人と歩き出した私。



背中に刺さる視線が痛かった。








いつもの居酒屋に入って、注文をして。

メニュー表をぱたりと閉じる。



「どうしたの?美奏ちゃん。何かあったんでしょ?聞いてあげる」

顔を覗き込んできた総司さん。

平助さんも顔を見れば心配そうな表情を向けてくれていた。



「…左之はやっぱりお客さんには優しいよね?」


「そりゃ…お客さんだし?」

私の言葉に平助さんが応える。



「…だよね」


「…何かあった?」


「…。…お客さんが左之に抱きついてた」

総司さんの言葉に、正直に私は答えた。



「ああ…、マコちゃんかぁ。あのコ、昔から左之さん好きだからさ」

一つ息を吐いて、軽く眉根をよせながら答えてくれる総司さん。


「そう…なんだ」

私は小さく頷く。



運ばれてきたお酒で軽くグラスを重ねて、お酒をを流し込む。



『幾ら気心の知れた二人でも男なんだから、彼女がそれについて行って飲むのは…ダメだよね』
なんて遅すぎる反省をしてみる。


『私の方が酷いや』なんて自嘲しながら、ふと思い浮かんだ疑問を口にしてみる。



「総司さんや平助さんもお客さんに抱きつかれるの?」


「たまにあるかな~」


「まぁ…なくはないけど」

総司さんがにっこり笑えば、平助さんは照れくさそうにお酒を流し込んだ。


「そかぁ…。じゃあヤキモチ焼くだけ無駄なんだ…」

私は一つ溜め息を零して、呟いた。



「あ、でも左之さんは美奏と付き合いだしてからは、それとなく抱き着かれるのとかは避けてるぞ?」


「へぇ、平助わかってたんだ」

平助さんの言葉に軽く眉を上げる総司さん。


「あったりまえ。だからさ…、美奏のことはちゃんと見てくれてるってことだと思うぜ、俺は」

『だから安心しろよ』って平助さんは笑ってくれる。


「そうだね~。僕たちの前ではあんまりのろけないけど、なちさんとか来た時は結構のろけてたりするね」

総司さんも優しい視線を送ってくれる。


「そう…なんだ」


二人の言葉に安堵した私。


左之の気持ちが遠まわしに伝わってきたようで、正直嬉しかった。




「…愛されてるんでしょ?」

総司さんが口角をあげて、私の顔を覗き込む。


「…多分」

照れ隠しにそう答えてみたけど。



左之は私には勿体無いくらいの愛情をいつもくれる。


さっきの光景で吹っ飛んでしまっていたけれど。


じわじわと胸に広がる甘い想い。


『やっぱり左之が好きだなぁ』なんて想ってしまう。




「何?足りないなら僕が埋めてあげるよ?」


「総司ぃ~、口説くなって」

総司さんの言葉に平助さんが眉間に皺を寄せて口を尖らせる。


二人の様子に私はクスリと笑顔を零した。



「僕はいつでも美奏ちゃんの味方だよ?」


「俺も!俺も忘れんなよ!美奏!」


「…ふふ。ありがと」

二人の気遣いが嬉しくて、私は笑みを向けた。



「おー、美奏はそうでなくちゃな!追加注文しようぜ!」


平助さんの明るい声が個室に広がった。













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これ含めて3話な。。。はずw










みふゆ