以前、もうかれこれ何年も前に、ハロプロ関連の動画が見放題だということでU-NEXTなる動画配信サービスに加入したのですが、先日そこで映画「あの頃。」が配信開始となり、早速視聴させていただきました。劇場公開前から、ネット上で関連動画が上がっていたので、是非映画館に足を運んで封切りを鑑賞せねばなるまいと意気込んでいたものの、スケジュールが合わないまま日が経ち、そのうち観られた方の書き込みのなかに感動したなど紋切型の感想に紛れ、ネガディブな意見を目にし、なんとなく気持ちがしぼんでしまって結局観ないままになっていたのです。

だから、U-NEXTの配信でもそんな期待はしないよう努めて冷静な気持ちで、結局オタがワイワイやってるだけなのだから、ストーリーもなにもなくて、まして感動などするはずもないと自分に言い聞かせて鑑賞させていただきました。ぶっちゃけやはりそう涙するというほどではなく、とはいえ単純にモーオタっていいなあとあらためて感じさせられたのもひとつのいつわらざる気持ちでございます。しかしそれは、私自身が一応これで2015年1月から数えてざっと6年もの間、モーニング娘。と佐藤優樹さんを応援しつづけているモーオタのひとりだからなんだと思うわけで、これがいわゆる一般の方からすると、あのオタ特有のグルーブ感など共感しえるはずはないのだから、まあそうしたことが何人かの否定的な感想として表れているのでしょう。

ところで劇中歌として取り上げられているモーニング娘。20枚目シングルのカップリング曲「恋ing」ですが、公開前にも様々の方がその楽曲の魅力を語っているところであり、本編のテーマを構成するうえで欠くことのできない存在となっています。私自身もモーオタとなってかなり初期の段階でこの曲をユーチューブ動画で知り、さわやかなイントロと美しい旋律、そしてなんといっても恋の始まりをカワイイ表現で綴った歌詞にやられてしまい、すぐにiTunesでダウンロードしたことが思い出されます。

その動画とは、モーニング娘。2009年よみうりランドのイベントの一場面です。メンバーはそれぞれ私服様の秋の装いとなっています。最初に歌うリーダーの高橋愛さんは、大きめの赤い帽子を斜めにかぶり、黒のジーンズに薄い藍色の長めの半袖シャツを外に出し、黒色のベスト様の薄着を羽織っています。胸に銀色のネックレスが光り、栗色のロングヘアに軽くカールがかかってとてもゴージャスな感じがします。次に亀井絵里さんがBメロを歌います。シンバルロールが曲を盛り上げ、ここで歌詞に初めて「恋」という単語がはさまれます。彼女は灰色に白の柄が入ったジーンズをはき、胸元が空いた赤色のTシャツに茶色のウエスタン調のベストを合わせています。彼女の透明感あふれる歌唱が歌詞の持つ意味を引き立てます。それを引き継いで、茶色の髪をサイドポニーでまとめた田中れいなさんが歌います。藍色のダメージジーンズに紫のタータンチェックのシャツがよく似合っています。サビはユニゾンとなるのですが、それぞれのメンバーが映されていくなかで道重さゆみさんがアップとなります。黒地にピンクの彩色を施した帽子をかぶり、カーキー色のボトムスに黄色のTシャツをラフに着こなしています。

後にこの動画は、2009年10月31日開催された「モーニング娘。よみうりランドオープンシアターEAST LIVE 2009」の映像であることが分かります。それは同月に発売されたベストアルバム「モーニング娘。全シングルカップリングコレクション」にイベント参加券が同封されており、つまりそのアルバムを購入した者だけが参加できるファン感謝祭であることのようですが、そのイベントではこれまでのカップリング曲についてファンが自分の好きな曲を投票し、ランキングが発表されます。その堂々一位を獲得したのが「恋ing」だということで、この曲でフィナーレを飾ったというわけなのです。

さて、本編では「恋ing」がいたるところに散りばめられ、まさしく「あの頃。」を象徴する曲として流れています。大学を卒業したけれどもあてもなくバンド活動を続けていたひとりの若者がひょんなことでアヤヤを知り、ハロプロを知り、ハロオタとなっていくなかで泣いて笑って感動してという物語に、なんともいえない甘酸っぱさを感じてしまうのは、やはりそれはそうしたことを実体験として持っている者の特権なのでしょう。もしかすると映画製作者は、最初っからそんなことは分かっていて、誰も一般の人たちに理解してもらおうなんて気持ちはこれっぽっちもなかったのかもしれません。だって「恋ing」なんですから。私達にしてみれば「うぉ〜!」じゃないですか。これが一般人だとなんだそりゃですから。この「うぉ〜!」と言える、感じ得ることこそハロオタの特権なのです。映画公開前から、ネット上で様々なイベントや討論会、はては当時の実在の人物まで出てきて、でもってそうしたことに興奮したりして、掲示板でもファンブログでも大いに盛り上がって、実際私はこんなブログを書いている次第なのですから、まあそんなことを考えていると、あらためて私はつくづくあの時、道重さんを知り、モーニング娘。を知ることができたことに感謝し、そして今、佐藤優樹さんを応援していることに幸福感を感じるのでした。