やり過ぎていないか? Part1
IRONMAN 2016年1月号より要約
トレーニングをすればするほど筋発達を促せると信じる人は少なくない。
もちろん高強度トレーニングは有効な手段だが、やりすぎていないか。
特に初心者から中級者は強度と量を増やしすぎてしまう。しかし結果には繋がらない。
運動の強度を高める方法は数多い。但し頻度を適度に抑える事が重要であり、オーバートレーニングに陥る原因のひとつは高強度トレーニングの乱用だ。高強度トレーニングは筋のみならず神経系も疲労困憊させ、疲労回復能への負担を増大させる。さらに高頻度でおこなうことで回復および筋発達が十分に行われなくなってしまう。
高強度手法を全セットで行うなど、各セットで追い込めていない証拠であり間違っている。
ルー・フェリグノやビル・バールは限界まで追い込むトレーニングはしなかった。セルジオ・オリバーも必ずもう1・2レップ行える余力を残していた。筋肉を限界まで追い込む方法は過度に神経系や回復能への負担を増やしてしまう事を理解していたのかもしれない。
しかし彼らの運動量は決して少なくは無かった。筋肉に十分な疲労を与え、神経系や回復能が次回のワークアウトまでに回復できる程度に負担を抑えていたのだ。
追い込まないトレーニングは決して楽なトレーニングではない。十分な重量を用いて対象筋を刺激する事が重要である。
ビンス・ジロンダは高強度法には反対の立場を主張したトレーニング指導者である。
もちろん筋発達を促すためにはハードなトレーニングは不可欠だが賢く行うことが重要であり、不調や痛みを我慢してはならないと主張した。
高強度法を乱用すれば体調不良や関節や靭帯にも痛みが出てくる。怪我にも繋がる。これらのサインを我慢してはならない。
やりすぎと適量の限界の見極めは、身体の反応を見るに限る。
プラスの効果もマイナスの効果も必ず反応として現れる。その合図を見失わず正しく受け止める事。
次回のワークアウトまでに疲労感がまだ残っていたら、1、2日休めばいい。合図を無視してトレーニングスケジュールに拘りすぎると発達には悪影響しかない。
ビル・バールもクランシー・ロスも、次回のワークアウトで15セットの運動が行えなければ、対象筋がまだ疲労回復の途中であると考えていた。それができるレベルまで、彼らは対象筋を休ませてからワークアウトに臨んでいた。
マッスル・マグ誌の発行人のロバート・ケネディ「筋肉を発達させるのは、たまには甘やかさなければならない。鞭ばかり与えたのでは駄目なんだ」
リー・ヘイニー「筋肉を発達させるのは刺激が必要だが、拷問であってはならない」
ジョン・バリー「高強度法を否定するつもりはないが、その刺激を発達に結びつけるためには刺激の程度に見合うだけの栄養と休養が必要である」
ラリー・スコット「成功の秘訣は食事に8割を費やす事」(食事をおろそかにしたままではボディビルダーとして成功できない)
ビンス・ジロンダ「最高強度でのトレーニングは3週間が限度だ。そのあと1週間の休養が必要である。」
1週間の休養は何もしなくても良いが、アクティブレストですごしても良い。
アクティブレストとはブルガリアのウェイトリフターの指導者が疲労回復のために促進していた内容であった。具体的には運動量(総セット数)を75%に、重量を半分に減らしてワークアウトをおこなう。目的は血流を高め栄養の供給を活発にし、疲労した筋肉や神経系を回復させることにある。
もちろん、完全にワークアウトを休むというのも目的に沿っている。
ドリアン・イェーツでさえも高強度トレーニングは3週間を限度とし、それに続く6週間は限界直前で終わるトレーニングをおこなっていた。
アンダー・トレーニングの唯一の欠点は結果を得るまでに時間がかかるということだ。それに対しオーバートレーニングが発生すると筋発達の停滞のみならず筋力や筋量の減少、怪我、意欲の低下、免疫機能の低下とマイナス面が非常に大きい。
何のためにトレーニングをおこなっているのか見失わずに強度も量もやり過ぎないのが賢いトレーニーの進むべき道である。
■ 所感
生真面目な人ほど、スケジュールやメニューに拘りすぎてしまい、過度のトレーニングに陥ってしまうと思います。
追い込めていないとの焦りから、もう1セット、ドロップセットでもう1セット。部位を分割したら曜日にハマらず、休み無くジムに通ってしまう。こうしたことは私も身に覚えがありますが、この記事のとおりそれは悪循環以外の何物でもありません。
大会2ヶ月前となり、オーバートレーニングにここで陥るより、ピーキングに向けた調整と考え、3週オン、1週オフでこの二ヶ月を過ごそうと思います。

