福沢諭吉さんは、「学問は、ことを行うための手段で、実地で体験しなければそれは活かされないんだよ」と言っています。

 

 子どもが何か不都合なことを(しようと)したとき、親は、実に正しいことを言って止めさせようとします。

 

 例えば、子どもがテーブルにのたっとき「危ないから降りなさい」と言いますね、実に正しいと思います。が・・・

 引き換えに大切なものを奪っていることに、大人は気づく必要があります。

 

 その大切なものとは?・・・

 

 【体験】です。

 

 

 熱したフライパンに触るとヤケドをすることは、大人なら誰でも知っていますね。だから触らないように気を付けるわけです。

 

 何故ヤケドをするって知っているのでしょうか?・・・どこかで体験しているからです。

 知っている人は例外なく、過去にヤケドをしています。

 

 

 体験は、個人のものです。

 

 ヤケドしたことない人にヤケドの、あのヒリヒリした何とも言えない不快感は想像できません。

 どんなにあなたが「ヒリヒリしていたいんだよ」と説明【知識】しても、ヤケドをしてみないと【体験】、残念ながら想像できないのです。

 

 

 子どもは、色んなこと(もの)に興味を持ちます。

見て「うわぁ」

触れて「あれっ」

舐めて「ん」

聴いて「あっ」

感じて「おー」・・・

 

この瞬間を【気づき】と言います。

 

気づいて、試して、応用して、子どもは成長します。

 

 

 私(園長)の一つ上の兄は子どもの頃、目をつぶったまま自転車に乗り、塀に激突したことがあります。(ケガは無し)

 母は、烈火のごとく怒りました。当然ですよね。

 

 悲鳴に近い声を上げながら叱る母の前で、少しへらへら笑いながら兄が、「やってみたかったんだよ」と満足そうに応えていたことを、今でも憶えています。

 

 これが、子どもの世界観なんです。

 

 危ないことやケガを推奨するものではありませんが、子どもが体験することを、大人は勇気を持って見守ることが必要ですね。