某県某市、成南電機工科大学はごく一般的な工科大学である。
この大学に数あるサークルの一つに『機械制御研究部』がある。
略称:機研【キケン】
しかし、この略称はこのサークルにまつわる様々な事件から名付けられたものだった。
機研=危険
キケン、その黄金期を描いた物語。
筆者が「浩」を名乗っていた時代の作品です。
スマホとかない時代だから、メールアドレスとか出てきます。
いつの時代かなぁ。
何も考えずに読める、エンタメ作品。
いやー、痛快。
筆者のエンタメ作品にはよくあるノリ。
工科大が舞台なので、キケンメンバーは男子(男性ではなく、男子)ばかりです。
そんな彼らの、普通で、いややっぱ普通じゃなくちょっと危険な、ん-、でもやっぱりその時代を生きてる大学生には「普通」なノリの日常の物語。
あとがきに、
男子は誰もがそれぞれのキケンを持っていて、女子はその話を聞くことでしか体感できない
と書かれています。
これだから男子は、と言いながら、自分たちにはちょっと一線ひいた形でしか共感できない感情。
あとがきを読んだときに、わからないでもないかも、と思いました。
作中、いまはもう自分たちの舞台ではない、と主人公がキケンを想うのですが、
その感情もわからないでもないかも。
いくつになっても思い出す、思い出せる、過ごしてきた時間があって、それが「日常」であればあるほど、懐かしく思えて、「過去」にしてしまう自分を認めたくない。
そんな感情は誰のなかにもあるんだろうなぁ、と思います。
そういう意味ではキケンは誰のなかにも存在するのかも。
久々の有川作品、面白かったです。