「寒い」
仙石の口が言葉を紡ぐと、白い息が宙を少しだけ泳いで、消える
ポケットに手を突っ込んで、マフラーで口も鼻も隠れている
(どうやって出てきたんだろう)
考えるよりも先に体の方が行動をはじめていた。仙石のマフラーをずりおろす。
寒さで赤くなった鼻先、驚いて開いた口から出る水蒸気
「何してんの」
喋ると更に白い息がでてきた
急に宮村の手が仙石の頬に触った。と思った矢先に、そのまま寄せられ、口づけられる
少し舌が入ってきて、仙石は顔を真っ赤に染めながら宮村を引きはがす
(…熱かった)
「な、な、な!」
右腕で口元を隠し、真っ赤な顔で、白い息を吐きながら宮村の肩を左腕ではたく
「会長、かわいい」
「ば、か!」
冬の日