「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和八年(2026年)2月7日(土曜日)弐
通巻第9146号
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中国の債務危機は地方政府の財政破綻を連鎖、地方銀行が倒産
隠れ債務の実態は、おそらく1京円を超えた
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中国の地方政府の債務は2900兆円を超えている。日本のGDPの4・5倍である。
深刻な問題だが、あまり日本で議論にならないのが不思議である。有利子負担だけでもたいへんだろうが、銀行は貸し出しを辞め、貸しはがしに転じた。銀行から回転資金を借りられなくなった民間の中小企業凡そ300万社が倒産した。
地方政府が活用した融資和台(LGFV)は地方銀行から金を借りた。したがって地方銀行は経営がふらつき、預金引き出しが出来ないところが続出した。400行近い地方の金融機関が閉鎖された。
25年ほど前だった。マスコミ研究会(石原萌記代表。マスコミ各社が加盟)の団体旅行で中国各地を視察した。朝日、毎日、読売OBが主でメンバーには花田紀凱、元木昌彦氏らもいたからうるさ型が言いたいことを言う視察団。胡錦濤政権の時だから、面倒なことは何もなく、共青城市では胡耀邦の御陵にも参拝した。
九江で地方政府の幹部と懇談の機会があった。ちょうど午前中に九江市委員会自慢の工業団地を見学、なるほど団地の整備はできたが進出する企業はほとんどなく近く大學もない。近郊にマンションは林立しているのに住民を目撃しない。
「お金が入らなくなるのは眼に見えているが、その時はどうするのか」と聞くと担当官はビールを飲みながら「そんときは、また土地を売ればええんじゃ」
こうした地方都市政府の杜撰な計画と豊満な資金調達を「土地金融」モデルとチャイナウォッチャーは命名した。
不動産バブルが大音響とともに崩壊した。地方政府は改革時代の「開発国家」モデルを放棄せざるを得なくなり、破産を回避するために「略奪的生存パラダイム」へと転換した。
それは何かと言えば、肥大化した財政赤字を埋めるため、地方自治体は積極的な富の搾取、つまり苛斂誅求であって悪代官も卒倒するほど阿漕な徴税である。対象は庶民、民間企業そして外資だ。
(1)地元企業や住民への課税強化に加え、(2)短期的な流動性を確保するために長期の公的資源を担保に供する、(3)低価値資産を資本化することで担保を捏造する、という略奪的手段の出現である。“担保の捏造」”って、いかにも中国らしいイカサマだ。
これまでは土地の譲渡料が地方歳入の40%以上を占め、インフラ整備、債務返済、給与支払いに充てられた。しかし不動産バブルの崩壊により、このモデルは時代遅れになった。住宅用地売却による収入は、2020年のピークから2025年には65%も落ち込んだ。
そこでイカサマ師たちは、市場の安定よりも目先の流動性を優先することで、中国の統一市場を解体し、民間セクターの成長を損ない、リスクをむしろ高めた。
悪影響は業務運営上の危機となって露見した。財政緊縮は公共機関を直撃、貴州省や河南省などの教員はボーナスの支給中止や基本給の遅延。公務員「鉄の飯碗」が崩壊した。
難癖をつけての罰金、課税強化にくわえ、となりの州でも企業登録や支店があれば課税、警察は1キロのスピード違反でも罰金となりふりかまわぬ歳入の確保である。
▼将来の食糧もいま食べてしまえ
地方自治体は「来年の糧を食う」と呼ばれる苦肉の策略を実践している。
土地の有形資産の売却から、独占フランチャイズを20~30年かけて競売にかけるのだ。具体例として、貴州省容江県では、葬儀場のフランチャイズ権を1億2,700万人民元(1,820万ドル)で競売にかけた。
公立学校の食堂の30年間の運営権を1億8,000万人民元(2,580万ドル)の開始価格で競売にかけようとした。
これらの取引は単に資金を調達しただけでなく、硬直的な需要に対する民間の独占を固定化し、ということは今後数十年にわたってサービスの低下や価格上昇は不可避的となる。
広東省珠海市は24,000台近くの路上駐車スペースの運営権を20年間の契約で競売にかけ、7億3000万人民元(1億500万ドル)を調達した。これは事実上、将来の行政から公共事業を管理する能力を奪う。
この錬金術の典型的なモデルが江西省韻県で出現した。
地方政府の査定で帳簿を水増し、3つの河川にまたがる河川砂と砂利の埋蔵量をなんと66億8千万人民元と評価し、その採掘権を8億3900万人民元(1億2千万ドル)で譲渡した。埋蔵は捏造データ、歳入搾取戦術である。
これまでは税基盤の育成のために企業成長を奨励していた国家が自らの生存を維持するために経済生態系を食い尽くすという略奪的な体制に転換した。これでは永続的な危機に陥り、市場そのものを自ら破壊している。
これからどうなる? 底なし沼の底はまで見えない。中国では「上に政策あれば、下に対策あり」の国だから地下経済の闇もまた深い。
☆○◎☆み◎☆◎○や○☆◎○ざ☆○◎☆き☆◎☆□
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