「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和八年(2026年)3月17日(火曜日)弐
通巻第9203号
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(速報)
トランプ大統領、月末からの訪中延期へ
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中国軍最大の実戦訓練基地「朱日和基地」に奇妙な“静寂”
張又侠、劉振立の失脚後一ヶ月間、軍事訓練が行われていない
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中国軍の台湾水域、空域侵犯の頻度が激減している。
これまで毎日のように戦闘機や軍艦を台湾海峡と周辺に展開してきた中国軍がおとなしいのである。台湾国防部が毎日公表するデータによれば、トランプのイラン攻撃(2月28日)以降、中国軍機はわずか2機だった。昨年同時期の86機と比較して60%ほど減少している。
過去10日間で台湾周辺海域では1日平均6隻の中国軍艦が確認されている。中国軍の台湾周辺での出撃回数は、前年同期比で約42%の減少となっている。
我が国の尖閣水域への海警船舶の侵犯は微かに減っている。
海上保安本部によると尖閣諸島(石垣市)周辺の領海外側にある接続水域では3月11日、中国海警局の艦船「海警1307」「海警1401」「海警1302」「海警1303」の4隻が航行していた。
尖閣周辺で中国艦船が航行するのは117日連続。海保の巡視船が領海に侵入しないよう警告し、警戒を続けている。
中国軍は日頃の喧噪を控えて、「おとなしい」のはトランプが訪中するからと説明する向きがあるが、見当違いであろう。沈黙しているのは軍全体が“衝撃”と“動揺”に襲われているからである。
第一にベネズエラ、つづけてイランで中国が自慢して供与したレーダーシステムが簡単破壊されたことへの衝撃、ステルスを迎撃できなかった。習近平は赤恥を掻いた。
第二に張又侠、劉振立失脚後、軍内部には激しい動揺が拡がっていることだ。軍のどの戦区も集団軍も習近平の決定に賛意を示していない。
あまつさえ、高官がつぎつぎと粛正されているわけだから「明日は我が身」と身構え、軍のなかはモラルが低下し、疑心暗鬼がひろがり軍事演習なんて「やってられるか」ということになる。
それかあらぬか、最大実戦訓練基地「朱日和基地」が静寂につつまれている。軍のトップ失脚からすでに一ヶ月間、軍事訓練が行われていないのだ。
朱日和基地はアジア最大級の陸戦軍事訓練基地で、北部戦区に所属し、大規模な陸空共同実兵演習が可能、広大な施設である。
そのうえこの基地が軍中央軍事委員会の直轄である。
しかも台湾の「模擬総統府」が造られ、「模擬司法院(司法省)」に似た建物もある。現物を模した施設で訓練をすることで、台湾総統に対する「斬首作戦」を強化する狙いが明確なうえ、台湾に軍事的威圧を示し、心理戦を仕掛けているのだ。
▼中国最大の軍事演習基地が静寂なのはなぜ?
「朱日和」は内蒙古自治区錫林郭勒盟スニタ右旗の南部にある地名でモンゴル名の“チュリヘ”を、発音から「朱日和」という漢字を当てている。
本来の意味は蒙古語で「心臓」である。
この実戦訓練基地における特徴は、「紅軍」と敵軍「藍軍」(ブルーチーム、国民党のシンボルカラー)に分かれての実戦訓練で台湾侵攻、上陸作戦を想定している。
さらに仮想敵や仮想戦場をコンピューターで創りあげ、そのシミュレーションの中で実働部隊が動くという方法だ。
失脚した劉振立は、この朱日和基地の軍長だった。張又侠は、当該基地を統括する北部戦区(旧瀋陽軍管区)の副司令官だった。
こうした人脈は軍の部隊でももっとも尊重される絆である。
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