「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和八年(2026年)2月10日(火曜日)参
        通巻第9152号  
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「日本が進むべき方向は高市氏の政策が提唱する方向」
「日本を前進させたい方向。自民党内で高市首相の立場は強化された」
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 台湾でもっとも有名な日本人はサナエ、アベ、そして矢板明夫氏である。
 その矢板氏は殆ど連日、台湾のテレビでコメントしている。そのうえ発言に影響力がある稀な日本人だ。

 氏は残留孤児、日本に引き揚げてから日本語を覚え、大學に進学し、そして松下政経塾へ。産経新聞に入社すると北京特派員。そして台北支局長をへて独立、現在シンクタンクを率いる。
先月、石平参議院議員が台北のシンポジウムに出たおり、「中国と台湾は別の国、わたしを入国禁止処分とした中国政府は「台湾は中国の領土」だと言っているが、その台湾に私は何の支障もなく入国できた。別の国である証拠だ」と発言し、熱烈歓迎された、その仕掛け人が矢板氏である。

 前置きが長くなった。彼が書いた。
 「率直に言って、昨日まで自民党内では高市場首相は『弱いリーダー』とみなされていました。国民の間では人気は高かったものの、党内の主流は実際には彼女の味方ではありませんでした。タカ派と分類されていた安倍派は、近年の選挙でその勢力をほぼ半減させていました。一方、外交上の争いを避ける石破茂氏、菅義偉氏、岸田文雄氏などハト派が長らく党内の主流を握っていました」。

 氏の投稿は続ける。
 「今回の選挙で流れは完全に変わりました。議席を少し増やすだけでは不十分です。有権者の大多数が高市氏の政策を直接支持したのです。まるで自民党にこう告げているようなものです。「日本が進むべき方向は高市氏の政策が提唱する方向であり、彼女が日本を前進させたい方向だ」と。党内での彼女の立場は今や全く異なります

「安全保障について語る際、遠回しな表現をしなくなりました。日本の安全保障環境は非常に深刻であり、もはや安住の境にはいられない、と彼女は率直に述べています。準備すべきものは準備し、強化すべき同盟は強化する必要がある。対話は可能だが、前提として日本は自立できる」と。

 矢板明夫氏は、「これは石破茂氏のこれまでの記者会見とは大きく対照的だ。石破氏は外交がうまくいき、判断ミスを避ければ紛争は抑えられると常に考えてきた。しかし、高市氏は力という裏付けがなければ外交は譲歩にしかならないと考えている。台湾問題でも同様だ。高市氏は台湾海峡情勢を日本の安全保障と正面から捉える姿勢を示しているのに対し、石破氏は常に慎重な姿勢を貫いてきた。この政策論争において明確な選択を迫った。日本は石破氏ではなく高市氏を選んだのだ」と指摘した。

 「日本は正式に新たな段階に入った。『安倍2.0』と呼ぶ人もいれば、『高市早苗時代』と呼ぶ人もいる。これは、現実の脅威にもっと立ち向かい、抑止力を重視し、台湾の重要性を明確に認識する日本だ」
 矢板明夫氏の、このコメントは台湾向けだが、日本人の耳にもっと強烈に響かないか。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和八年(2026年)2月7日(土曜日)弐
        通巻第9146号 
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 中国の債務危機は地方政府の財政破綻を連鎖、地方銀行が倒産
  隠れ債務の実態は、おそらく1京円を超えた
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 中国の地方政府の債務は2900兆円を超えている。日本のGDPの4・5倍である。
 深刻な問題だが、あまり日本で議論にならないのが不思議である。有利子負担だけでもたいへんだろうが、銀行は貸し出しを辞め、貸しはがしに転じた。銀行から回転資金を借りられなくなった民間の中小企業凡そ300万社が倒産した。

 地方政府が活用した融資和台(LGFV)は地方銀行から金を借りた。したがって地方銀行は経営がふらつき、預金引き出しが出来ないところが続出した。400行近い地方の金融機関が閉鎖された。

 25年ほど前だった。マスコミ研究会(石原萌記代表。マスコミ各社が加盟)の団体旅行で中国各地を視察した。朝日、毎日、読売OBが主でメンバーには花田紀凱、元木昌彦氏らもいたからうるさ型が言いたいことを言う視察団。胡錦濤政権の時だから、面倒なことは何もなく、共青城市では胡耀邦の御陵にも参拝した。

九江で地方政府の幹部と懇談の機会があった。ちょうど午前中に九江市委員会自慢の工業団地を見学、なるほど団地の整備はできたが進出する企業はほとんどなく近く大學もない。近郊にマンションは林立しているのに住民を目撃しない。
 「お金が入らなくなるのは眼に見えているが、その時はどうするのか」と聞くと担当官はビールを飲みながら「そんときは、また土地を売ればええんじゃ」

 こうした地方都市政府の杜撰な計画と豊満な資金調達を「土地金融」モデルとチャイナウォッチャーは命名した。
不動産バブルが大音響とともに崩壊した。地方政府は改革時代の「開発国家」モデルを放棄せざるを得なくなり、破産を回避するために「略奪的生存パラダイム」へと転換した。
 それは何かと言えば、肥大化した財政赤字を埋めるため、地方自治体は積極的な富の搾取、つまり苛斂誅求であって悪代官も卒倒するほど阿漕な徴税である。対象は庶民、民間企業そして外資だ。

(1)地元企業や住民への課税強化に加え、(2)短期的な流動性を確保するために長期の公的資源を担保に供する、(3)低価値資産を資本化することで担保を捏造する、という略奪的手段の出現である。“担保の捏造」”って、いかにも中国らしいイカサマだ。

 これまでは土地の譲渡料が地方歳入の40%以上を占め、インフラ整備、債務返済、給与支払いに充てられた。しかし不動産バブルの崩壊により、このモデルは時代遅れになった。住宅用地売却による収入は、2020年のピークから2025年には65%も落ち込んだ。

 そこでイカサマ師たちは、市場の安定よりも目先の流動性を優先することで、中国の統一市場を解体し、民間セクターの成長を損ない、リスクをむしろ高めた。
悪影響は業務運営上の危機となって露見した。財政緊縮は公共機関を直撃、貴州省や河南省などの教員はボーナスの支給中止や基本給の遅延。公務員「鉄の飯碗」が崩壊した。
 難癖をつけての罰金、課税強化にくわえ、となりの州でも企業登録や支店があれば課税、警察は1キロのスピード違反でも罰金となりふりかまわぬ歳入の確保である。


 ▼将来の食糧もいま食べてしまえ

地方自治体は「来年の糧を食う」と呼ばれる苦肉の策略を実践している。
土地の有形資産の売却から、独占フランチャイズを20~30年かけて競売にかけるのだ。具体例として、貴州省容江県では、葬儀場のフランチャイズ権を1億2,700万人民元(1,820万ドル)で競売にかけた。

公立学校の食堂の30年間の運営権を1億8,000万人民元(2,580万ドル)の開始価格で競売にかけようとした。
これらの取引は単に資金を調達しただけでなく、硬直的な需要に対する民間の独占を固定化し、ということは今後数十年にわたってサービスの低下や価格上昇は不可避的となる。

 広東省珠海市は24,000台近くの路上駐車スペースの運営権を20年間の契約で競売にかけ、7億3000万人民元(1億500万ドル)を調達した。これは事実上、将来の行政から公共事業を管理する能力を奪う。

この錬金術の典型的なモデルが江西省韻県で出現した。
地方政府の査定で帳簿を水増し、3つの河川にまたがる河川砂と砂利の埋蔵量をなんと66億8千万人民元と評価し、その採掘権を8億3900万人民元(1億2千万ドル)で譲渡した。埋蔵は捏造データ、歳入搾取戦術である。

これまでは税基盤の育成のために企業成長を奨励していた国家が自らの生存を維持するために経済生態系を食い尽くすという略奪的な体制に転換した。これでは永続的な危機に陥り、市場そのものを自ら破壊している。
これからどうなる? 底なし沼の底はまで見えない。中国では「上に政策あれば、下に対策あり」の国だから地下経済の闇もまた深い。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和八年(2026年)1月8日(木曜日)
        通巻第9103号 <前日発行>
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キューバはベネズエラ兵と情報機関員の訓練を行ってきた
ベネズエラの情報機関の将校や指揮官をキューバが監視してきた
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 キューバは「ベネズエラに傭兵は派遣しておらず、人道支援の医師、看護師、スポーツトレーナーなどに限定されている」と主張してきた。
ところが米軍のベネズエラ奇襲によってキューバ兵、諜報機関員32人が死亡したことで、従来の嘘がばれた。彼らはマドゥロ大統領警護を担当していた。

 2008年、キューバとベネズエラの安全保障協力決定が署名され、キューバはベネズエラ兵の訓練、主要部隊の再編、情報機関員の訓練を行い、ベネズエラの情報機関を外部からの脅威から守るより、将校や指揮官の監視へと方針を転換させた。
つまりベネズエラの指導者は自国の軍人を信用せず、国内の反体制派を無力化する一方で権力を強化してきた。

 米国の軍事作戦後、キューバはマドゥロ大統領を護衛していたキューバ人工作員32名の死を否定しなかった。それどころか、キューバはミゲル・ディアス=カネル大統領が署名した大統領令で、犠牲者数と軍人階級を確認し、国葬を宣言した。この大統領令は、キューバ国家軍がベネズエラの治安機関の最高レベルに潜入していたという異例の認定に等しい

 マルコ・ルビオ米国務長官は「マドゥロ大統領の治安維持組織全体がキューバ人によって事実上支配されている」と述べた。彼を監視する者、政権内の忠誠を監視する者、そして彼と自国民を隔離する者などである。
ベネズエラは単にキューバと同盟を結んだだけでなく、キューバの諜報機関によって植民地化されていた。
 ちなみにルビオ国務長官は、キューバからの難民二世、フロリダ州選出の上院議員をつとめた。

 こうしたモデルはベネズエラに限ったことではない。ニカラグアでも同様のパターンが定着している。2018年4月の大規模な抗議行動以降、独裁者ダニエル・オルテガは治安機関に潜入したキューバ人顧問を擁立し、側近であったニカラグア人職員を排除しているという。

 ニカラグアの軍・治安機関には約60人のキューバ人顧問がおり、監視、忠誠審査、弾圧の実践を監督している。2018年4月の「クリーンアップ作戦」では、キューバの特殊部隊が準軍事組織と連携して大量逮捕や民間抵抗組織の暴力的解体にあたったと報じられている。

 ベネズエラは2024年7月28日の大統領選挙でエドムンド・ゴンサレスに投票した国民が70%以上あった。不正な開票作業によって野党候補者の当選がひっくり返され、マドゥロが権力を握り続けた。

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