無意識の差別や偏見「アンコンシャス・バイアス」について考える ≪続きを読む≫
3月21日(土) 11:30 提供:Rolling Stone Japan
音楽学校教師で産業カウンセラーの手島将彦が、世界の音楽業界を中心にメンタルヘルスや世の中への捉え方を一考する連載「世界の方が狂っている 〜アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス〜」。第16回は無意識な差別であるアンコンシャス・バイスを、産業カウンセラーの視点から考察する。
まず、この話を読んでみてください。
ある男が、自分の息子を車に乗せて、自ら運転をしていました。
ところが残念なことに、その車はダンプカーと激突して大破してしまいました。
救急車で搬送中に、運転していた父親は死亡。
息子は意識不明の重体。
病院の手術室で、運びこまれてきた後者の顔を見た外科医は息をのみます。
そして、次のようなことを口にしました。
「自分はこの手術はできません、なぜならこの怪我人は自分の息子だから」
この話に違和感を抱いた人もいるかもしれません。そして「あれ? 父親は死んだはずでは?」と思った人もいるでしょう。その場合、「外科医は男性」という思い込みがあります。これは「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」と呼ばれるものです。他にも「若者は頭が柔らかい」とか「女性は細やかな気遣いができる」など、たくさんあります。アンコンシャス・バイアスは誰しもが多かれ少なかれ持ってしまっていますが、本人に自覚がないために問題に気付きにくいという特徴があります。
他に似たようなものに「潜在的カリキュラム」と呼ばれるものがあります。t
……もしある大学の医学部で生理学を必修と定め、倫理学を選択科目と定めるならば、暗黙のうちにその医学部では倫理学よりも生理学を重視しているということを伝えていることにもなります。このように自分たちが無意識化し、刷り込んでいること、または刷り込まれている意識がたくさん存在します。無意識であるが故に、この壁は非常に高いものになります。
このアンコンシャス・バイアスや、潜在的カリキュラムなどによって、日常的に無意識に、悪意なく差別的な言動や行動をしてしまうことがあります。それはマイクロアグレッションと呼ばれます。直訳すると「小さな攻撃」という意味です。
……
たとえば、アメリカで、あるアジア系アメリカ人の大学教授は、学生から「あなたの英語は上手ですね」と言われてしまうことがあるそうです。これは、学生からすると褒めているのでしょうが、そこにはアジア系の人は英語が下手だ」という無意識の偏見があります。
……
こうした話題になると「そんなにいろんなことを気にしないといけないとなると、息が詰まってしまう」という声も上がってきます。しかし、現に日々の小さな攻撃の蓄積で困っている人がいるということ、そして、自分に無自覚な偏見があるということを意識しておく事は大切だと思います。
そう遠くない昔、多くの人が道に唾や痰を吐いていた時代もありました。「細かいこと言うなよ、気にするなよ」と言っていたことが、少しずつ、そして気付いたらいつの間にか変わっていたということは多々あります。無意識の差別や偏見も、まずは意識を持つことで、少しずつでも改善されるのだと思います。
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20数年前の高校非常勤講師時代、冒頭の手術の話を「暗黙の前提」というクイズとして、生徒たちに問いかけていたことがあります。
それまで私も含めて、周りの人は、問題がのみこめなくて、まず、えっ?という反応をするのが普通でした。
それが。
4クラスとも、すんなりと正解が出て、ビックリしました。
さすが男女雇用機会均等法世代ですね。
医者=男性、という認識ではなく、時代は変わったな、と実感しました。
もちろん、何もせずに急に変わったわけではなく、これまで散々苦労され、いろいろとご尽力された方々がいらしたからこそのこと。
こんな風にして、無意識の差別や偏見が段々となくなるといいですね。
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