『八日講御書(四条金吾殿御返事)』(佐後)[真跡(断片)] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 満月のごと(如)くなる もちゐ(餅)二十・かんろ(甘露)のごとくなる せいす(清酒)一つゝ(筒)給(た)び候(そうら)ひ了(おわ)んぬ。春のはじ(初)めの御悦(よろこ)びは月のみ(満)つるがごとく、しを(潮)のさすがごとく、草のかこ(囲)むが如(ごと)く、雨のふ(降)るが如しと思(おぼ)し食(め)すべし。
 抑(そもそも)八日は各々(おのおの)の御父・釈迦仏の生まれさせ給(たま)ひ候ひし日なり。彼(かの)日に三十二の ふしぎあり。一(ひとつ)には一切の草木(そうもく)に花さ(咲)き み(実)なる。二(ふたつ)には大地より一切の宝わ(涌)き い(出)づ。三(みっつ)には一切の でんばた(田畑)に雨ふ(降)らずして水わきいづ。四(よっつ)には よる(夜)へん(変)じてひる(昼)の如し。五(いつつ)には三千世界に歎(なげ)きのこゑ(声)なし。是(か)くの如く吉瑞(きちずい)の相(そう)のみにて候ひし。是(これ)より已来(このかた)今にいた(至)るまで二千二百三十余年が間、吉事(きちじ)には八日をつか(使)ひ給ひ候(そうろう)なり。然(しか)るに日本国 皆 釈迦仏を捨てさせ給ひて候に、いか(如何)なる過去の善根(ぜんごん)にてや法華経と釈迦仏とを御信心ありて、各々あつ(集)まらせ給ひて 八日を くやう(供養)申させ給ふのみならず、山中(さんちゅう)の日蓮に華(け)かう(香)を をく(送)らせ候やらん、たうと(貴)し、たうとし。恐々謹言。
(平成新編1586・御書全集1198・正宗聖典----・昭和新定[3]2269・昭和定本[2]1906)
[弘安05(1282)年01月07日(佐後)]
[真跡・高知要法寺(10%未満現存)]
[※sasameyuki※]