目の前に並べられた、スチール缶。
僕は震えながら視線をずっと下に落としていた。
ギシギシとなるパイプ椅子、それに心なしか肌寒いこの部屋が、後ろめたさもあってかとてもおそろしく感じた。

がチャリ、
ドアが空いて、出てきたのは屈強そうな男の人。
ひ弱な僕なんか、ひとひねりで潰れてしまいそうだ。

「君がやったんだね」
静かな海のような青い光を含んだ瞳にのぞき込まれる。
「…分かっていると思うが、これは犯罪だ。
親と学校と警察に通報させてもらうぞ。」
「…っ…おじさん…!」
震える声で、泣きながら、すがり付くように言った。
「ぼ…ぼくは…い、いじめられてて…つっ」
「お願い、お金、払うから…っ、許して…」
傷だらけの身体を抱きしめる。
僕にはもう、抗う力なんて残っていなかったんだ。
だけど、母に、兄弟に迷惑をかける訳には行かない。
いじめられてることがバレてしまう。

「…」
黙って話を聞いていたおじさんは、一息ついた後、
(わら、った?)
涙で霞んだ視界、確かに彼の口角が上がるのが見えた。
「一松君、だっけ」
名前を呼ばれる。
「いくら君がいじめられてていたとしても、万引きした事実にかわりない。
だが、」
「…おじさん、君のこと、助けてあげたいんだよ」
「ひいっ!?」

僕のお腹に、熱くて固いものが押し付けられる。
見上げた先には狂気に狂ったおじさんが笑っていて。
「…どうしたらいいか、分かるよな?」



続けるか否か