春の神楽坂

桜も散り始めるが人々も忙しなく飯田橋と神楽坂を繋ぐ坂を駆け登ったり

駆け降りたり

 

道も狭いからこそ、譲り合う姿が日本人が忘れてた粋な姿じゃないか

 

そんな時、海外赴任をしていた弟から着信があった

 

・久しぶりにオーストリアから戻るんだ 東京でいっぱいどう?銘酒があって蕎麦で飲みたい気分なんだ 場所は任せるよ

 

・通だね、おけ、任せて

 

 

パッと閃いたのが神楽坂にある”大川や”だ

 

 

 

風情のある神楽坂の中でも一際輝く

食べログ100名店も何度も受賞している

 

 

鴨も天ぷらも最高の店だ

家康も天ぷらが大好きだった

健康オタクでもあった家康が食べ過ぎて死んでしまった

 

 

日本バージョンの禁断の果実というところだろうか

明くる日、木曜日の夜だ

日に焼けて逞しくなっていた

 

 

兄弟でカウンターで蕎麦屋で飲むのも言葉には言えないおしゃれさと優雅さだ

まずは恵比寿ビールを一気に流し込み、腸内細菌を除菌からスタートだ

 

 

銘酒の長谷川をおちょこで頂く

まだこの時期は熱燗がいいだろう

 

 

 

身に染み渡る

 

そして

 

 

蕎麦屋といえばだし巻き卵だ

蕎麦屋の命の出汁を料理の基本であり全ての卵料理であるだし巻き卵

透明感のある企業のような嘘のない料理

 

 

昔からスイーツはロールケーキ

和食はだし巻き卵を見ればわかるってもんだ

 

 

西洋でもそれは変わらない

不思議なものだ人間は

当然のように、お猪口はあっという間にそこにある金箔の柄が見えた

 

お互いに手酌をし合う

兄弟ってのは、こうじゃなきゃ

尊敬と戦友

 

一緒に寝てとまる同性は親と兄弟くらいだろう

いくら仲間がいてもそれは数字上変わらない

本能だ

 

大切なものは大切にしないと壊れるし壊れやすい

これも財産なんだな、と大根おろしのみで日本酒を飲み干す

 

最高だ

 

 

✨兄貴、塩辛とも大根合いそうだね

 

○あるよ、あいよ

 

 

まるで手品師のようにさっと、塩辛が登場した

とても合う

なんで蕎麦屋の塩辛って美味いんだろうな

 

 

 

 

 

そして、メインの天ぷらだ

一見和食に見えるがポルトガル料理なんだ

 

 

テンポーラっていう

カトリックでは、四季に行う斎日(テンポーラ)で祈祷と断食を行い、その間は肉食を禁じ、代わりに野菜や魚に小麦粉で衣をつけて揚げた料理を食べていた歴史がある。

 

 

日本って国は取り入れて工夫するのがうまい

料理にも日本企業の魂を感じた

 

たまらない

これは冷酒でいきたい

 

 

最高級の極秘種を呼び寄せていた

これはサプライズだ

とても天ぷらにも合う

 

 

港区は今も徳川の土地だ、日本橋も

いいものは長く継続する

信長より秀吉より家康

 

家康がナンバーワンでオンリーワンだ

 

 

すると時間はあっという間に過ぎた

昔話をあまりしない、それがまた粋なのだ

 

 

最後に、甘味がくるところで店主からのサプライズだ

ワイングラスが登場してそこに山崎30年をストレートで注がれた

 

 

”兄弟もウィスキーも似ていて咆哮すればするほどいい味が出る、これはわたしからのあなたたちへのお礼です、いいもの見せていただきました、わたしも久しく兄弟と疎遠で羨ましくもあり会ってみようかな照れ臭いけど”

 

 

3人で乾杯し、店主が見送り、店を後にした後ソメイヨシノの花びらが舞い落ちてきた

そうか、春はもう終わった

初夏の時期だ

 

 

夏は軽井沢とか涼しい場所でゴルフしたり温泉したり

美味しいものいただいたりドライブもいいだろう

 

 

旅はあっという間なのだから

東西線神楽坂駅の出入り口で別れた

それぞれの戻る場所へ

 

いつでも、大川やは最高の演出家として待ち構えている

 

 

おわり