このブログサイトの集大成として綴ってきた「ベーシックインカム構想 」編の締めくくりをさせていただきます。
 
ベーシックインカムという制度構想は一時さまざまな方面から注目され、世界的にも導入議論や実験が広く行われてきました。しかしながら日本においてベーシックインカム導入を望む声が一気に下火になってしまったように思えてなりません。
 
原因はこれまで述べてきたように、日本でベーシックインカム導入を公約に入れた政党の理論的裏付けが甘かったり、もともとベーシックインカムの導入を進めてきた人たちから見たら、とてもベーシックインカムとは言えないような案を出してきたために、世間に大きな誤解を与えてしまったことが原因のひとつです。
その例が民進党やその後継である希望の党、国民民主党が打ち出してきたベーシックインカム案で、一般の経済学者だけではなく、ベーシックインカム導入論者まで賛同できないような内容のものでした。この政党は現金支給をしない現物支給主義の日本型ベーシックインカムや問題が多いUKのユニバーサル・クレジット制度を土台にしたようなBI案を示し、不信や反感強めてしまったのです。
 
あとベーシックインカムによって従来の社会保障制度が公的医療保険や福祉サービスに至るまで全部廃止・統合されるというデマによって、反対者を増やしてしまっております。こういうデマの発信源はベーシックインカムによって既得権益を失う政・官・財の人間でしょう。そしてベーシックインカム新自由主義だなどという政治イデオロギーに凝り固まった人たちの偏見もあります。
 
こうした人や政党を見ていて、つくづく情けない限りです。あまりに世界観が小さいと感じざる得ません。
自分と他人の幸福について真面目に考えていない人たちでしょう。
 
ベーシックインカムは包括的現金給付制度です。国民の誰もが理由を問わず等しくお金を受け取れるものです。
お金はその人が労働というかたちで社会に貢献した度合いに応じて分け与えられるべきだという考えは当然のことですが、同時にすべての人に生きる権利というものがあります。お金が生きるために必要なものである以上、一定額のお金を人々が得られる仕組みもつくっておく必要があります。生きるために必要なお金は保障するけれども、もっといいものがほしいと思う人は人以上に働いて貢献し、お金を稼げばいいという考えです。
 
井上智洋さんなどがいうように、AIやロボットが急速に発達して、人間の労働の必要性がほとんんどなくなる時代が来るのはまだ数十年以上先のことだと思います。しかしながら世界中で人々の低所得化や貧困の拡大が進み、それによってデフレ不況が慢性化してしまうという経済状況になってしまうという可能性は十分考えられます。包括的現金給付制度の確立は避けて通れないことになってくるでしょう。一般大衆の低所得化や貧困化が資本主義経済というシステムをやがて機能不全に陥れてしまうかも知れないということを今のうちに議論しておくべきだと私は考えます。
 
フィンランドで行われたベーシックインカム実験は十分なものではありませんでしたが、それでも受給者の幸福感はかなり増したという実験結果が得られています。就労が伸びていないから実験失敗という見方があるようですが、人々の幸福という視点でみたときは成功であったと私は思います。
 
経済学は何のためにあるのか。
それは人々の幸福のためにあります。
 
民間企業に投資を促して、優れたモノやサービスの生産を活発に行わせることで、人々に豊かさを享受できる社会をつくることが経済学の使命です。雇用もそうです。人々に労働という活躍の場を与えて、多くの所得を得られるようにすることも経済学の役目です。優れたモノやサービスが多くの人々に分配されることで、満足が広がり、結果として社会の安定や平和につながっていきます。
 
ベーシックインカムは人々の暮らしをもっと安定したものにさせ、心を和ませていくことになると思います。この制度ができるとかなり暮らしやすい世の中になるでしょう。
イメージ 2
 
イメージ 1
 
自分たちの暮らしがしっかり守られていれば、他人と余計な諍いをする必要がありません。他人から奪ったり、他人を屈服させるようなゲームにのめり込む必要がないのです。
 
このブログの「ベーシックインカム」編はここでひとまず終わりとしますが、新しい動きがあれば時評というかたちで取り上げていく予定でいます。「暮らしの経済手帖」はyahoo!ブログサービスから新しいブログサービスへ移転し、season2へと衣替えします。これまでの記事に加え、時評を中心に新記事を書いていきます。
 

 

~お知らせ~

 

「お金の生み方と配り方を変えれば 暮らしが変わります」

 
 
サイト管理人 凡人オヤマダ ツイッター https://twitter.com/aindanet
 
イメージ 1