皆様新年あけましておめでとうございます。今年初の記事は新編「アベノミクスとリフレ政策 」の第一回目です。
昨年8月末から年末までの4か月間・40話に渡って長作の「 デフレと失われた20年 」を書き綴ってきましたが、「「アベノミクスとリフレ政策 」はその復活・再生編となります。
アベノミクスがはじまって今年で5年目になり、昨年は投資や雇用改善効果がかなりはっきり目立つようになってきました。しかしながら一般消費行動の改善はまだいまいちで物価上昇率もなかなか上昇しません。このことで「2年間で2%の物価上昇を目指すと言ってきたのに、まだできていないじゃないか。アベノミクスは失敗だ。」などと言い出したり、雇用の回復も「団塊世代の定年による大量退職や少子化による就労可能人口の減少で改善しただけ」だなどと言う人たちがいます。日銀側の中だるみや政府側の緊縮財政傾向も目立っています。
そのために「リフレーション政策の話?もういいよ。」と思われる人が多いかも知れませんが、この政策をあと数年以上徹底して続けないと「拙速な量的金融緩和の解除と景気・雇用の再悪化 」で書いた2006年の早すぎた量的緩和解除のときと同じように、瞬く間に日本の経済活動や雇用情勢がヘロヘロに失速しかねません。消費活動の本格回復は現在の雇用情勢があと数年続いて「これからも日本経済は安定的に成長し、自分たちの所得が伸び続つけるだろう」という予想が人々に定着してからになるでしょう。20年以上も続いたデフレですのでそこから脱出するにも10年かかることは覚悟すべきです。
そしてこのウェブサイトでも取り上げるつもりですが、現代版シカゴプランというべき信用貨幣制度から政府貨幣制度への転換を計る貨幣発行・供給レジューム改革を唱える前に金融政策と財政政策の基本を学びなおす必要があります。この基礎ができていないまま「政府貨幣」だとか「通貨発行益で財政出動を」などというべきではありません。今回のリフレーション政策編は貨幣の発行や金融政策のメカニズムをきちんと解説していきたいと考えます。
参照 幣サイト「中原伸之審議委員が実現した量的金融緩和政策 」「2001年からの量的金融緩和政策の効果は? 」
そのため上の記事と一部内容が重複しますが、再度おさらいのつもりで量的緩和政策のことも書き改める予定でいます。
あと小泉政権下の量的緩和政策のときにも竹中平蔵氏が導入を提唱していたものの、盛り込まれなかったインフレターゲットがアベノミクスで採用されたことは特筆すべきことです。これによってリフレーション政策の目的や行程が金融関係者だけではなく企業の経営者や一般の国民までに広く周知され、投資や消費行動の変化を促しやすくなりました。ここでもゲーム理論に基づいてそれを解説していきます。
それから「どうして借金からお金が生まれる制度ができてしまったのか?」で書いたように、いまの紙幣が銀行の融資という無からの信用創造によって生み出されており、企業がそのマネーを資金にして投資を行うことで市中に供給されていく仕組みをおさらいします。リフレーション政策は上のインフレターゲットを利用して信用創造を活発化させることにより、市中へのマネー供給や(雇用による)分配の加速を計っていくことを狙っています。
そのあとリフレーション政策についての的外れな批判についても論駁していくのと同時に、アベノミクスの課題とリフレーション政策の今後について書いていきます。国債の日銀買受によって生まれた大量の通貨を遣った財政出動(ヘリコプターマネー)も取り上げます。
~お知らせ~
今後日本の政局や北朝鮮問題についての論考は下記ブログで掲載していきます。