面会交流が終わる時刻だった。弁護士さんからのメールが届いた。予定していなかったが、明日事務所に来てくださいとのこと。そして、今夜子供を連れて逃げる事は絶対にしないでくださいと。



お子さんが今後暴力を振るわれないように、私から相手方(父親)へ然るべき対応をしますので安心してお子さんを渡してください。



父親が迎えにきた。

子供は嫌がった。行きたくないと止まって嫌がったが、父親が引きずるように引っ張った事で狂い始めた。泣き叫び父親の足を蹴ろうと暴れた。千切れんばかりの声を上げる。喉から血が出るんじゃないかと思うほど叫ぶ。「うるさい!」と父親がもっと強く引きずり、私は殴られるんじゃないかとヒヤヒヤしながら子供をなだめる。ここまで子供が嫌がる理由はわかっているのに、父親の暴力を恐れて「大丈夫だから、大丈夫だから」と言っている。

それはまるで裏切りのように聞こえただろう。なんてことだ。ママがいい!ママがいい!と叫んでいるのに、私の行為は父親へ嫌がる子供を渡す事だった。




胸が潰れそうだった。私は最低の母親だ。子供は父親の拘束を逃れようと暴れながら叫び




 ママー!ママー!嫌だーーー!




車に押し込まれ、何度も出ようとし、何度も押し戻される。子供は、私を見ていた。何もせずに立っている私を見ながら、見捨てられたと感じていた。ただ立ち尽くして助けなかったママ。死に物狂いで助けを求めたのに、助けてくれなかったママ。




子供にとって、私がPTSDの原因となっています。この時の事はあまりにも辛かった記憶のためか、忘れているような事を言っていました。しかし、徐々にそれが原因だったとわかる時がやってきます。捨てられる、助けてもらえない、そんな恐怖心が子供の言動に現れてきます。私が彼の心の奥底に、深い傷をつけたのです。とても深くてなかなか気づけなかったこと、本当にかわいそうなことをしたと悔やんでいます。