ブラジルワールドカップ記念として、過去の日本のワールドカップを振り返る企画。第4弾として2002年日韓大会のロシア戦をとりあげたいと思います。
2002年大会といえばベスト16入りを果たした日本の歴史的な大会ですが、ロシア戦の勝利なくしてベスト16はありえなかったでしょう。
ロシア戦━━日本がワールドカップ記念すべき初勝利をあげた、未来永劫にわたって語り継がれていく歴史的な試合ですが、私は稲本のゴールシーンしか見たことがなく、試合のほうは先日ヨウツベではじめて観たのです。
ロシア戦━━瞬間最高視聴率80%を記録したという奇跡の試合。私はさぞや日本のサッカーファンを大満足させる濃厚ですばらしい内容なのだろうと期待したのですが、私はあまりのことに呆然とせざるをえませんでした……。
いつまでたっても日本にチャンスらしいチャンスがやってこない。大チャンスをつくり続けていたのはロシアのほうであり、日本はロシアの一瞬の隙をついて得た1点をかろうじて守りきって勝った、という試合でした。
そしてこのロシア戦について多くの人がブログやヤフー知恵袋で語っているのですが、そのどれをとってみても『感動しました』という内容のものばかり。
こんなつまらない試合に日本中が釘付けになり、こんなつまらない試合に日本中が熱狂・感動していたのかと思うと、なんだか寒いものを感じてしまいます……。
日本vsロシア戦━━1対0での勝利という結果は別として、試合内容のほうを客観的に分析した人はいなかったのでしょうか?
日本は3412という守備的なシステム。しかし、かといってカウンター狙いというわけではない。ボールをつないで攻めていこうとするが、そのたびにロシアにボールを奪われてピンチをむかえる━━そのくり返しでした。
とにかく、チーム全体のやろうしていることが見えてきません。そんなもやもや状況を打開すべく、中田英寿あたりが積極的にミドルやタテパスを蹴ったりしていたのですが、戦況はいつまでたっても変わることはありませんでした。
一方ロシアは身長で上回るにもかかわらず、細かいパスワークで日本ゴールを脅かし続けました。体格で劣る日本がやるべきサッカーを、体格で勝るロシアに逆にやられてしまっていたのです。
私は当時の日本代表の選手たちの武器や長所はよく知りませんが、日本の選手たちは明らかに本来の実力を発揮できていませんでした。
3412というのはスーパースター軍団がやるべきシステムです。ずば抜けたスタミナと突破力を誇る両ウィングハーフがボールを前に運び、前線の天才3人のアイディアで得点をあげる━━という感じ。
しかし、当時の日本にはそんなことができるワールドクラスの選手はいませんでした。トルシエ監督が採用した3412というシステムは明らかにまちがいです。
日本はグループステージを2勝1分で突破しましたが、ロシア戦の勝利とベルギー戦の引き分けは“ただ運が良かっただけ”な気がします。
そして決勝トーナメント1回戦でトルコに敗れ、ベスト16で終わったわけなのですが、もしも監督がトルシエでなかったら、私はグループステージをもっとぶっちぎりの結果で首位通過し、トルコも倒してベスト8行けたと思います。
【史上最悪の監督ジーコに比べれば遥かにマシ】という評価のしかたなのか、トルシエのことを悪くいう人をあまり見かけないのですが、私は監督がトルシエだったがゆえに実力を発揮できなかった日本の選手たちがかわいそうでしかたないです。トルシエは俊輔の能力もまったくいかすことができませんでしたし……。
トルシエといえばワールドカップベスト16以外にも、ワールドユース準優勝、アジアカップ優勝など【多くの結果を残した監督】として評価されています。
しかしアジアカップについては、オフトジャパンのときより戦力的に遥かに上だったでしょうし、戦術もなにもないジーコジャパンですら優勝できた大会です。トルシエの監督力で優勝できたかどうかは怪しいものです……。
自国開催のワールドカップで最低限の仕事を果たしたトルシエ。それはそれでおつかれさまでしたという感じですが、ワールドカップ記念すべき歴史的初勝利の試合が残念な内容だったというのが悔やまれます。