どうもこんにちは。







禁断オフ会が楽しすぎて、また 嬉しいことが2つもあって、凄く幸せを噛み締めている私です。








「生きることは素晴らしい。人生は生きるに値する」



その通りだよ四季様!!









1ヶ月分の良いことがまとめて来たんじゃないかってくらい、幸せです。うふふ←












…………はい。








8日は7日に続いて 『この生命誰のもの』を観て参りました。




「生きることは素晴らしい」って書いた直後に、尊厳死について語ると言うね…









7日の初見が素敵すぎて、少し悩んだのですが チケットも5000円と安いし、5日間しか公演してないし、当日券も出てるし…ということで、無理やり行ってきましたよ←


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…あ、キャスボ、撮り忘れた……。






いやいや、同じ出演者だからいいやって思ったわけじゃないですからね!断じてね!







キャスレポというかキャラレポは 前回と前々回で死ぬほどやったので(笑)、今日はストーリー考察というか、設定の掘り下げ考察でもしてみようかと思います。











まず、早田の事故で受けた怪我について。


ほんのちょっとだけ医療知識のある私が、教科書やら論文やら引っ張り出して論じてみるのでお付き合いください。






早田は交通事故で重症を負いました。



江間によると、早田は

「左脛骨、右脛骨、腓骨の骨折、肋骨が4本骨折、うち1本は肺に刺さっていた。骨盤骨折、第四頸椎の脱臼と脊髄の損傷、全身打撲、いくつかの裂傷」という状態で救急搬送されてきます。
(メモったから間違えてはいないはず…)


脛骨と腓骨は2本ともすねの骨ですね。
肋骨は言わずもがな胸部、肺に刺さっていたということは外傷性の気胸を起こしています。
骨盤骨折とは広義な言い方ですが これはそのままですね。
第四頸椎は首。ヒトの脊柱は7本の頸椎、12本の胸椎、5本の腰椎、そして複数の骨が癒合した仙椎・尾椎から形成されます。その脊柱管の中に神経の束、すなわち脊髄が通っています。首の上から4番目(専門用語ではC4とかいいますね)の骨が脱臼し、その衝撃で同時に頸髄を損傷したと。第四頸髄は残存していて、第五頸髄以下が損傷しているわけですね。
全身打撲や裂傷もそのままの意味です。交通事故による外傷の典型例ですね。


ちなみに、頸髄損傷の原因で最も多いのが交通事故なんだとか。






看護学の教科書では 脊損と大きく区切られていて、どの部分の脊髄が損傷することで どんな障害が生じるかが分からなかったので、ネットをふわふわしながら 医師の論文とか引っ張り出してみました。





ええと。
C4脱臼によるC5以下の損傷で起こる症状としては、(損傷の度合いにもよるけど)両肩関節以下の完全麻痺ですね。可能な運動は、首の運動のほか、肩甲骨の挙げ下げのみとなるようです。
(早田、肩甲骨動いてたか?笑)


麻痺ってなーに?っていうと、痛みも温度も全く感じないと言うことです。もちろんナイフで刺されてもわかりません。




それから呼吸のこと。
呼吸は横隔膜と肋間筋によって行われていますが、第四頸髄が残存していれば横隔膜の運動は保たれるので、自発呼吸は可能です。しかし上部肋間筋は麻痺するので、横隔膜のみでの腹式呼吸となります。
急性期には人工呼吸器による管理呼吸が必要ですが、回復期に入れば管理呼吸の必要はなくなるとのことです。


まぁしかし、呼吸ができるというのは最低限の機能でして。呼吸は呼気(吐く)と吸気(吸う)がありますけども、脊損による肋間筋麻痺の場合、特に呼気が弱くなるんだとか。つまり咳をする力がない。


さらに脊損では交感神経麻痺により副交感神経が優位になるので、気道が狭くなる上に気道内分泌物(いわゆる痰)が増えます。けれども咳ができない=痰の喀出ができないので、肺炎やら無気肺になるリスクも高い…。怖いよ。


早田が作中で呼吸困難になる理由はこんな感じなんですね。
そもそも、呼吸する機能自体が低下しているんです。



ちなみに脊損は上部ほど重症化するので、もし早田がC3を損傷していたら 呼吸筋の完全麻痺により 人工呼吸器が必要になります。話すこともできないというわけですね…。





あと、排泄障害ね。
いわゆる 膀胱直腸障害ってやつです。


尿道括約筋やら肛門括約筋やらも全く働かない状態ですので、自力での排泄ができません。


排便に関しては 弛緩性便秘という状態です。便意も感じないので、便秘になることもあれば 逆に失禁という形になってしまうことも…。
なので常時オムツ着用ですし、便の長期間の貯留は良くないので 定期的に浣腸で出したり、摘便(指で掻き出します。我々内では俗に『掘る』ともいう)をしたり。


排尿に関しては…排尿できないまま放置するとどうなるかといいますと、排尿は膀胱内圧上昇→上部尿路の圧力増大→尿管から腎盂にかけて機能的・形態的変化が生じる→腎機能が障害される ことになります。
つまり、身体の毒素を外に出す仕組みがイカれてしまうってことですね。腎不全です。
腎後性腎不全に分類されるのかな??
そして尿毒症となり、命を落とすことになります。


そうならないためにどうするかというと、尿道にカテーテルを突っ込んで導尿しておくんですね。膀胱留置カテーテルってやつです。持続導尿。出てきた尿はバッグに溜まって、時間ごとに破棄するんですね。


早田のベッドの右側にウロバッグ(導尿した尿を溜めておく袋だよ〜)がかかってて、「意外にリアル」と思ったけど、「緑茶でも入れるとさらにそれっぽく見えるのに…」とも思ったのは余談w


すいません、我々看護師という人種は ご飯食べながら排泄の話ができてしまうような奴らです。

コップがなければ検尿コップ(もちろん未使用ですけど!)で緑茶が飲めてしまう奴らです。ごめんなさい。。。






話が逸れました。






まぁ想像できるかはアレとして、これ、相当な羞恥心だと思いますよ。
若い人で、意識が清明な場合なんか特にね。


そりゃあ、死にたくもなるかもしれないですよね…。




そのほかにも、麻痺域の皮膚が体温調整機能を喪失しているので発汗がなく、体温が異常に上昇したりもするとか。エタノールで清拭したりもするらしいです。


そういえば、舞台って照明のせいか ものすごく暑いってよくお聞きするんだけど、早田役の近藤さん、あんまり汗かいてるように見えなくて。

見えなかっただけかな??

それか、布団の中に保冷剤でもゴッソリ仕込んでたりして←









いやいや、それにしても
学生のときより脊損について勉強したわ(笑)









肋骨が肺に刺さるというのはテレビとかフィクションでよく聞きますよね。
気胸という状態です。胸郭と肺の間に空気がたまって、肺が膨らまなくなる ということですね。片肺であれば命に関わるものではありません。
もちろん痛いし苦しいけど…。



ここまで見てると、早田がどれほど重症か なんとなくわかってきたような。


皆さん、交通事故にはホントに気をつけましょう。
脊髄は損傷したら2度と治らないんだぜ!


あと、身体は動かさないと、どんどん固まっていくんです。
拘縮ってやつですね。関節の可動域がどんどん狭まっていくんですよ。


それを防ぐためにどうするかというと、リハビリです。


関節を他動的に動かして拘縮を防いだり、血栓やら褥瘡(床ずれ)形成の予防にもなるしね。
あと 言語聴覚士のリハビリも重要になってくると思います。
呼吸やら嚥下やらね。


きっと早田もリハビリやってるんだろうなぁ。







次にメンタルのお話。


障害を受けた方の受容の過程の理論は色々ありますが、有名なのは2つ。


まず、フィンクの危機モデル。

①ショック
強い不安から混乱状態になり、無気力状態に陥る段階。

②防御的退行
自分自身の状況を否認したり、反対に願望のような回復に対する期待を持つ段階。

③承認
色々な葛藤がありながらも、少しずつ自分自身の状況を理解していく段階。

適応と変化

新しい価値観を見出し、現在の自分自身を受け入れる段階。



次に、コーンの段階理論

①.ショック
発症・受傷直後であり、現実に起きていることが「自分自身とは関係がない」というような衝撃を感じている段階。

②.回復への期待
自分自身に起きていることを否認し、すぐに治るだろうと思い込もうとする段階。

③.悲哀(悲嘆)
徐々に現在の状態や状況を現実的に理解しはじめ、自分の価値が無くなり、全て失ってしまったと感じる段階。

④.防衛
前向きに捉えることで、障害をものともせず感じることができはじめる段階。もし前向きに捉えることができなかった場合は、心の平静を保つために防衛機制を多用することがある。

⑤.適応
障害を受け入れ、障害は自分の個性のひとつであり、それによって自分の価値が無くなることはないと考え始める段階。少しずつ、他者との交流も積極的になっていく。




コーンの理論だと、早田は悲哀の時期になると思うんですよね。


とすると、江間の言う「時間が経てば…」って言葉も 分かる気がしませんか?




フィンクだと、③と④の間?

でも、裁判のくだりでちょっとワクワクして「人間に戻れた気がする」って言ってたあたり、それは新しい価値観を見出しているのと同じことなのかなって。


…いや、違うかなぁ。

なんか考えすぎてよくわからなくなってきましたよ。










次に、精神衛生法について。


看護師国家試験に出るんですよ、精神科の入院形態。もう忘れましたけど…


なので 教科書引っ張り出しっ!




精神科の入院には色々形態がありまして。

①任意入院
同意者:本人
本人の自由意志による入院。指定医の診察は不要。

②医療保護入院
同意者:保護者
精神保健指定医により医療及び保護のために入院の必要があると認められたもので、本人の同意が得られにくい場合、保護者の同意の元の入院。

③応急入院
ただちに入院させなければ 医療及び保護をする上で著しく支障がある精神障害者で、保護者の同意がすぐに得られない場合は 72時間までの制限付きで入院させることができる。

④措置入院
同意者:都道府県知事
入院させなければ自傷他害のおそれがある精神障害者の入院。精神保健指定医2名以上で診察し、その結果が一致した場合に入院が可能となる。



これはわかりやすいですね。
江間は早田に対して、④の措置入院を適用させたわけですね。


法律知識はないので 人身保護法についてはちょっとわかりません。
コピペでどうぞ(笑)

『基本的人権を保障する日本国憲法の精神に従い、国民をして、現に、不当に奪われている人身の自由を、司法裁判により、迅速、かつ、容易に回復せしめることが人身保護手続の目的である』


作中でも似たようなこと言ってましたもんね。



希死念慮=精神障害ではない というのは誰でもわかりそうなものですけどねぇ…。


というか、精神保健指定医なのに、個人の見解で診察しないでくれよって思いませんか?


土屋もそうだし、聖ドミニコ病院の頑固なクリスチャンもさぁ!!


クリスチャン=自殺禁止だもんね。
それって思っきし自分の信仰の押し付けであって、それを診察結果に反映させちゃいけませんよね。



いかんいかん、興奮してしまったぜ。






なんかダラダラとよくわからない考察しちゃったけど、それくらい深〜く理解したいくらい 濃密な舞台だったんですよ。


また再演してほしいな。
今日千穐楽迎えたばっかだけど←








あ、あともう一つ。



私の周りの看護師は、尊厳死賛成派が圧倒的多数でした。

私も含めて。



普段からDNR(do not resuscitate、蘇生措置を行わないこと)とったりしてるしね。

大抵は高齢者だけど、弱っていくけれどもなんの処置もしない、ってわりとあることなんです。処置しないと死ぬとわかっていてもね。

もちろん、家族の同意の上ですけど(本人は意識不明なことが多い)。



助かる見込みないのに 無理矢理命を引き延ばして より苦しんでいるのを見たりすると、自分はこうしてほしくないな、とか思ったりするんです。



命の価値って、誰が決めるんでしょうね。

命って誰のものなんだろう。








なんか まだまだ語れるけど、長くなりすぎました。



次で終わりにするので、もう少しお付き合いください。





















ウワァ〜、文章めちゃくちゃだァ〜_(:3 」∠)_
















あ、それと

今回の記事を書くのに参考にさせていただいたサイトやら本やら、載っけておきます。



医学書院
系統看護学講座 運動器
系統看護学講座 精神看護の基礎
系統看護学講座 腎・泌尿器
系統看護学講座 脳・神経