◆恋愛純情◆ | 恋愛小説-Meru's story-

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  ◆恋愛純情◆


-*01*幼馴染、それ以上-



その日は誰もが胸を躍らす日。


私だってそう、精一杯のおしゃれをして学校でもないのに制服を着て。


藍川 結菜(アイカワ ユイナ)。高校一年。


いつもよりも多めのアイラインと、うっすら塗ったマスカラ。


ほんのり赤いチークを頬に付けて。


長く伸びた髪を、緩く巻いて。


その時。


―――♪


携帯が着メロのオルゴールを鳴らした。


「あ」


表示された名前は「唄」、高校で知り合った気の合う友達。


私はベットの上に投げ捨てられていた携帯を拾い上げると、自分がベットに寝っ転がった。


『もしもーし、結菜?準備できたー?遅いよっ!』


携帯からは朝から元気のいい唄の声。


その声で私は、ベットから起き上がる。


「ごめんごめん、今いくからさっ」


右に捻った首と肩との間に携帯を挟み、話しながら準備をする。


『待ち合わせのコンビニにいるんだけど、このまま結菜の家向かうよ』


「あ、準備できた!今から向かうっ」


準備していたカバンを肩にかけ、ばたばたと部屋を出る。


「……あ」


階段を途中まで下がった時、私は忘れ物をした事に気付く。


部屋まで戻って、鏡の前に立ち、スカートをもう一回折り返した。


「先輩とかいないし、これぐらいいいよね」


鏡に映った自分の姿、高校生なんだって実感した。


―――♪


もう一回オルゴールが鳴る。


「わっ、時間やば」


オルゴールが鳴り響く中、私は階段を下り、そして外に出た。



今日が運命の日だなんて、そんなことも知らずに。



「結菜、遅ーい!」


家を出ると、案の定、唄が待っていた。


「ごめんっ」


唄も気合が入っているのか、いつも短いスカートが更に短くなっていた。


「あ!結菜、メイク可愛いー」


「唄こそっ、てか香水きつくない?」


「だよねー、かけすぎちゃったんだよー!!」


休日のこんな女子トークに、笑いあう私たち。


今日、二人がこんなにもおしゃれしたのは、ある場所に向かうため。


「じゃあ、行こうか♪」


「りょーかいっ」


二人はうなずき合うと、また女子トークをしながら歩き出した。



「意外と盛り上がってるじゃん!」


ほぇーと、唄は驚いた様子だった。


私たちが向かったのは、私の母校の中学校。


そして、至る所にある〝文化祭〟の文字。


そう、今日は私の中学校での文化祭!


香りだした甘い匂いに、文化祭に来た人の騒ぎ声。


どこからか聞こえる歌に、りぼんや風船でカラフルに飾り付けられてる校舎。


「懐かしい…」


そう、懐かしかった。


高校生になって改めて実感。


仲良かったみんなと三年も過ごした校舎。


もしかしたら中学の友達に会えるかもしれない。


楽しみ、楽しみ!


「ねえ、唄」


話しかけた先に唄はいなくて、えっと戸惑う。


「結ー菜ー!」


唄は少し先に歩き出していたみたいだった。


恥ずかしっ、私。


それでも心は躍りまくってる。


唄のところまで走っていくと、どこにいこうか、の話が始まった。


今日一日、楽しむぞっ。


私は満面の笑みを浮かべてた。



「もー最高っ」


両手に食べ物、騒ぐ私たち。


楽しい!最高っ


ふとその時、一つの曲が耳に入ってきた。


「ねー、結菜!次はバンド聞きに行こうよ!」


「りょーかいっ」


耳を頼りに、曲の聞こえる教室に向かう。


そこは3年4組だった。


ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード。


中学にしては本格的なバンド。


彼らの奏でている曲は、聞いたことないけど、耳に入ってくる良い曲だった。


それにしても、すごい人気。


教室に人が入りきってない。


なんか自分の事みたいに嬉しくなった。


だってバンドのメンバーに、槇斗がいるから。


「どれだけの想いを伝えれば 君は振り向いてくれるんだ


 振り向くはずの無い君を必死で追いかける俺


 追いかければ追いかけるほど、遠く離れていく君 こんなにも愛してるのに」


良い曲。


詩とメロディーが絡み合って、最高に綺麗。


キーボードの奏でる和音も、それに絡み合うように。


「ねーねー結菜!ボーカルの人、かっこよくない!?」


頬を染めた唄。


その声にギクッとした。


「唄、その人…私の彼氏」


「え」


唄の上ずった声。


「まじで…?」


「うん」


唄は最初は驚いたみたいだけど、にこっと笑って「いいなぁー!羨ましいっ」とつぶやいた。


曲が終わり、自然と観客から拍手が生まれた。


上手い、すごいよ、槇斗。


その時、槇斗とはっと目線があった。


槇斗は無邪気に笑うと、恥ずかしそうに顔を伏せた。


私はくちぱくで「か っ こ よ か っ た 」と伝えると、槇斗はさらに顔を赤らめた。


「いいなぁー、初々しいっ」


唄も微笑んでた。



それでも人は儚い。


大切な物を自ら手放すことだってあるんだ。


私はこの時思ってもみなかった。


私たちの別れ、本当の恋――を。



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