数年前のことですが、私の妻がトクサを入れた寄せ植えを作ったことがあります。確かヒメトクサという品名で売られていた少し小型のもので、他にはシュウメイギクなどを植えていたように覚えています。それまで私はトクサに対して特別なイメージは持っていなかったのですが、妻の作った寄せ植えを見て“こういった使い方ができるのか”と驚き、他の植物と合わせるのも良いものだと感心しました。また、近頃では美容院などのお洒落な建物の植え込みに用いられているのもときどき見かけることができ、園芸植物としての魅力が再評価されつつあるようです。
このように、園芸植物としては地味ながら愛好されているトクサですが、有用植物としての側面は意外に知られていないように思います。私も、好きな漫画である「釣りキチ三平」で読んでたまたま知ったのですが、トクサにはケイ酸という成分が多く含まれておりヤスリとして細かな研磨に使うことができるそうです。「釣りキチ三平」では、竹から作られる和竿の磨き材として乾燥させたトクサを使うシーンがありました。そういえば、トクサの漢字表記は“木賊”の他に“砥草”があてられたりもするようです。ちなみに、トクサは薬用にも用いられることがあるようで、その場合には“木賊”と書いてモクゾクと読むそうです。用途によって表記が使い分けられているようで、面白いですね。
ここではトクサについて述べましたが、トクサに限らず身近な植物には意外に有用植物としての性質をもつものが少なくないようです。しかし、植物のもつそうした性質は現在ではかなりのものが忘れ去られているように思います。ただし、一方では外来のハーブの薬効が強調されたりしているので、何かしら意図的な力が働いてそうなっているのでしょうか。 いずれにせよ、植物の由来や歴史を知ることは園芸の楽しみのひとつであるということをトクサは教えてくれているように思います。