その頃、はるかちゃんは何度かのオーバードーズ、リスカ等を繰り返し、
もう完全に、手に負えなくなり、自殺防止のため、しばらく入院することになった。

もう名前も忘れてしまったが、
家からはかなり離れた病院で、
なぜか、リゾートホテルのような雰囲気に設計されていて、とても不思議な病院だった。

遠かったので、2、3日おきに見舞い?面会?に行っていたと思う。


余談になるが、私は長いこと、あまりメーキャップをしてなかったのたが、この頃から急に、濃いメークをするようになった。
多分、あまりの悲しさと苦しさを、できたら隠したかったんだ、と思う。洋服も普段より派手めの服?を選んでいたように思う。

私の濃いアイメイクを見て、母は、猫みたいな目をして怖いぐらいだと言った。

自分でもなるほどな〜と素直にそう思った。


水商売のお姉さんのメークが濃いのは、ひとつには苦労や哀しみを隠すためでもあるかもしれない、などと1人勝手に思った。


その病院の帰りの駅で、真っ赤な紅玉のリンゴが売っていた。


私はお菓子を焼くのが好きだった。



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「タルトタタン」というフランスの焼き菓子を2度ほど作ったことがあって、紅玉のリンゴが6個ぐらい必要で、高くつくな〜〜と思いながら焼いたことがあった。出来あがりは最高に美味しくて、また必ずTRYしてみようと思っていた。

しかし、その後、この季節、スーパーで小さな紅玉は4個入りで結構なお値段で、しかも売っている期間がとても短い。


そんな時、病院の帰りに、見事な紅玉がたくさん入ってバケツ売りであったのを見た時、今度は、ここで買って、必ずまたタルトタタンを作ろうと思った。

その時ははるかちゃんが入院してたからか、やめたけど、はるかに、それを見つけたこと、来年はバケツ入り紅玉をここに買いに来て、また、タルトタタンを焼くからね!と嬉々として話したりした。

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古〜い古〜いレシピ。多分、nonnoの切り抜き



しかし、結局、それは実行されないまま、終わってしまった。


今、たまに、まっ赤な紅玉のリンゴを見ると、切なくなる。

フライパンの中で、たくさんの林檎がむぎゅーと濃縮されて、濃厚なキャラメル味にからまって本当に本当に美味しかった。


降りてきて、一緒に食べてくれたら、どんなにかしあわせなことだろう。





「はるかの絵の本」できました。こちらです
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