小さい頃、
わたしはずーーーーっと、はるかと一心同体のように、いつも一緒に行動していた。 

たぶん、はるかの心の許容量の方が、わたしのソレよりかなり大きかったと今では想像するが、それにしても、はるかとわたしは長い間、とても仲良しの母子だった。



日本では、今では当たり前のようになった長寿命を考えると、

あの子の生きた年月はあまりにも短い。

けれど、密度は濃かったと、振り返ってそう思いたい。


引越しして、幼稚園に入れなかった時、わたしたちはたくさんおもしろい事を探して、一緒にいろんな事をして楽しんだ。


ある日、
スケッチブックと画材をかかえて、マンションのそばの池の周りの景色を、ふたり、橋に並んで絵を描いた。

出来映えは…もひとつだけど、

思い出すだけでも不思議にあったかい記憶がよみがえる。


はるかのはコレ、だと思う。探したけど池の周りを描いたのはコレしか見つからなかった。
まだ小さかったから、こんな感じ。水彩はあまり好きでなかったかもしれない。
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私のはコレ。私も同じく得意でなかった。
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橋を通る人びとにジロジロ見られ、覗き込まれ、とても恥ずかしかった。けれど、私はほんとは、あの時、誇らしい気持ちもあったんだ…。
(わたしたちって、今、とっても楽しんでるのよ)って、心の底で小さな声でつぶやきながら、だけど顔は恥ずかしい顔をして、人前で絵を描いた。
今となっては…かけがえない、大切な思い出の1枚となった。

出来栄えなんか、今ではどーでもいい。

はるかちゃんと、橋の上にふたり並んで、池の周りの絵を描いた。

私はそれだけでも、

十分・シアワセだったと、

思い返す。


覚えていてくれてるかなあ???
はるかちゃん。


お母さんは、この絵を眺める時、まったく下手くそやな〜とおもうけど、

あの時の夕暮れ時の幸せだった時間を思い出すんだよ。    いつも、いつも。



低い山に生い茂った深い緑と、高層マンションが、藻が水の底を煙らせたような池の周りをぐるりと囲んでいた。


あの池は今はどうなっているのだろう。






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