絵本の時間です


にしまきかやこさんの

「ふんふん なんだかいいにおい」



さっちゃんは    おおいそぎで   あさごはんをたべました。
「ゆっくり   たべなさい」というけれど、きょうは ゆっくりなんて   していられないの。
なぜって……
それは     おかあさんには     ないしょなの。

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おおいそぎで   ごはんを   たべると   どうなりますか。

さっちゃんの   くちのまわりは   たまごのきみで   くわんくわん。
てのひらは    いちごジャムで   べたべた。
エプロンは   とりのスープで しみだらけです。

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そんなことは 気にしないで   さっちゃんは   げんきよく うちを   とびだしていきました。
ドアーも     あけっぱなしで。

のはらに いくには  はたけの みちを とおりぬけて   
はしをわたって  はやしを    よこぎっていくのが ちかみちです。
さっちゃんは   のはらへ   いくつもりなのです。

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ちょうど そのころ   きつねのこが   はしのうえに こしを おろして はなを ひくひくさせて いいました。
「ふんふん    なんだか  いいにおいがするよ。
そうだ、めだまやきの においだ!
めだまやきが  こっちに むかって  はしってくるぞ!」

きつねのこは  はしのうえから  とびおりました。

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そこへ  さっちゃんが  やってきました。
きつねのこは  おおきな  こえで  いいました。
「とまれ!  おまえは  めだまやきだな」
「いーだ。あたしは  めだまやきなんかじゃないよ。 いそいでいるから  どいてよ」と  さっちゃんが  いいかえすと
「うそつけ!  おまえは  めだまやきの   においがするぞ。   ちょっと  食べさせろよ」と  きつねのこは  さっちゃんの  くちのまわりを  かじろうとしました。
「いやーねえ。  そんなに  めだまやきが  たべたいんなら  あたしのうちへ  いってごらん。
おかあさんが  いつだって  つくってくれるよ」
「ほんと?」といって、
きつねのこは  ちゅうがえりを  ひとつして、さっちゃんの  うちのほうへ  はしっていってしまいました。

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はやしのなかでは  くまのこが  ねころんで  はなを  ひくひくさせて  いいました。
「ふんふん  なんだか  いいにおいがするよ。
そうだ、いちごジャムの  におい。   いちごジャムが  こっちに  むかって  はしってくるぞ」

くまのこは  とびおきました。

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ちょうど  そこへ  さっちゃんが  はしってきました。
「とまれ!  おまえは  いちごジャムだな」
「いーだ。あたしは  いちごジャムなんかじゃないよ。いそいでいるから  どいてよ」
「うそつけ!   おまえは   いちごジャムのにおいがするよ。  ちょっと  なめさせてくれよ」
くまのこは  さっちゃんの  てを  なめようとしました。
「いやだあー。  そんなに  いちごジャムが  なめたいんなら   あたしのうちに   いってごらん。
きのう   おかあさんが   いちにちかかって   にたんだから  まだ   たくさんあるよ」と さっちゃんが  いうと、
「ほんと?」といって、くまのこは   ぺろりと  したなめずりをして、さっちゃんの  うちのほうへ   いってしまいました。

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のはらでは  おおかみのこが  ふらふらと   あるきまわりながら、はなを  ひくひくさせて   いいました。
「ふんふん  なんだか  いいにおいがするぞ。
そうだ!  とりのスープの  においだ!
とりのスープが   こっちに  むかって  はしってくるぞ!」

おおかみのこは  こいしを   ぽーんと  けとばしました。

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ちょうど  そこへ  さっちゃんが  はしってきました。
「とまれ! おまえは  とりのスープだな」
「いーだ。とりのスープが  はしってくるわけないでしょ。あたしは  おはなを  つみにきたんだから  どいてよ。」
「うそつけ!  おまえは  とりのスープの  においがするぞ。ちょっと  あじみさせろよ」といって、おおかみのこは  さっちゃんの  エプロンを  ひっぱりました。
「いやだあー。  そんなに  とりのスープが  のみたいんなら  あたしのうちに  いってごらん。  
あさごはんの  のこりが  まだいっぱいあるよ」と
さっちゃんが  いうと、
「ほんと?」といって、おおかみのこは  きばを  かちかちならしながら  さっちゃんの  うちのほうへ   いってしまいました。

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その2に、つづく。









「はるかの絵の本」できました。こちらです
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