おかえり

夫から話を聞いた次の日も

私は仕事に行きました。


毎日同じ景色なのに、

全く違って見えて

私と夫の時間だけが

止まってしまったような感覚があったのを

覚えています。


それからは、夫は

私に嘘をついて仕事に行ったふりはせず、

家でゆっくり休んでくれました。


ただ、そんな夫を置いて、

1人仕事場に行くのがとても怖くて、

早く家に帰りたくて、、

常にスマホをポケットに忍ばせて

いつでも、夫と連絡を取れるように

していました。

内容は

『何してるの?』

『もうすぐお昼だからご飯食べてね!』


返事が来ては安心をしての繰り返し。





その頃、私は初めて、

夫の上司の方に連絡を取りました。


『夫に病気のこと聞きました。』と。


すると、すぐに上司の方からの電話があり

一度夫抜きで会って話すことになりました。


上司の方はとても優しくて穏やかな人でした。

その上司の方に、

たくさん話を聞きました。


これからの傷病手当などの話や


同じチーム内の先輩の1人と関係が悪く、

うつ病を発症してしまったということと、


ちょうど私が夫にうつ病の話を聞いた日は

仕事に行く私を見送った後、夫は家を出て

駅のホームで座り込んでいたのを

上司の方が見つけたそうで、


「こんな事、聞いたらショックかもしれないけど、『今日が奥さんを見送る最後かなと思ってしまいました。』って言っていてね。あの時、見つけられて本当によかった!」


と、話してくれました。


あの日、何も知らずに家を出て、

もし、上司の方が夫を心配して来てくれていなかったらどうなっていたのか。

想像するだけでも恐ろしくて、苦しくて。


今までに、経験をしたことのない出来事に

涙で目が腫れるのを気にしながら

家に帰ると、


いつもの優しい夫が出迎えてくれました。


『おかえり』


私が守ってあげないと。。

そう心に決めました。