私の曖昧な返事を聞くと、

田波先生は納得したようだった。


私の気持ちを確かめはしなかった。



ただ、自分の気持ちを拒否されなかっただけで安心したようだった。



先生は、


「辛いことがあったら、なんでも話せよ?

 俺が、お前のこと守るから。」


そう言った。



先生の言葉は嬉しかった。



でも・・・



何かが違った。



シュウさんが、くれた数々の言葉。



あの時、感じたものとは全然違っていた。




シュウさんは、仕事が忙しくなったとかで、あの日以来店にくることはなかった。

だけど、相変わらず毎日のように連絡をくれた。



私は、なかなかメールも返さなかったし、

電話にも極力出ないようにしていた。



シュウさんへの思いが溢れてしまうから・・・・



いっそのこと関わるのを辞めようかとも思った。



でも、シュウさんを求めている自分がいて、

踏ん切りがつかないままでいた。



シュウさんを忘れたい・・・



この頃の私は、そう思っていた。


先生が立ち上がったかと思ったら私は先生の腕の中にいた。



え?



驚いたが、きっと私のことを心配してのことだろうと思い、

そのまま身を預けていた。


先生は、体を離すと、私を見つめた。


田波先生「まぁこ・・・」



先生の真剣な目に見つめられ、

私は、動くことも返事をすることもできなかった。



あの日のことが、ふとよぎったが、まさか・・・と思った。



田波先生「こんなこと言うの教師としてどうかと思うし、

       絶対、言わないでおこうと思ったんだけど・・・


       俺、まぁこのこと好きなんだ。


一瞬なんのことか分からなかった。


なんども心の中でリフレインされていくうちに、

先生が放った言葉の重要さに気づかされた。


まぁこ「え?先生、何言ってるの?冗談?」


こんな時に、こんな状況で冗談を言うわけがないことぐらい分かっていたが、

他に言葉がみつからなかった。


必死で、作り笑いをした。



田波先生「いや・・・ごめん。やっぱ迷惑だよなぁ・・・」


そう言って落ち込む先生を見ると、

切ない気持ちになった。



これ以上、自分から人が離れていくのが怖かったんだろうか。



せっかく味方になってくれる人を離すまいと思ったのだろうか。




まぁこ「先生・・・迷惑なんかじゃないですよ。」





迷惑なんかじゃない・・・





この曖昧な言葉を先生は、どう解釈するのだろう。