もう年度初めになるし、新人オリエンテーションの認知症の講義を担当するにあたり、色々調べていたらこの手紙に出会いました。
読んでるうちにぽろぽろ涙が出てきました。
当時、認知症は痴呆と呼ばれており、そのままの文面になりますが貼り付けておきます。



私はすべてを失ったわけではありません
どんなことでも まず問いかけてみてください
何でも まず私の意思を確認してみください
食べる 食べない 行く 行かない 暑い 暑くない?
どうしたのって 聞いてみてください
訳のわからないことを言うかもしれまあせんが 私は病気です
痴呆状態にあるのです 進行性の難病といってもいいでしょう
察してください ようく見てください

私はすべてを失ったわけではありません
まだまだ若いものに負けないこともたくさんあります あると思います
でも 若い頃と同じようにはできないでしょう
あせらせないで じっと見ていてください
見ていて 少しだけ手を貸してください
人間の機能や能力は使わないと使えなくなると 若い頃に聞きました
生きるためにたたかう力はまだまだ・・・・・

私はすべてを失ったわけではありません
外だって自由に出たがるでしょう 雲や星が好きです
外に自由に出られるようにしていてくれさえすれば 自分ででかけます
でもきっと目的地には着けないでしょう 戻れなくなるでしょう
そっとついてきてくれると嬉しいです
とまどったり 不安げになったら そっと傍に来て
どうしたのって声をかけてください
きっとあなたのことが天使様に見えるでしょう

私のことを笑ってくれていいですよ
きっとおかしなことを言ったり おかしな恰好をすることでしょう
でもお願いです 陰で笑ったり 自分一人だけで 仲間同士だけで笑わないで
私にも笑っている訳を教えてください
きっと私も笑いの仲間に入り いっしょにおかしむでしょう
だって おかしいことはおかしいと 私にもわかるから

私はすべてを失ったわけではありません
私のことを痴呆老人なんて呼ばないでください
私の名前は 和田サンです
私のことをわがままなんて言わないでください
私はあなたと同じ人間です
ただ 痴呆という難しい状態になっただけです
私の努力では 止められないんです 




認知症についての勉強を始め、もう3年。
この詩の作者和田行男さん
私の尊敬するかたの一人です。

色々な視点から、介護について考えさせられます。
今日、会議でスタッフたちと振り返りをして気づいたこと。

失ったあと、くるのはまず後悔や悔い、マイナスの感情。
たとえ、どんなにベストを尽くしても悔いはついてくる。

でも。
それでも。


ここにきてよかった


最高の人生だった



ありがとう




そう思っていただけるような支援をしていきたいと思う。
認知症になったって、病気になったって、
最後の最後までそのひとらしい人生を送れるお手伝いができるよう、
この仕事に誇りをもちたい。


うん、まだまだ。
がんばれ、わたし!!