餌取家愛犬、ナッツ(7歳)
5日程前から体調が悪く、朝から晩まで吐き続けていた。
食欲はあるらしく自分のご飯はきっちり食べるし、私達が食事をしているといつもの「くれくれ目からキュートビーム」を放ってくる。
その後しっかり吐くんだけど。
何度か通っていた動物病院に2日前母が連れていくと、ついに
「レントゲンでは異常は無いが、脱水症状が酷いので入院してください」
と言われた。
昨日退院の予定だったが体調が思わしくないので、入院延長。
複雑な気分のまま、『海盗セブン』を観に行った。
幕間に母が電話をしに席を立ち、5分程で戻ってくると
「ナッツお腹切るって」
え
「バリウム飲ませたら、つまってる箇所が見つかったからそこ切ってみるって」
ふーん…
「大丈夫なんだよね?」
「全身麻酔だから絶対大丈夫とは言い切れないんだって」
…
そこまで聞くと2幕開演のベルが。
もやもやしながら(隣の親子にはいらいらしながら)2幕も爆笑して、終演。
劇場から出ると、母が病院に電話をかけた。
話し方から無事に手術が終わったことは読み取れた。
「ナッツどうだって?」
「うん、今は疲れて寝ちゃってるって」
「良かったー。で、何が原因だったの?」
「…栗みたいなやつが出てきましたって」
栗
栗ですか
「殻ついたままのおっきいやつ」
栗…
「まぁ腫瘍とかじゃなくて安心したね」
うん、まぁそうね。
でも栗…いつの栗だ…
術後の経過次第では、3日程度で退院出来るそうだと聞いてほっとした。
そして今日。
今さっきナッツに会いに行ってきた。
「ナッツちゃんのご面会ですね~」
と通された治療室のゲージのマンションの中に、ナッツはいた。
足に点滴をされ、緑色の毛布の上で眠っていたようだった。
母が声をかけると耳をピクッとさせて首を持ち上げた。
喜んで近づいてくるかと思ったが体勢はそのまま。軽くしっぽをふっただけ。
具合が悪いのは明らかだった。
先生にも
「ちょっと術後にしてはぐったりしてますね」
と言われた。
初めてあんなナッツを見て、驚いて、涙が出そうになった。
優しくたくさん撫でた。
声を出したら泣きそうで名前をささやくことしか出来なかった。
摘出した「栗っぽいもの」を見せてもらったが、確かに栗だった。殻つきの。
栗1つだけでこんなに弱ってしまうなんてと思ったら、悔しくて悔しくてまた泣きそうになってしまった。
帰りの車で
「ナッツまた元気になるかな…」
と母が呟いた。
大丈夫だよ
そろそろおじいちゃんだから、ちょっと回復するのに時間かかってるだけだよ
ナッツ頑張ってるから
きっと大丈夫だよ
声には出せなくて心のなかで母に言った。
寂しいよナッツ
早く戻ってきて、また一緒に遊ぼうね
栗なんかもう食べちゃダメだからね
長生きしてね
大好き