プロジェクトリーダー、安藤さん
明るい漁師さんたち
明るい漁師さんの集うS家の天井。一階は津波でボロンチョです。
瓦礫が原の先に何もない海があります。
こんにちは、荻野アンナです。
東日本大震災の被害は甚大なものでした。震災後のご縁で石巻の浜(小網倉浜)の漁師さんたちと出会いました。
3.11以来、米一粒もらっていない人たちとの出会いでした。
「いまさら支援物資はいらない。自分たちで働いて自立したい」
すべてを失った人ほど前向きです。
しかし漁業を再開するにも、肝心の桟橋がありません。市の本格的な復旧工事を待っていては、いくつもの大切な魚の季節を逃してしまいます。
現在、仮設の桟橋を建設するお力になるべく、「明るい漁村プロジェクト」と名した支援活動を行っております。
以下、参考までに2011年7月に婦人公論に載ったエッセーを貼り付けます。時間がなかったら飛ばしてください。
工事は9月半ばから始まります。良心的な建築会社(横浜の中鉢建設)がボランティア値段を提示してくれました。
365万4,000円です。
あとは生コン代ですが、これまた良心的なセメント会社と交渉中です。
「仮設」なので数年後には取り壊す可能性を残しておかねばなりません。そのための100万円も少しずつ用意せねばなりません。
私は『大震災 欲と仁義』の印税にボーナスの一部を足してお送りし、工事の手付金としました。むろん、まだまだまだまだ、全然まるきり足りません。
某日本×十字その他大手と違い、相手の顔の見える、ピンポイントの支援です。一円一円が即効役に立ちます。希望の桟橋のために、夢を形にするために、ぜひともよろしくご支援のほどお願いいたします。
1円でも10円でも結構です。口座は急なことで私名義になっておりますが、このための特別のものです。すべては今後公表、公開させていただきます。
【ご寄付専用口座】
横浜銀行 元町支店
普通 6032896
荻野 安奈
では、おまけのエッセーです。
書く仕事をしていてよかった、と本気で思える瞬間が今年は2回あった。
1回めは4月の仙台だった。津波に遭遇した女性記者から話を聞いた。彼女は被災後、記者として現場に戻った。目だけらんらんと輝いた人たちが、何か(おそらくは遺体)を探しながらさまよっていた。
すべてを失った人間には、言葉もないから、インタビューの対象からこぼれる。異様な目の輝きは映像では捕えられない。
映像メディアとツィッターの狭間で、埋もれている真実を表現するのが文字の職人のつとめ、と教えられた。
以来、私の被災地巡礼が始まった。猛スピードで、現地の混乱の一断面を一冊にまとめた(『大震災 欲と仁義』、共同通信社)。
最近、ひとりの読者から電話をもらった。Aさんは石巻の小さな浜の漁師で、被災者である。
「こういうこと書いてくれる人、いるんだなぁ」
うちらの話も聞いてほしい、との申し出を受けた。
定点観測を続ける気仙沼の避難所から石巻を廻って、帰ってきたところである。
なるべく多くの読者に伝えたい事柄を、まず書く。
3.11以来、何の支援物資も、「米のひと粒ですら」受け取っていない被災者が存在する。
命ひとつで逃げ出した彼らは、ポケットの中のわずかな現金を出し合って食料や衣類に宛てた。
銀行が復活すると預金を崩し、あるいは借金をして、アパートを借りたり、知人や親戚に身を寄せたり、何とかしのいできた。
なぜ彼らがモノを受け取れなかったのか。そのためには小さな浜の暮らしの理解が必要になる。
避難所になるのは小・中学校だが、その小学校が、数個の集落にひとつしかない。ひとつの集落の住民だけでも溢れてしまう。
集落ごとに、家を流されなかった個人が手を挙げて、避難所の看板を出す、と初めて知った。物資は集落の人数分、その家に届けられる。
大規模な避難所で、市の本部が入っていても、市は物資の流れを把握しきれない。ましてや個人宅が避難所では、いかに気を配っても、公平な分配に至らないケースが出てくる。
結果、家の残った人のところに物資が停滞する。家のない人たちは、集落外に身を寄せているから、
避難所にいかなる物資が来ても、彼らの耳目には届かないのだ。
そこでウワサが流れ始める。たとえば一家に6台の自転車。3台のパソコン。別の家には、保存のきく食料が山積みになっている。
ウワサの検証がこのエッセイの目的ではない。行政ですら把握できない物資や金の流れを、立証できる人物も機関も存在しない。
一般論なら書いても良いだろう。東北の人たちは概して善良で謙虚で声が小さい。例外的に大声で自分を主張する人たちがいて、彼らのもとにモノや力が集まる。
大声の人とかかわって「自分を汚したくない」とAさんは言う。それより早く漁師に復帰して働きたい。前向きに生きたい。
「前を向くために、人間の目は前についてるんですから」
震災から数カ月。無一文の人たちほど前向き、という現状に、どう応えるか。試されているのは私たちだ。
皆さまの温かいご支援を、何とぞよろしくお願いいたします。
【ご寄付専用口座】
横浜銀行 元町支店
普通 6032896
荻野 安奈