今でも。



あの日の事をよく覚えている。



それは数年前の夏の事だ。



ヒロはかなり年下の後輩で、ヤンキーだった。



当時20歳くらい。



俺とは10歳以上歳が違うのに、何故か俺を慕ってくれていた。



彼とは、留学先で出会った



鑑別所を出た彼を、友達から引き離すために彼のお母さんが留学に出したのだ。



彼には父親はいない。



お母さんはマスターと付き合っていて、ヒロがあまり家に帰りたがらないのはマスターがいるからだった。





留学先での彼は異様だった。


やんちゃな匂い。



それも、不良気取りのチャラチャラではなく、本当に悪いという事は雰囲気で分かった。



彼は、全然英語ができなかった。



当たり前と言えば当たり前。



中学すら行っていないのだ。



困っていた彼を俺が色々と助けたので、俺をしたうようになったのだ。





帰国後も、たまたま俺の赴任先と同じ街に住んでいたので、よく遊んだ。





彼は、好きな女の子だといって、彼女を俺に紹介してくれた。



彼女に手を出すつもりはなかった。



彼女はまだ若かったこともあって、黒塗りのベンツのシャコタンに乗っていた俺に憧れたらしく、





俺と二人で会うようになった。



まだ19歳だった。



俺はヒロに罪悪感をもっていた。



片思いとはいえ、彼が。彼女の事を好きな事を知っていたからだ。



彼女はとても、もてた。



俺は彼女と二人で会うのを拒み続けたけれど、



結局。



二人で会うようになってしまったのだった。










『XXさん!しほが死んだ!』



ヒロは俺に泣いてるのだかなんだか分からない興奮した様子で電話してきた。



俺はヒロに言った。



『誰から聞いたの?うそかも知れない。俺が確認するから。。。』









俺は心のなかでやましい気持ちになった。



ヒロは、俺と彼女が二人であっている事を知って、試しているのではないかと疑ったのだ。





俺はすぐに、彼女に電話した。





電源が切れていた。





交通事故。


ヒロの話によると、とある交差点での事故らしかった。





悪い予感がした。





県警に電話すると、所轄に電話をつないでくれた。



『個人情報は言えないですけれど、昨日。あなたの言う場所で、10代の女性が死亡する事故が起きています。』 と。





間違いなかった。



彼女は亡くなったのだ。





その夜。



俺は彼と、彼女のお通夜に行った。



葬儀場は不良だらけだった。



駐車場にならぶ、ヤン車。



その中に俺はベンツを止めた。



いつも、黒いスーツで仕事をしていたので、着替える必要はなかった。





彼女の死。





ヒロはずっと泣いている。



俺はヒロに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


これもまた、俺の罪のひとつだ。



絶対に人の彼女には手を出したくない。


そして自分のせいで他の誰かのたいせつな人を奪うのも、嫌なのだ。