仕事で横浜に行った時。
彼の事でいっぱいになったことを覚えている。
大桟橋、山下公園、みなとみらい、象の鼻パーク、赤レンガ倉庫、マリンアンドウォーク、天使の羽。
どれも彼のInstagramを通して見てきた景色。
横浜にいると彼がどこかにいるような、そんな錯覚を起こした。
いろんな角度で写真を撮りながら。
まさかこんな形でこの写真を使うことになるとは思わなかったけど。
いや、撮りためて使わなかったのは、少しは想定していたのか。
随分昔のことすぎて覚えていない。
夏海としてアカウントを作り。
初めはスイーツでいくつかpostを重ね。
頃合いを見て、横浜を使い出した。
『天使の羽。
ここに立つ勇気はない(笑)』
自分の姿を写せないから壁画の羽の写真だけ。
それにこんなコメントを添えて。
彼が羽と一緒に写っていることを知っているからこその、私流の皮肉だ。
私は彼のpostにいいねを付けた。
これで反応があるだろう。
無い訳ない。
今までの経験で、全てが読める。
そして彼は、夏海のpostに数枚いいねを付けてきました。
『いいね、ありがとうございます。
夏に勇気出してここに立ちました笑』
簡単。
なんて簡単なんだろう。
もしかして全て分かっていて、自ら引っかかっているんじゃないかとさえ思う。
『いいねしてくださり、ありがとうこざいます。
勇気出した写真、素敵でしたよ。覗かせていただきました(笑)』
『イケメンだからかっこよく決まってますね』
『優しいコメントありがとうございます。
横浜よく出没してまして、良かったらフォローさせていただいてもいいですか?』
…来た。
『素直なコメントです、素敵。
私でよろしければ、どうぞよろしくお願いします。
こちらもフォローさせていただいていいですか?』
『あはは、ありがたいです。
こちらこそよろしくお願いします』
また彼と繋がった。
これからが大切。
今度こそ、今度こそは。
こちらからあまり近付かないように。
コメントもしないようにしよう。
あまり存在を感じさせないフォロワーでいなければ。
私が夏海を立ち上げた訳は、マーサの時と少し違いました。
懲らしめようと思う気持ちは治まって、ただ繋がりを求めただけでした。
マーサが終わった時は、脅されて怖い思いをしたから。
1対1でやり合うのはもう嫌で。
ひっそりと覗いて、ひっそりといいねを付け合っていけたら。
それが理想でした。
こんな人、忘れられたらいいのだけど。
まだ、ざわつくんです…
よくよく考えれば、私はいつもそれを望んでいました。
だって私の正体はあかせないから。
会うことはないんだから。
彼の毎日を覗いていいねして。
私の日常を覗かれていいねされて。
それが続いてくれたらいいんです。
でも。
『パンツ多いんですか?お似合い、素敵』
『ほとんどパンツですね。楽なので履いちゃう。お似合いだなんて』
『そうなんですね。
じゃパンツスタイルのpicも楽しみにしてます』
『たまーに(笑)
期待しないで待っててください』
翌日の夏海のpostに素早く反応。
彼は確実に夏海をターゲットに選んでいました。
私には分かるんです…
ねぇ。
どうして貴方は、私を好きになるの?
では、続きはまた書ける時に。