一筆小説【懐かしい夏声】先日数年ぶりに自転車で川沿を通った。小学生の時には通学路として利用していた道だ。土手の猫じゃらしを集めては野良猫と遊んだり、春には桜並木を楽しんだりしたものだった。長らく用がなかったが、先日何かの交通規制でいつもの道が通れず、やむなくこの道を通った。細い砂利の裏道を自転車で軽快に抜けると、心地よい蝉の鳴き声が聞こえた。最近見なくなったと思っていたが、蝉の方が消えたのではなく、私が蝉の所に行かなくなっただけだったのだとその時気づいた。