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空になった正義、2話


第二話、ゲームスタート


彼女、希望と知り合ってから丁度30分程度、廃墟を歩いて来た辺りで

「ちょっと、待っていて下さいね?」

と言うと、彼女は倒壊したビルの中に入って行った

小太郎がそれに続いて、ビルの中へと消えた

ひとり残された俺は、周囲を見渡して溜め息を吐いた

どこまで行っても廃墟だらけ、地盤沈下している部分が道路には目立っていた。

おまけに、ほぼ全ての建物が真ん中から折れたり、途中から潰れたりしていて

雨避けに使えるのかどうかすら怪しい。

地面の道路には相変わらず、消えかけた中央分離線が真っ直ぐに伸びている

それは、赤茶けた土を被ると、

幾分か…半分ほど泣いているような表情で、夕日の丘陵へと向かっている

そんな感傷的な風景に、突然似合わない悲鳴が上がる

「キャー!!」

建物の中からだ!

俺はビルの中に駆け込むと彼女の姿を探した

崩れたビル内を駆けて回ると、三つ目の部屋に彼女がいた。

黒いマスクを着けた、しかし意外だったのはミニスカート姿の女性が、

希望の首筋にナイフを突きつけた姿で、そこにあった事だ。

「大丈夫です、私は平気ですから…」

彼女が俺を見てそう言ったが、とてもそうは見えない

俺はポケットから、棒ヤスリを取り出してぐっと強く握り締め、

女に向かって特攻をしかける

接近戦ならば、男の俺に分がある筈だ

案の定、まさかの人質の生死を無視した俺の特攻に、相手は驚き、タイミングを逸していた

このまま一気に終わらせる!

気合と共に、利き腕に持ち上げた得物で袈裟の方向に切りつけた

「ふっ!!」

ナイフで弾くと、希望を壁の方向へと投げやり、サバイバルナイフを構え相対する

ロングの青い髪が揺れた

初撃は下段からの回し蹴りだった、辛くも身を引き、それをかわした俺は、

今度はこちらが、と言わんばかりに打って出る。

しかし、こちらの武器は棒ヤスリだ

心もとないにも程がある

俺は不安を拭い捨て、ミニスカートへ向けて突きを出す

「がき!!」

スカートに届かなかったヤスリは、大刃のサバイバルナイフに阻まれると、不快な音を立てた。

ギリギリと鍔迫り合いをしながら、間合いを詰める

ふと、目が合う

澄んだ瞳が俺の姿を捉えている、瞬間何かの接近に気付き相手を押し込む

まるでミニスカートを襲う様に地面に倒れこんだ

「ズゴオオオ…」

どうやら、俺たちの戦闘でこの廃墟が崩れたらしかった

白い煙幕の中、希望の声が聞こえた

「礼治さん…大丈夫ですか…?」

声が出せない俺はヤスリで壁をノックして、彼女を呼んだ

「良かった、無事だったんですね」

白煙の中から現れた希望に、向き直り頷いた

「助けて頂いて有り難う御座います…ところであの人は?」

そう言われて、俺は辺りを見回してみる

すると俺の直ぐ足元に、ミニスカートの端っこが見えた

どうやら、天井の崩落に巻き込まれたらしい。

「助けましょう」

希望だ、

自分を危険な目に合わせた人物を、助けると言うのだから凄い。

俺はゆっくりと力を入れると、彼女の上に載っていた崩落物を全て退かす

「気を失っているだけみたい、脈もありますし、呼吸も…」

外傷も特に目立ったところは無かったので、俺はミニスカートを背負うと

希望に指示され、更に奥の大きな部屋へと入室した

今更気付いたが、ここは大型の病院跡らしい、

待合室だろうか?…急に開けた空間に出たので、逆に落ち着かなかった

「そこに寝かせてあげて下さい」

見れば壁の傍にベッドが設置してある

ここが彼女の寝室として、使われているのだろう

俺は言われた通り、ミニスカートをベッドに降ろす

「後は私が…」

言われて、女性同士にした方が良いと思い、一度部屋の外に出る

…十分後

呼ばれて、部屋に入るとどうやらミニスカートは起きていた様だった

俺は隣の部屋にあったノートとペンを拝借すると、彼女に問いかけた

「目的は何だ…?私の目的は、貴方…西枝礼治を殺すこと…」

なんだって?

訳も解らず更に問う、

「何故?…理由なんて無い、貴方を殺さなければ私が殺される…ただそれだけ…」

この状況が気に入らないのか、やや眉間に皺を寄せたミニスカートが苦そうに言う

「…私のマスクは?」

俺はノートにペンを走らせる

「悪いが外させて貰った…そう、懸命な処置ね…」

涼しげに、形の整った眉毛が俺をしたたかに睨んだ

「ねえ、西枝…私のスカートのポケットに手紙が入っているわ、取り出して」

言われて、手を縛られた彼女の変わりに、手紙を取ってやる

「読んで…」

ミニスカートに言われるまま、手紙の内容に目を落とす




    佐伯 雫様

    初めまして。

    僕の名前はミスターX。

    コレを読んでいると云う事は、今貴女の美しい顔には

    漆黒のマスクが装着されている筈です。

    同封の手鏡を使って、確認してみると良いでしょう。

    さて、今からここに記す事は紛れも無い事実ですので、

    間違っても、単純なミスで自爆…なんて事の無きようお願い申し上げます

    今から、貴方はココに記す行動を行ってください。

    そうすれば、そのマスクは自動的に外れます。

    しかし、もし一つでもその行動を行わなかったり、間違えてしまった場合

    そのマスクの内側にある装置が作動して、瞬時に硫酸が流れ、貴女のその

    美しい顔は、二度と見せる事の出来ない様なヒドイものになるでしょう。


        行動、西枝 礼治の殺害(方法は問わない)同封の写真を参照の事


  ルール(注意)1、佐伯 雫とそれ以外の第三者は、マスクを外そうとしたり

           無理な負荷をかけてはならない。

           もしそのような行為があれば、マスクの温感センサーが感知して

           その瞬間トラップが作動する


      ルール2、西枝 礼治を殺せば、嘘偽り無く、佐伯 雫のマスクは

           トラップを解除した後、外される事を保障する


      ルール3、西枝 礼治を殺さず、逃亡を図ったり彼と協力して生存しよう

           等の考え、意思は自由ですが、西枝 礼治が他人に殺されたり

           佐伯 雫の手によって殺されなかった場合は

           トラップが発動するのであしからず。


    以上の点を踏まえて、楽しくやって下さい。

    それから最後に、このゲームに参加している誰か一人だけ…貴女のマスクを外せる

    人物がいます。

    最初からその人物を頼りに、キーパーソンを探し出せれば、誰を殺す事も無く

    ゲームをクリアー出来るでしょう。

    …まあ、それまでに西枝さんが生きていられれば…の話ですがね。



…なんだこれは…?

では、彼女は自分が死にたくない一心で俺を、殺そうとしていた?

ここでもまた、ミスターXだ…そして、ゲームとは…

どうやら、こいつが本当にこの手紙の人物だとすると、ミスターXって奴は

かなりの変人でイカレてる、最初から殺し合いをさせるつもりだったのだ、

このミスターXとやらは。

そして、ここがこいつの狡猾な性格が一番良く現れている文章。


    それから最後に、このゲームに参加している誰か一人だけ…貴女のマスクを外せる

    人物がいます。

    最初からその人物を頼りに、キーパーソンを探し出せれば、誰を殺す事も無く

    ゲームをクリアー出来るでしょう。

    …まあ、それまでに西枝さんが生きていられれば…の話ですがね。


そう、誰か一人というのは俺…

棒ヤスリを持っていたから、装置にある隙間から

時限装置とマスク本体を分離させて、壊す事が可能だったのだ。

そして、もし彼女が俺を殺す事に成功すれば、彼女は仕方なく自分が生き残るため

俺を殺す事になる。

そして、ミスターXの目的は達成される…

だが人殺しの罪を背負わなくても、俺に言えばそれだけでマスクは解除される

ついでに言うなら、一番のネックは「俺が喋れない」事。

まるで、狙ったようなタイミングで、狡猾に…複数の罠が張り巡らされていたのだ。

手紙の文章を最後まで読むと、俺を殺すしか生き残る道が無い様に思えてくる

一種のマインドコントロールだ、自己暗示のようにミスターXは…

手紙だけで、文章に書くだけで…

彼女に俺を殺させようとしていたのだ。

その実、彼女は俺に会って、俺が彼女のマスクを外してやれば済むという…それだけのことが

危うく、彼女は人殺しの罪を背負うところだった。

ミスターX…一体何者なんだ?


俺は机の上で解体された、マスクの部品を両手に抱えると、建物の外に出た

少し歩き、道路の脇にマスクを投げ捨て、崩れていた瓦礫を一つ掴むと、

マスクに向かって、投げつけた

「ジュウ!!」

音を立てて、硫酸が石灰を溶かし、白煙が立ち上る

「西枝…」

背後には、少し疲れた顔で佐伯 雫が立っていた

「ありがとう…と、言っておくわ…そして、ごめんなさい」

バツが悪そうな表情で謝られた

いや、謝ることなどない、悪いのはあのミスターXという奴なのだから

俺は地面に書いた

「ミスターXを倒す、…貴方このゲームを最後まで生き残るつもりなの?」

そう言えばあの手紙にも書いてあった、ゲームとはなんだ?

「俺には記憶が無い、言葉も無い…だが、こんな馬鹿げた殺し合いは許せない…そう…」

彼女が顔を上げて、真っ直ぐに俺を見据える

「なら、ミスターXを…倒すの?」

そう、なのだろう…俺自身奴に恨みが無いが…命を狙われているのなら、

理由くらいは知って置きたい

彼女に向かって頷くと、意外な事を言われる

「そうなのね…なら私も手伝うわ」

俺は地面に書く

「いいのか?…罪滅ぼしよ、それに何故貴方が狙われているのか、気になるしね…」

そうか、なら俺には彼女を引き止める理由は無かった。

昨日の敵は、今日の友

俺たちは未だ解らぬ明日に思いを馳せ、流れる風に吹かれ身を任せていた。

空になった正義 


第一話、突然の始まり


眠っている、夢を見ているんだと…理解した

夢なんて見たのは何年振りのことだろうか?

久しく見た夢の内容を思い出そうとしても、頭の中には何も浮かんでこない

それが解っていたから、俺はいつもの様にただ、ゆっくりと…目を開けた。


崩れ落ちたビルの先端が、沈み行く太陽を指差していた。

しかし、俺はこんな風景を知らない。

ここは…どこだ?

まだ夢が続いているのだろうか?

ズキズキと…まるで、化成ソーダでも流し込まれた様に頭が痛む

見れば、俺が今まで眠りこけていた場所は、白い帯の上…路上で眠っていたようだ…

何故?

必死で思い出そうとするが、何も思い出せない

立ち上がり、服に付いた砂粒をぱらぱらと払い落とす

どうなってる?それにこの場所は…?

眼前に広がっているのは、いつかの昔…街だったであろう廃墟。

店の看板は色褪せ、電気が通っているのかどうかすら怪しい。

とにかくこういう、何も解らない状況で何も知らないというのは危険だ。

俺は冷静に、状況を整理する事にした

まず、俺は誰だ?

そんなのは誰でも知っている、自分の名前くらい子供だって解る。

俺は、俺の名前は…礼治

…西枝 礼治(にしえだ れいじ)。

この場所は?

…だめだ、一向に回答が思い浮かばない。

解っているのは、廃墟だということくらいか…

では何故、俺はこんな場所にいるんだ?

確か、昨日は…

昨夜の事を思い出そうとして、異変に気付く

頭痛が激しくなった…そして、思い出せない…

これはまさか、映画とかで良くある記憶喪失…というやつか?

人間の脳には重要な事を長い間記憶しておく所と、

あまり重要では無い事を一時的に記憶しておく器官があるというのを、どこかで聞いた事がある

事故や、精神的なショックで、重要な事を思い出せなくなるのが記憶喪失と言われているモノだ。

この廃墟と俺の記憶喪失には繋がりがあるのではないか?

何か大きな事故に、巻き込まれた?

それならば、自分の記憶喪失ぶりにも、納得が行く。

あとは、そうだ…所有物の確認をしよう。

俺はジーパンのポケットに手を入れて、中身を地面に置いて並べた。


携帯電話、棒やすり、タバコとライター…腕時計。

まず、携帯を手に取り、画面を見る

腕時計と携帯の時計は、共に同じ時刻を示していた…どうやら時計は狂っていないようだ

廃墟に差し掛かる夕焼けが、大体夕方くらいであると、教えてくれていたからだ。

左上に小さく、圏外の表示…どうせそんなことだろうと思った。

俺がしたかったのは電話では無い…見知らぬ携帯を操作して、アドレス帳を開く

だめか…アドレス帳には知っている名前どころか、人の名前が登録すらされていなかった。

最初からそんな気はしていたのだ

何故といって、俺はこの携帯を見た事も無かったからだ…俺の携帯では無い。

メニューボタンを押して、ゼロのボタンを押す

これで持ち主の名前が解る筈だ。

そこで、俺はいよいよ…この事態のきな臭さを感じずには居られなくなった。

ミスターX…

そこに表示された名前は、英語で謎の人物を指す時に用いられる用語だった。

誰が…誰が俺にこの携帯を持たせたと言うんだ…?

しかも周到にアドレス帳の登録の無い電話には、

唯一つ所有者登録の画面にミスターXの表示…

これは事故では無く…事件?

背すじが寒くなるのを感じながら、タバコを口に銜えるとジッポを開いて、火を熾(おこ)す

シュボ!と燃料が火花を上げて燃え盛る

タバコの先端に火を点けると、大きく肺で息を吸った。

ふー…頭の中が有害な成分で満たされてゆく、どうやら何も解らない状況のまま

先に進む事しか、今の自分には残されていないようだった。

持ち物をポケットに入れなおすと、俺はこの街…廃墟を散策してみる事にした。

何かあった時に、逃げる場所や、土地勘があった方が何かと都合が良いと思ったからだ。

まあ、これ以上何かあるのかなんて、俺には解らなかったが…

不安を拭い去るように、歩むを進めると…ふと足元に温かいものを感じた

目をやると、そこに茶色の毛をした動物がいた、つまり犬だ。

「ハッハッハッ…」

舌を出して、嬉しそうにしている

首輪がしてあるところから、どこかの飼い犬だろうか?

頭を撫でてやると、嬉しそうにしてから吠えた

「ワン!!」

凛とした声が、廃墟の荒んだ空気を揺らす

「小太郎!」

後ろから女性のモノと思われる声がした

良かった、人が居たようだ。

思わず後ろを振り返ると、女性がこっちへ駆けてくる

この犬は小太郎というのか…

「あ…あの、ありがとうございます、小太郎を掴まえてくれて」

女性は礼を言ったが、大したことはしていないので

礼には及ばない。

そこで、また異変

この時ばかりは、流石に俺も面食らった

声が…出ない…?

俺がどんな顔をしていたのか解らなかったが、その女性は察した様だった

「もしかして、喋れないんですか?」

こくりと頷く、そういえばポケットに棒ヤスリがあったな…

ポケットから、鉄製の棒ヤスリを取り出すと、俺は足元の砂利道に文字を書き伝えた

この時程、言葉の大切さを痛感したのは他にないだろう。

女性はそれを読む

「ああ、喋れないみたいだ…って?」

みたいだ…という部分が引っかかったのだろう、俺は手で土を直して文字を消すと、更に続けた

「記憶喪失みたいで…気付いたら此処にいた?」

心配そうにこちらを見つめている。

「そんな、記憶喪失なんて…本当ですか?」

こくりと頷くと、その場に気まずい沈黙が訪れた

そんな流れを変えたくなり、俺は書く

「礼治…?」

彼女を見上げて、自分の顔を指差す

俺の名前を伝えた、今度は彼女の番だ。

「あ…私は、私の名前は…」


「希望」

刹那、夕焼けが地平線を包み込み、廃墟を赤一色に染め上げる

「ついて来て下さい」

小太郎、と呼ばれ、柴犬が彼女を通り越すとワン!と一鳴き…

夕焼けに染められた彼女を囲む廃墟に、一筋の希望が、見えた気がした…。

お仕事お仕事!

最近、昼間仕事出てるので、イラストや小説があまり書けない。


次の日は深夜のシフトとかね、趣味に使う時間限られますね。


私は異常に寝る人なので(笑)


書けるときにバアーっと更新することになりそうです。


それはそうと、今更感あるんですが



『あかべえそふとライブ』!!



なんだってー?!!Σ(゚д゚;)



出演者豪華過ぎじゃないか?w


素直に行きたいです、でも行けないから我慢。



最近寒いです、あーまた今年もよろっと、スタッドレスタイアに換装してやらないと…


雪道の運転は楽しいよね、パワースライドさせて遊んだりできるし(車)。


景色も綺麗な時期だし…


個人的に、雪の日のシン…と静まり返った独特の空気が大好きで


どうせ寒くなるんなら、早く雪降ってくれー!とか思ってます。


年末年始は、犬猫と一緒にストーブの前で丸くなるかなー(笑)




それでは、小説投稿して寝ますー


ちなみに、今までのとは別の作品で、ソリッドシチュエーション物です


(ぶっちゃけ映画の、ソウシリーズのパクリですw)


ちょっとチャレンジしてみたいジャンルだったので、書いてみた。


そんな感じで、今日はこの辺で…またねー(・∀・)