本日は最近読んだ本についてお話させて下さい。
岩下尚史さんの「芸者論」。
よく耳にする「芸者」という題自体に、実はある意味がこめられていることに注意していただきたいです。世界に知られている「Geisya」ではなく、京都でいう芸妓・舞妓が、東京・新橋なら芸者と呼ばれて、その定義に若干の差異があります。
本書中の花柳界は新橋が舞台となっています。
封建制度下~明治維新より、日本の政財界の莫大な富を供給源として根を張り、まさしく一つの世界を創りあげた花柳界。
(新橋は幕末以降。)
当初は幕府役人を始めとする大物が、遊女目当てに通い、その隙間産業として成立したのが所謂「芸者」とのこと。
時は維新後に移り、独り歩きしていく芸者の尊大さと、花柳界を存続させられるような富の偏りの縮退。
その栄枯盛衰の歴史の一端を、自身が花柳界に身を置かれる岩下尚史さんの柔らかい、より日本人的なタッチで描かれた名作であると感じています。
そして現代となっても、同じような淘汰現象が起きているのが銀座なのです。
脈絡と受け継がれる富を携えた華やかな空間への憧れとその裏にある悲劇的な事実。
私のような低所得者には無縁の筈なのにとても共感してしまいました。
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