米西海岸シアトルのマシュー・アムスター=バートンさん(38)は昨年、東京に家族で約1カ月滞在。その際の日本食との“遭遇”を「プリティ・グッド・ナンバーワン」という本にまとめ今年4月に出版した。
出版費用を募ったのが「キックスターター」という起業家と個人を仲介する場を提供するサイト。ラーメンやたこ焼きがいかに素晴らしいかをアピール。賛同した約380人が8100ドル(約80万円)の資金を提供した。これで本の装丁や宣伝用ウェブサイトのデザイナーの報酬を賄い、予定通り出版にこぎ着けた。
■「資金以上の効果」
資金提供者の輪は米国や日本だけでなく、オランダや英国にも及んだ。投資額に応じた見返りは電子書籍や、東京のお薦めレストランに関する直接アドバイスなど。一方、投資家が書籍通販サイトに好意的な書評を寄せてくれるなど、クラウドファンディングには「単なる資金以上に得るものがあった」とマシューさん。
クラウドファンディングは「大衆(crowd)」に「資金調達(funding)」を組み合わせた造語。米仲介大手インディゴーゴーがサービスを始めた2008年ごろから普及が始まったがここに来て急拡大。米調査会社クラウドソーシングによると、13年の資金調達額は世界で51億ドルと前年比9割増の見通し。北米が約60%を占め、欧州の35%が続く。
「資金調達の民主化」ともいわれるクラウドファンディング。起業家が金融機関の融資やベンチャーキャピタルの出資を受けるのは困難だが、仲介サイトを使えば、関心を持つ不特定多数の個人の資金にアクセスできる。こうした新たな潮流が米国の起業文化を支えているわけだ。
仕組みはこうだ。個人や中小企業が仲介会社のサイト上で、自らの事業を紹介する。調達額の目標を設定し、投資額に応じ得られる見返りを明示。興味を持った個人が、数十~数百ドル単位で投資するのが流れ。
目標額を調達できれば、資金を受け取れる。仲介会社は調達額の一定の割合の手数料(キックスターターの場合は5%)を受け取る。事業計画が現実的か、リスクをしっかり伝えているかなど、チェックを入れる仲介会社もある。
事業分野は映画や音楽ソフトの制作が多かったが、今ではコーヒーメーカーの開発や、ホームレスの出産費用の支援まで無数のプロジェクトが存在する。
■宇宙望遠鏡を開発
こんな壮大な事業への「草の根出資」も。米ベンチャー企業プラネタリー・リソーシズは資源探査を目的とした小型の宇宙望遠鏡を開発中。6月にクラウドファンディングで資金調達を開始するや、1カ月で目標額を5割上回る150万ドルを集めた。出資者には宇宙で好きな方向に望遠鏡を向け撮影する権利などを付与する。企画に賛同した英ヴァージン・グループを率いるリチャード・ブランソン氏が、個人で10万ドルを出し、話題を呼んだ。
日本からも参加できるが注意点もある。今はマシューさんのケースのように、出資対価が商品やサービスの「購入型」が主流。額が妥当かは個人の価値観次第だ。対価なしの「寄付型」もある。利子を得る「貸付型」や、値上がり益などでリターンを得る「株式型」も今後広まる方向だが、相手は個人やベンチャー企業だけに出資金が「紙くず」になるリスクも残る。
(ニューヨーク=川上穣)
■日本、「開業率倍増」へ整備急ぐ
日本でも米国での動向をにらみながら制度の整備を急ぐ。政府が成長戦略で掲げる「開業率倍増」に向けクラウドファンディングへの期待が高まっていることが背景。米国で今焦点になっているのが配当や値上がり益を対価とする「株式型」の解禁。英国ではすでに認められており、一般の個人が株主になる道が開ければ、市場が一段と拡大するのは間違いない。米証券取引委員会(SEC)が詳細を詰めており、来年にも施行される見通し。起業家が個人から得る資金の調達額を年間100万ドルに制限し、個人側にも年収に応じた投資額の上限を設ける方向だ。
日本でも現状「寄付型」や「購入型」のサイトはある。ミュージックセキュリティーズ(東京・千代田)など、ファンドの器を使った「株式型」に似た仕組みもある。金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)での議論を経て14年にも正式に「株式型」が始まる方向だ。
株に投資すると、「あがれ、あがれ、いい子だから」なんて、
まるで子育てをしているような感じになってしまうのは、私だけかなあ?
出版費用を募ったのが「キックスターター」という起業家と個人を仲介する場を提供するサイト。ラーメンやたこ焼きがいかに素晴らしいかをアピール。賛同した約380人が8100ドル(約80万円)の資金を提供した。これで本の装丁や宣伝用ウェブサイトのデザイナーの報酬を賄い、予定通り出版にこぎ着けた。
■「資金以上の効果」
資金提供者の輪は米国や日本だけでなく、オランダや英国にも及んだ。投資額に応じた見返りは電子書籍や、東京のお薦めレストランに関する直接アドバイスなど。一方、投資家が書籍通販サイトに好意的な書評を寄せてくれるなど、クラウドファンディングには「単なる資金以上に得るものがあった」とマシューさん。
クラウドファンディングは「大衆(crowd)」に「資金調達(funding)」を組み合わせた造語。米仲介大手インディゴーゴーがサービスを始めた2008年ごろから普及が始まったがここに来て急拡大。米調査会社クラウドソーシングによると、13年の資金調達額は世界で51億ドルと前年比9割増の見通し。北米が約60%を占め、欧州の35%が続く。
「資金調達の民主化」ともいわれるクラウドファンディング。起業家が金融機関の融資やベンチャーキャピタルの出資を受けるのは困難だが、仲介サイトを使えば、関心を持つ不特定多数の個人の資金にアクセスできる。こうした新たな潮流が米国の起業文化を支えているわけだ。
仕組みはこうだ。個人や中小企業が仲介会社のサイト上で、自らの事業を紹介する。調達額の目標を設定し、投資額に応じ得られる見返りを明示。興味を持った個人が、数十~数百ドル単位で投資するのが流れ。
目標額を調達できれば、資金を受け取れる。仲介会社は調達額の一定の割合の手数料(キックスターターの場合は5%)を受け取る。事業計画が現実的か、リスクをしっかり伝えているかなど、チェックを入れる仲介会社もある。
事業分野は映画や音楽ソフトの制作が多かったが、今ではコーヒーメーカーの開発や、ホームレスの出産費用の支援まで無数のプロジェクトが存在する。
■宇宙望遠鏡を開発
こんな壮大な事業への「草の根出資」も。米ベンチャー企業プラネタリー・リソーシズは資源探査を目的とした小型の宇宙望遠鏡を開発中。6月にクラウドファンディングで資金調達を開始するや、1カ月で目標額を5割上回る150万ドルを集めた。出資者には宇宙で好きな方向に望遠鏡を向け撮影する権利などを付与する。企画に賛同した英ヴァージン・グループを率いるリチャード・ブランソン氏が、個人で10万ドルを出し、話題を呼んだ。
日本からも参加できるが注意点もある。今はマシューさんのケースのように、出資対価が商品やサービスの「購入型」が主流。額が妥当かは個人の価値観次第だ。対価なしの「寄付型」もある。利子を得る「貸付型」や、値上がり益などでリターンを得る「株式型」も今後広まる方向だが、相手は個人やベンチャー企業だけに出資金が「紙くず」になるリスクも残る。
(ニューヨーク=川上穣)
■日本、「開業率倍増」へ整備急ぐ
日本でも米国での動向をにらみながら制度の整備を急ぐ。政府が成長戦略で掲げる「開業率倍増」に向けクラウドファンディングへの期待が高まっていることが背景。米国で今焦点になっているのが配当や値上がり益を対価とする「株式型」の解禁。英国ではすでに認められており、一般の個人が株主になる道が開ければ、市場が一段と拡大するのは間違いない。米証券取引委員会(SEC)が詳細を詰めており、来年にも施行される見通し。起業家が個人から得る資金の調達額を年間100万ドルに制限し、個人側にも年収に応じた投資額の上限を設ける方向だ。
日本でも現状「寄付型」や「購入型」のサイトはある。ミュージックセキュリティーズ(東京・千代田)など、ファンドの器を使った「株式型」に似た仕組みもある。金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)での議論を経て14年にも正式に「株式型」が始まる方向だ。
株に投資すると、「あがれ、あがれ、いい子だから」なんて、
まるで子育てをしているような感じになってしまうのは、私だけかなあ?