私は憧れていた高校に入学した。


憧れだった吹奏楽部に入部した。


入部早々、さまざまな壁に直面した。

同級生との圧倒的な実力の差を目の当たりにした。

強豪中学出身の人ばかりだった。

そんな環境でも憧れだった場所に変わりはなかった。頑張りたかった。




そんな日々の中、自分自身に異変が起きていた。





"特定の場面になると声が出せない"





点呼の場、返事の場、自己紹介の場…

周りから注目される場面で声が出せないのだ。

体が震える、心拍数が上がっていく、周りが見えない。

とても怖かった。


「聞こえない」

「返事は?」

「声が小さい」


そんな上級生の言葉がより私を萎縮させた。




ある日顧問に呼び出された。

そこでかけられた言葉




"いい加減にしろ"




今でも忘れることができない言葉だ。


私はふざけているわけでもなかった。

ただ辛かった。

まさかそんな言葉をかけられるとも思わず、より辛くなった。

その後のことはよく覚えていない。

なのに、その言葉だけは今でも鮮明に思い出せてしまう。



記憶って怖い…



当時、周りからはどう見えていたのだろう。

私は迷惑な存在だったのだろうか。

ふざけているように見えていたのだろうか。



ただ一つ確かなことがある。


"私はこんな大人にはなりたくない"