ウォーは長年在籍したユナイテッド・アーティストからMCAレコードに移籍しました。本作品「ギャラクシー」はその移籍第一弾アルバムです。メンバーもプロデューサーも代わりませんけれども、ジャケットの感じからしてこれまでとは一線を画した作品であることが分かります。

 冒頭にタイトル曲が置かれています。これはスターウォーズに着想を得た曲なのだそうです。1977年という時代を感じますね。それにこの頃はディスコが大そう流行っていた時期に当たります。あからさまにディスコに影響を受けたサウンドにもなっています。

 しつこいくらいに書いていますが、この頃の三大ソウル・バンドといえば、ウォーとアース・ウィンド&ファイヤー、そしてPファンクです。このうちディスコと言えばEW&Fに一日の長があります。これまでのウォーにはさほどディスコの影を見ませんでした。

 そのウォーがディスコに目くばせするとそのサウンドがEW&Fに似た感じになるのは仕方がないのかもしれません。「ギャラクシー」を初めて聴いた時には、そのカラカラのリズム感覚がEW&Fによく似ていて驚いたものです。田舎の高校生には敵だったディスコ!

 本作品からシングル・カットされたのは続く「ベイビー・フェイス」です。ウォーらしい諧謔味にあふれるのんびりした曲で、全米チャートでは39位、R&Bチャートで5位と、ウォーの水準からすれば残念ですけれども、まあまずまずの成績を収めました。

 エレピによるイントロに導かれる「スウィート・ファイティング・レイディ」は「ベイビー・フェイス」から素直に続く穏やかなのんびりした曲です。このところのウォーの日向の匂いがするバラード路線が継続しています。「ロウ・ライダー」のウォーとは一線を画します。

 LPではB面に移って、最初の曲は二枚目のシングル・カット、「ヘイ・セニョリータ」です。ラテンの香りが強いトロピカルな曲です。女声ボーカルがフィーチャーされており、楽しい曲ではあるのですが、この曲はチャート入りを逃してしまいました。

 最後は15分弱の長尺曲「セヴン・ティン・ソルジャー」です。この曲もまたゆったりとした楽曲で穏やかに気持ちのよいサウンドが流れ出てきます。ハーモニカ、ギター、エレピとソロが続いていくところなど、ジャム・セッションっぽい姿を残していていい感じです。

 そんなわけでアルバムは全米チャートで15位に上るヒットとなり、ゴールド・ディスクを獲得しました。MCAもほっと一息ついたことでしょう。しかし、そうはいっても「プラチナ・ファンク」ほどのヒットにもなっておらず、首をひねった人も多かった。私もその一人です。

 しばしば冒険が少ない作品だと言われます。「ギャラクシー」が冒険といえば冒険なのでしょうが、それがEW&Fに似ているとなると冒険とも言えないことになってしまいます。アルバム全体にとにかく気持ちがよいサウンドがあふれているのですが、引っ掛かりが少ない。

 サウンド面では「ロウ・ライダー」、メッセージの面でも「仲間よ目を覚ませ」と前作が強烈すぎました。レーベルを移籍して心機一転したいところで、方向性が定まらなかったのかもしれません。気持ちのよい素敵なサウンドばかりですけれども、ウォーはそれでは足りません。

Galaxy / War (1977 MCA)



Tracks:
01. Galaxy
02. Baby Face (She Said Do Do Do Do)
03. Sweet Fighting Lady
04. Hey Señorita
05. The Seven Tin Soldiers

Personnel:
01. Galaxy
02. Baby Face (She Said Do Do Do Do)
03. Sweet Fighting Lady
04. Hey Señorita
05. The Seven Tin Soldiers