名作中の名作「ゴッドファーザー」の続編「ゴッドファーザー・パート2」のサウンドトラックです。作品は続編であるにもかかわらず、アカデミー賞の作品賞ほかを受賞しています。続編が本編を超えることなどないと思われていた時代にその常識を覆しました。

 私も「ゴッドファーザー」に勝るとも劣らないくらい感動して、初めて観た後、しばらくはロバート・デ・ニーロになり切っておりました。デ・ニーロはアカデミー賞にて助演男優賞を受賞したのですが、主演の間違いではないかと思っていたものです。

 サントラは前作に引き続いて、ニーノ・ロータが中心になっています。一般にロータの作品と観念されているわけですが、フランシス・フォード・コッポラ監督の父でもあるカーマイン・コッポラの貢献も大きく、アカデミー賞では二人の連名での受賞となっています。

 サントラでは全14曲中3曲がコッポラの作曲とされています。そして演奏の指揮をとったのもコッポラですから連名受賞の資格は十分あるというものです。なお、カーマイン・コッポラは「地獄の黙示録」のスコアを書いたことでも知られる音楽家です。

 先に書いてしまいましたが、このサウンドトラックはアカデミー賞にて作曲賞も受賞しています。これには前作が作曲賞をとりそこねたことへの埋め合わせの意味合いがあるのではないかと勝手に推測しています。前作はノミネートを取り消されているんです。

 前作の取り消し理由は、既存の曲を再使用していることが発覚したためとされています。再使用したのは一部に過ぎませんし、そもそもサウンドトラックであることを考えると、かなり理不尽な気がします。大人の事情があったのでしょう。アカデミー賞らしいです。

 このパート2は、大々的にパート1の曲を使いまわしています。しかも問題視された「愛のテーマ」まで一部含まれています。今度は中心曲になっていないからと言い訳できそうですが、メイン・テーマはパート1とほぼ同じですからね。トリビアとしては面白いです。

 作品はもちろん素晴らしいです。映画は、ドン・ヴィトー・コルレオーネの若い頃と後を継いだマイケルの現在、そしてニューヨークとイタリア、時間的にも空間的にも二つのシーンが入り混ざる構成です。音楽がこれらのシーンに見事に使い分けられています。

 最後に映画を観たのはかなり前のことですが、音楽を聴いているとそれらのシーンが目に浮かんできます。ここがロータの本当に凄いところです。イタリアの太陽とアメリカの陰鬱な空の対比も見事ですし、それぞれの時代の描き方も素晴らしい。

 映画にはラテンやイタリア民謡、ジャズなどのさまざまな挿入曲も効果的に使われているのですが、残念ながらそちらはここには含まれていません。ただし、これらの曲が含まれていないことで本作品には音楽作品としてのまとまりが生じているのも事実です。

 カーマイン・コッポラの貢献も大きいでしょうが、やはりここはニーノ・ロータです。前作からのゴッドファーザー・ワルツと、「移民」や「ケイのテーマ」などの新たな曲が同じ地平に同じ強度で共存しています。映画の世界を構築する基礎を担うサントラの真骨頂です。

The Godfather Part II / Nino Rota, Carmine Coppola (1974 Paramount)



Tracks:
01. Main Title / The Immigrant メイン・タイトル/移民
02. A New Carpet 新しいカーペット
03. Kay ケイのテーマ
04. Ev'ry Time I Look In Your Eyes / After The Party 瞳をみつめて/パーティのあとで
05. Vito And Abbandando ヴィトーとアバンダンド
06. Senza Mamma / Ciuri-Ciuri / Napule Ve Salute 母をなくして/チウリ・チウリ/ようこそナポリへ
07. The Godfathers At Home ゴッドファーザーたち
08. Remember Vito Andolini ヴィトー・アンドリーニの追想
09. Michael Comes Home マイケル故郷に帰る
10. Marcia Stilo Italiano イタリア風マーチ
11. Ninna Nanna A Michele ミケーレの子守歌
12. The Brothers Mourn 悲しみの兄弟
13. Nmurder Of Don Fanucci フェスティバル・マーチ
14. End Title

Personnel:
Livio Giorgi : vocal
Dino Palermo : vocal
Marcia Peligioso : vocal
Carmine Coppola : conductor