レインボーの約2年ぶりとなるサード・アルバム「バビロンの城門」です。ライブ・アルバムをはさんでいるとはいえ、2年も間が空くと、またまたメンバーが交代しています。レインボーのアルバムを語る場合にはまずメンバーをチェックするのが恒例になってきますね。

 本作品では前作に起用され、ライヴもこなしたベースのジミー・ベインがいなくなりました。ベインはレインボーに入る前はほぼ無名でしたけれども、レインボー脱退後にはロニー・ジェイムズ・ディオのディオなどでそれなりに活躍をつづけましたから一安心です。

 代わりに元ユーライア・ヒープのマーク・クラークが起用されましたが、うまくいきませんでした。そこでリッチー・ブラックモアがやむなくベースも兼任してアルバム作りが続けられました。キーボードのトニー・カレイもこの時点で解雇されています。出入りが激しいですね。

 結局、ベースにボブ・デイズリー、キーボードにデヴィッド・ストーンというセッション・ミュージシャンが起用されることとなり、ブラックモア、ディオ、コージー・パウエルの三頭政治という言葉がますますぴったりくる布陣で本作品が制作されたのでした。

 とはいえ、実際には本作品の邦題となった楽曲「バビロンの城門」などは、クレジットにはないとはいえ、ストーンが大半を書いたそうですから、音楽的には必ずしも三人による専制となっていたわけではなさそうです。バンドというものは面白いものです。

 本作品は直訳すると「ロックンロールよ永遠に」とタイトルが付けられました。何といいますか、実にレインボーらしくない。ロックンロールという言葉がブラックモアから出てくるとはそもそも意外です。その戸惑いが邦題を「バビロンの城門」としたのだと思います。

 A面最後の大曲「バビロンの城門」はオリエンタルなムードが漂う実に端正でレインボーらしい楽曲です。キーボードもストリングスも大活躍しており、日本でのレインボーの受け入れられ方からするとよほどこちらの方がタイトルにふさわしいと私も思います。

 もう一曲、タイトル候補を挙げるとすると、最後の曲「レインボー・アイズ」です。しばしばレッド・ツェッペリンの「天国への階段」に比較されるスローでドラマチックな楽曲です。フルートとストリングスが大活躍する曲で、ヘヴィ・メタル・アルバムには欠かせないアクセントです。

 一方、ハードな曲では原題曲「ロング・リヴ・ロックンロール」と「キル・ザ・キング」が人気です。後者は「バーン」に似ているところが玉に瑕ですけれども、どちらもパウエルのドラムが冴えわたるヘヴィ・メタルの名にふさわしいスピード感あふれる名曲です。

 前作と比べると、各楽曲がコンパクトにまとめられている印象を受けます。ブラックモアの悲願である全米制覇を意図したものだと言われることもありますが、メンバーが流動的だったので大曲をこなすのがなかなか難しかったのではないかとも思います。

 「バビロンの城門」を例外としてキーボードは目立たず、ソロはほぼブラックモアのギターが独占しています。ブラックモアはとにかくギターを弾きまくっており、聴きどころが多い。前作ほどには壮大な感じはしませんけれども、はつらつとしたサウンドはとてもかっこいいです。

Long Live Rock 'n' Roll / Rainbow (1978 Polydor)



Tracks:
01. Long Live Rock 'n' Roll
02. Lady Of The Lake
03. L.A. Connection
04. Gates Of Babylon バビロンの城門
05. Kill The King
06. The Shed (Subtle)
07. Sensitive To Light
08. Rainbow Eyes

Personnel:
Ritchie Blackmore : guitar, bass
Ronnie James Dio : vocal
Cozy Powell : drums
Bob Daisley : bass
David Stone : keyboards
Tony Carey : keyboards
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Rainer Pietsch : conductor
Bavarian String Ensemble
Rainbow Eye's String Quartet
Rudi Risavy : flute
Max Hecker : recorder