画像ではなかなか分かりにくいですが、このジャケットは実にキラキラしています。ホログラムまで使っていて、グリッターっていう言葉が似合います。真ん中はブリリアント・カットのダイヤモンドですね。エメラルドを持ってきてグリーンにしてもよかったような気もします。

 ブリリアント・グリーンの二枚目は引き続きゴージャスなジャケットになりました。さらに題名は「テラ2001」、大きく出ました。テラはイタリア語で地球のことですが、実は、リーダーの奥田俊作のニックネームがテラくんだったということで付けられた題名だそうです。

 そんな理由ではだめだとレコード会社に却下されたので、「いや地球のことなんですよ」と大きく出て会社側を説得したという経緯なんだそうです。アルバムのタイトルを深読みしてしたり顔で語りを入れていると足元をすくわれるという好例になりそうです。

 このアルバムはブリグリのアルバムの中では一番ヒットしたアルバムです。前作の余勢をかって、シングル「そのスピードで」は見事に一位を獲得しました。続く「長いため息のように」、「愛の(ハート)愛の星」までトップ10に入るヒットを記録しています

 他にもシングル・カットされたので、全11曲中7曲がシングルになるという「スリラー」のようなアルバムになっています。前作に引き続いて、シングル曲4曲以外は英語詞です。シングルは日本語、アルバムは英語の曲もありまして、いろいろややこしいことになっています。

 前作に比べると格段に録音がいいです。これがプロ仕様っていうんでしょうかね。もともと音にうるさい人達でしたけれども、いろいろな事情でようやく思いを遂げられたというところかもしれません。まあ、売れたので思う存分やりたいことが出来たということでしょうが。

 彼らの音は、王道ブリティッシュ・ロックでしたが、ここでは王道アメリカンも加わりました。そして、各楽曲でさまざまな趣向がこらされています。分厚い音の壁を使ったり、メロトロン風の音が出てきたり、シンプルなアコギがメインだったり、ファンキーだったり。

 しかし、どれも堂々たる王道ロック仕様と括れるものです。突然レゲエになったりジャズになったりというような振れ方ではありません。さまざまな要素を取り込みつつもロックの王道をまっすぐ歩み続ける。その意味ではビートルズ的といえばよいかもしれません。

 川瀬智子のボーカルにはますます磨きがかかりました。肩の力が抜けた大人な自然体で、かわいいと言い切ってしまうには艶っぽいです。歌い上げない女声ボーカルとメロディー重視のギター・ロックの出会いは何とも言えない味わいをかもします。

 ただ、川瀬の歌詞は、壊したり、蹴っ飛ばしたりと、王道ロックではありますが、日本語にするとやや引っ掛かります。私は、彼女の英語詞の方が好きです。「ブラウニー・ザ・キャット」とか。彼女の英語はいいですね。ネイティブではありませんが、とても自然で耳に心地よい。

 私は、「冷たい花」路線の「そのスピードで」も好きですが、ここでは「バイ・マイ・ボーイ」が好きです。ドスの効いたイントロやら、キラキラ・ギターやら、サビの部分のボーカルの演奏への乗せ方とか、とてもかっこいいです。アルバム全体を象徴しています。

Terra 2001 / The Brilliant Green (1999 ソニー)

*2013年1月11日の記事を書き直しました。



Tracks:
01. Bye! My Boy!
02. 愛の♥愛の星
03. Brownie The Cat -魅惑の猫ルーム-
04. Call My Name (English version)
05. Maybe We Could Go Back To Then (76 version)
06. September Rain
07. Funny Girlfriend!!
08. Round And Round
09. そのスピードで
10. Can't Stop Cryin'
11. 長いため息のように

Personnel:
川瀬智子 : vocal
松井亮 : guitar
奥田俊作 : bass, chorus, keyboards
***
佐野康夫 : drums
松岡モトキ : guitar
伊藤隆博 : keyboards
川瀬正人、三沢またろう : percussion
金原千恵子、大林典代、栄田嘉彦、今野均 : violin
徳高真奈美、植田彩子 : viola
堀沢真己、笠原あやの : cello