これはブログ記事です。XTCの「ゴー2」というアルバムについて書いています。この記事は人に読ませるために書いています。これは犠牲者を誘っているということです。これを読んでいるあなたがその犠牲者です。自由な心の持ち主ならば、すぐに読むのを止めるべきです。

 しかし、これはダブル・バインドです。ここで読むのを止めれば、あなたは私が指示した通りに行動することになります。もしもこのまま読み進めるならば、あなたは私が意図したとおりに行動することになります。読み続ければ続けるほど、この記事にはまっていくこととなります。

 ふざけたことを書いて申し訳ありません。しかし、これはヒプノシスがデザインした本作品のジャケットに書いてある内容を少しアレンジしたものです。XTCというのはこういうバンドです。いかにも英国的なアイロニーに満ちた、あまりに英国的なバンドです。

 本作品はXTCの2枚目の作品です。前作から9か月と比較的短いインターバルで発表されたにしては、初期のバージョンには「ゴー++」と題したおまけのEPまで付けられていました。発表当初は本体よりもむしろそのおまけの方が話題になっていました。

 「ゴー++」はアルバム収録曲に縦横無尽のダブ処理を施したアヴァンギャルドなサウンドだったからです。しかし、そのEPはCD化に際して、アンディ・パートリッジのソロ作品とカップリングされることになりましたので、このCDには含まれていません。

 本作品に対するバンド・メンバーの評価はあまり高くありません。時間がなくて十分に曲を練り上げられなかった、というのがその理由です。EPではダブ処理をしていたわけですから、理由になっていない気もしますが、確かにやっつけ仕事感がそこはかとなく漂います。

 基本的には前作を踏襲したサウンドですけれども、少し角もとれてスピード感がやや落ちました。一方で、確かに後のXTCならばもっと捻るだろうなと思わせる素材感が残ります。ポップ感は増してきていますけれども、ぶっきらぼう、という面白いサウンドです。

 今回はパートリッジが6曲、コリン・ムールディングが4曲、バリー・アンドリュースが2曲とますますビートルズ感が増してきました。ジョージ・ハリソン登場です。ボーカルはルールに従って作曲者が担当していますから、誰の曲かはクレジットを見なくても分かります。

 プロデュースは前作に引き続いてジョン・レッキーが担当しました。レッキーはビートルズと仕事をしたり、ストーン・ローゼズのプロデュースなどもしているにもかかわらず、XTCの名前とともに語られることが多いです。XTCへの音楽的な高い評価を感じます。

 なお、パートリッジはブライアン・イーノにプロデュースを依頼したそうです。しかし、イーノはXTCを高く評価していましたが、自分がやるよりもセルフ・プロデュースの方がよいだろうと断ったとのことです。結局はレッキーがプロデュースすることになったわけですが。

 この作品は、特にシングル・ヒットもありませんし、その筋からの評価も総じて低く、本人たちも失敗作だとする不幸なアルバムです。しかし、もちろん言われるほどにひどい作品であるはずはありません。特にアンドリュースの曲が聴けるという意味でも貴重なアルバムです。

Go 2 / XTC (1978 Virgin)

*2013年7月3日の記事を書き直しました。



Tracks:
01. Meccanic Dancing (Oh We Go!)
02. Battery Brides (Andy Paints Brian)
03. Buzzcity Talking
04. Crowded Room
05. The Rhythm
06. Red
07. Beatown
08. Life Is Good In The Greenhouse
09. Jumping In Gomorrah
10. My Weapon
11. Super-Tuff
12. I Am The Audience
(bonus)
13. Are You Receiving Me?

Personnel:
Andy Partridge : guitar, vocal
Cloin Moulding : bass, vocal
Barry Andrews : organ, piano, synthesizer, vocal, sax
Terry Chambers : drums, vocal